双眼鏡双眼鏡の基礎知識

倍率

倍率は、双眼鏡で覗いた像がどれだけ大きく見えるかを表します。たとえば、10倍の双眼鏡ならば、100m離れたものが裸眼で10mの距離から見るのと同じ大きさで見えることになります(距離を10分の1まで縮めて見ることを意味します)。

図:倍率

キヤノンIS双眼鏡がこれまでの双眼鏡と違う点

図:手ブレなし/手ブレあり

倍率が高くなるほど像は大きく見えることができる一方、倍率が高いほど視野が狭くなり、同時に手ブレも拡大されてしまいます。通常10倍を超える双眼鏡では、手で支えた状態で細部を子細に観察することは困難になります。有効な手段は三脚を使用することですが、機材が重くなるため広い範囲を探索するには不向き。たとえ野鳥などを観察するのに10倍を超える倍率が必要であっても、「持ち歩くなら7、8倍が限度」というのがこれまでの定説でした。そこでキヤノンは、イメ-ジ・スタビライザ-(手ブレ補正機構)を採用。マイクロコンピュ-タによって制御される左右二つのバリアングル・プリズムが像のブレを瞬時に補正するので、高倍率でも三脚を使わずに対象の細部をじっくりと観察できるだけでなく、通常に走行する自動車や電車からも安定した視界を得ることができます。これにより機材の軽量化はもちろん、手ブレからくる眼や精神的な疲労も大幅に軽減され、より長時間、広いフィ-ルドを仔細に探索することができるようになりました。

図:イメ-ジ・スタビライザ-(手ブレ補正機構)

対物レンズ有効径

対物レンズに有効に入射する光束の直径をいいます(対物レンズの口径-レンズを押さえる鏡筒枠)。有効径が大きいほど集光力があり、明るさと解像力が向上します。しかし、有効径が大きくなると双眼鏡自体も大きく重くなってしまいます。

図:対物レンズ有効径

ひとみ径と明るさ

双眼鏡のひとみの大きさ(ひとみ径)は[対物レンズ有効径]÷[倍率]で算出でき、双眼鏡の明るさは[ひとみ径]²で表されます。したがって、ひとみ径が大きいほど明るい像が見られます。10x42は、10x30の約2倍明るいことになります。

図:ひとみ径と明るさ

ひとみ径と人間の瞳孔径の関係

双眼鏡を覗いて感じられる明るさは、ひとみ径と人間の瞳孔径の関係で説明できます。原則、ひとみ径≧瞳孔であれば裸眼で観察した場合と同じ明るさが得られるが、ひとみ径<瞳孔であると裸眼の時より暗く感じられるてしまいます。厄介なことは、人間の瞳孔径は明るさによって大きさが変化することです。通常、日中など明るい場所では人間の瞳孔は2~3mm開いていますが、薄暮時・夜間など暗い場所では7mm前後まで開きます。

<明るいところ>

ひとみ径が3.0mmの双眼鏡の場合
<明るいところ>

人間の瞳孔径は2~3mmぐらいなので、10x30などひとみ径が3mmの双眼鏡で十分な明るさが得られる。

<暗いところ>

ひとみ径が3mmの双眼鏡の場合
図:ひとみ径が3mmの双眼鏡の場合

人間の瞳孔径は7mm前後まで開くため、ひとみ径が3mmの10x30などの双眼鏡では暗く感じてしまう。

ひとみ径が7mmの双眼鏡の場合
図:ひとみ径が7mmの双眼鏡の場合

人間の瞳孔径は7mm前後になり、10x70など7mm程度のひとみ径をもった双眼鏡なら薄暗い場所でも十分な明るさが得られる。

双眼鏡の3つの視界

1.[実視界]

双眼鏡を動かさずに見ることができる範囲を対物レンズの中心から測った角度。実視界が広いほど目標物は探しやすくなります。双眼鏡の倍率が低いほど広く、高いほど狭まっていくので、違う倍率の双眼鏡間では単純に比較することはできません。

図:実視界

2.[見掛け視界]

実視界に倍率をかけたものを見掛け視界と呼びます。これはすなわち、双眼鏡を使用した場合と同じ大きさに肉眼で見える位置での視界を表しており、倍率の異なる双眼鏡間でもそのまま比較することができます。

図:見掛け視界
図:広視界タイプ

3.[1000m視界]

双眼鏡を動かさずに見ることができる、1000m先の範囲をmで表したもの。海外メ-カ-がよく使う表現方法。

図:1000m視界

10x30 II 実視界6°の双眼鏡で見た場合
見掛け視界は、実視界(6°)x倍率(10倍)=60°

アイレリ-フ

図:アイレリ-フ

ケラレが発生することなく見ることができる目の位置を、接眼レンズ最終面から測った長さ。この位置から覗けば、全視野がケラれることなく観察できます。アイレリ-フが長い(ハイアイポイントの)双眼鏡は、覗きやすく、長時間の観察も疲れにくい、メガネを掛けたままで使用できるというメリットがあります。

  • 眼鏡をかけての使用の際は、アイカップを折り返しての使用がおすすめです。

最短合焦距離

ピントが合う最短の距離。この距離が短いと、美術館や博物館での観察など、近くの物を大きく見たい場合に便利です。

双眼鏡の分類

[プリズム式]

現在の多くの双眼鏡では、対物レンズ、接眼レンズともに凸レンズが使われているため、そのまま覗くと像が倒立して見えます。これを正立させるためにプリズムを採用したものをプリズム式双眼鏡といいます。プリズムの形式によりポロ、ダハの2タイプに分けられます。

<ポロプリズム式>

図:<ポロプリズム式>

正立プリズムにイタリア人ポロが発明したポロプリズムを使用。入射光はZ型の軌跡を描いて接眼レンズに導かれる。光学性能に優れる一方、光軸を一直線に設計できないため、小型・軽量化しにくい。

<ダハプリズム式>

図:<ダハプリズム式>

正立プリズムに屋根の形をしたダハ(ドイツ語で屋根の意)プリズムを使用。光軸を一直線に設計できるため小型・軽量化しやすい一方、光学性能を向上させるためにコストが高くなりやすい。

[ガリレイ式]

図:ガリレイ式

ガリレオ・ガリレイが発明した望遠鏡の構造をそのまま取り入れたタイプの双眼鏡。接眼レンズに凹レンズを使用しているため、プリズムなしでも正立像が得られる。構造が簡単なため安価で作ることができるが、実用としては4倍程度の倍率までしか望めない。

光学性能

光学性能はカタログなどに付記されているスペック表からは判断できませんが、実際に覗いてみれば簡単に比較することができます。光学性能は双眼鏡の良し悪しを決める最も大切なスペックです。すみずみまで肉眼と変わらないほどの高画質性能を発揮する双眼鏡であれば、あたかも対象に肉薄しているような、圧倒的な迫力と臨場感を楽しむことができます。

光学性能の比較の仕方とキヤノンの双眼鏡の優れた点

双眼鏡の光学性能は、具体的には下記のポイントに留意することにより比較することができます。キヤノンのIS双眼鏡は、「IS付き」であること自体が「見えが良い」ための大きなアドバンテ-ジですが、光学性能も高い実力を誇ります。下記は、双眼鏡の光学性能を比較するときに留意したいポイントです。キヤノンの双眼鏡は高い設計・製造技術、上質のレンズ・プリズム、コ-ティングを採用することにより高い光学性能を実現しています。

1)左右の像にズレはないか。

双眼鏡は2つの平行に並んだ光学系から成り立っています。ところが双眼鏡の中には、組立時の調整が悪かったり、輸送時にショックや振動を受けたりしてこの平行がくずれ、像が二重に見えるものがあります。こうした双眼鏡は、修理をしてもちょっとしたショックから再び同じ現象が発生する可能性があります。キヤノンの双眼鏡は、独自の規格による厳しい振動、落下試験をクリアしており、左右の像にズレがないよう厳密に組立・検査されているため、シャ-プな像が得られます。

2)像がぼやけずにくっきりと見えるか。

遠くの細かな文字や細い木の枝などを見たときに、像がぼやけずにくっきりと見えるか(写真2-1)、また夜景や星などを見たときに点光源の形にくずれやにじみがないか(写真2-2)を確認します。キヤノンIS双眼鏡光学性能にこだわり、一部機種ではUltra Law Dispersion Lens (UDレンズ)を採用して分解力を上げることにより、像のぼやけや点光源のにじみを徹底的に除去しています。

2-1 像がぼやけずにくっきりと見えるか

写真:2-1 像がぼやけずにくっきりと見えるか

2-2 点光源の形にくずれやにじみがないか

写真:2-2 点光源の形にくずれやにじみがないか

3)色ににじみや偏色はないか。

白い対象物を見たとき、その輪郭にちらちらと虹のようなものが見えることがあります。これは色収差(3-1)と呼ばれるもので、口径が大きく、また倍率の高い双眼鏡ほど出やすい傾向にあり、視界全体の画質を劣化させてしまいます。また、コ-ティングやレンズの材質の違いから、双眼鏡によっては実際の色と異なって見えるものもあります。キヤノンはEFレンズで培った高度な光学設計技術を導入し、UDレンズの使用などにより色収差を抑制。また、ス-パ-スペクトラコ-ティングの採用により色の偏りを抑え、コントラストが高い(3-3)鮮やかな視界を確保しています。

3‐1 色収差がないか

写真:3‐1 色収差がないか

3‐2 色に偏りがないか

写真:3‐2 色に偏りがないか

3‐3 コントラストが高い

写真:3‐3 コントラストが高い

4)周辺部まではっきりと見えているか。

最近はユ-ザ-のニ-ズに応えて、広視界タイプの双眼鏡が増えてきました。しかし、なかには無理やり視界を広くしたために周辺部の画質が劣化しているものも少なくありません。この周辺部における画質劣化の最大の要因となる収差を像面湾曲といいます。ビルの壁などの平坦なものにピントを合わせて、周辺部まではっきりと見えるかどうか(4-1)を確認し、像面湾曲が強く発生している場合、周辺部がぼやけてしまうため臨場感に乏しく、迫力ある観察像は望めません。キヤノンはこの像面湾曲を大幅に排除するため、フィ-ルド・フラットナ-レンズや高屈折率レンズを採用。周辺部まで均一で美しい広視界を確保しています。

4‐1 周辺部まではっきりとみえるか

写真:4‐1 周辺部まではっきりとみえるか

5)像にゆがみがないか。

ビルの窓や壁面の化粧レンガなどを見たときに、周辺部で水平垂直線がゆがんで見えることがあります(5-1)。これを歪曲収差(ディスト-ション)といいます。歪曲収差を写真レンズのように補正したもの(写真1)や歪曲が強く残っているもの(写真2)は、周辺の被写体が変形して見えるだけでなく、双眼鏡を動かしたときに周辺の像が流れるように移動していくため大変見にくいものとなります。このため、双眼鏡ではこの中間を狙って歪曲を意図的に残して設計します。(写真3)キヤノンでは、最適なレンズ構成に光学設計することにより歪曲収差を効果的に補正。目の疲れを減らし、自然な像が得られるようにしています。

5‐1 像にゆがみがないか
写真:5‐1 像にゆがみがないか
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