




















![]()





デジタル一眼レフカメラの高画質をコンパクトで実現する。その理想に応えるために生まれた、PowerShot G1 X。EOSのAPS-Cサイズに迫る14.3メガの新開発CMOSセンサーは、従来機1/1.7型の約6.3倍*の1.5型へと大型化。 またボディサイズと画質性能のバランスを追求することで、アスペクト比は4:3を採用。EOSのCMOSセンサーをベースにした画素構造により、高感度撮影時の低ノイズ化をはじめ、低感度での優れた解像感を実現しています。被写体のディテールや微妙な色彩はもちろん、光のニュアンスまで見たままに描きとります。
*当社従来機との比較


![]()







視界に広がる情景を、どこまで精緻に写しとることができるか。解像感とは、いわば描写力。細かい部分まで描写できているほど、解像感が高いといえます。PowerShot G1 Xは、その大きなCMOSセンサーにより、1画素あたりの受光面積も約4.5倍に拡大。取り込める光の情報量が、飛躍的にアップしました。
さらに、被写体に秘められた微少なテクスチャーの解像感、低ノイズ、ダイナミックレンジの拡大など、さまざまな画質向上に貢献する14bit RAW記録を採用。現像時の作品づくりにも効果を発揮します。


![]()







過去のコンパクトデジタルカメラにはない、広ISO感度も実現。センサーの中にゆとりを持って配置されたマイクロレンズの占有率がアップしたことで、集光効率が向上。最高ISO12800を達成しました。高感度撮影でも、色彩やディテールもしっかりと表現できます。
また映像エンジンDIGIC 5との連携で、高度なノイズリダクション処理を実行。ISO3200においては、ノイズを従来の約1/4に低減。一つひとつの画像に合わせて適切な処理を行うため、解像感を損なわずにノイズを低減します。
センサー側で実行される独自のオンチップ除去技術により、G1 Xのノイズ低減の効果をさらに強化。光を取り込める容量が従来の4.5倍に拡大することで、高いS/N比を実現。デジタルカメラ特有の固定パターンノイズを除去し、ランダムノイズを抑制します。


![]()







ボケ味を楽しむことも、写真表現の一つ。センサーサイズの小さいコンパクトデジタルカメラでは、難しい表現でした。大型CMOSセンサーを搭載するPowerShot G1 Xは、被写界深度を浅くして一眼レフカメラのようなボケ味を楽しむことができます。 また、絞り値はF16まで調整することが可能。セルピッチが4ミクロンに大型化し、絞り径を大きくできるため、小絞り時の回析現象の影響を受けにくくなりました。つまり奥行きのある風景を絞り込んで撮影しても、写真全体をクリアでシャープに写せます。


![]()







たとえば白とびは、受光部から光があふれてしまうことで起こる現象です。コンパクトデジタルカメラのように小さいセンサーは、受光部の光の容量も少ないので、白とびのリスクも高くなります。一方、PowerShot G1 Xは、受光面積が従来機の約4.5倍とワイドのため、集められる光の量も多くなります。つまり、ダイナミックレンジも拡大。明暗差の大きなシーンでも、白とび・黒つぶれを抑えディテールをしっかりと描くことができます。


![]()





大型センサーの搭載は、どのように決定が下されたのか?
これまでキヤノンではGシリーズやSシリーズなどで、業界最高レベルの高画質カメラをポイントポイントで発売し、ハイエンドのユーザー様から「画質のキヤノン」という認知をしていただいてきたと思います。ただ一方で「夢のコンパクトカメラ」として、デジタル一眼レフに積んでいるキヤノンのCMOSセンサーを積んだコンパクトカメラが出てこないかなぁ、といった声がお客様からありました。キヤノンの開発陣としても、そうした声に応えたいし、自分たちとしてもぜひ開発したいという思いが強く、今回の開発でついに反映させることができました。
実はPowerShot G12開発時から、そうした企画も検討されてはいましたが、技術的にまだまだお客様に提供できる品質に仕上がっておらず、そういう意味で今回のG1 Xは満を持して登場した自信作といえます。
センサーサイズはどのようにして決められたのか?
デジタル一眼レフと同等の画素サイズを実現するため、EOS 7D / EOS 60D / EOS Kiss X5で使用されているAPS-CサイズのCMOSセンサーをコンパクトで実績のある4:3のアスペクト比で実現したのが1.5型です。4:3というアスペクト比は、本体サイズと画質性能の最適バランスを追求して決定しました。
今回のセンサーはG1 Xのために専用で開発されたセンサーで、単純にEOSのセンサーをそのまま搭載すればいいというわけではありません。感度やS/N・ダイナミックレンジなど性能はEOSと同レベルながらも、ボディを小型化するため、デジタル一眼レフよりも厳しい仕様が要求されました。開発にあたってはEOSテクノロジーの継承を強く意識し、画素サイズ・感度を優先。そこからボディサイズ・レンズスペック・信号処理などの要素により、画素数が決っていきました。特に画素サイズは性能を図る重要なファクターです。
1.5型センサー採用、その効果と実力は?
従来のコンパクトカメラでは難しかった被写界深度の浅い、一眼レフレベルのボケ味で撮影できること。事前に行ったプロフォトグラファーに対するヒアリング調査でも、コンパクトカメラとは思えないボケ感を実感していただいております。
もう一つは高感度。セルピッチの拡大により、ISO12800もの高感度が使えるようになったこと。暗い場所というよりも、人間の目でも見えないような真っ暗な場所でも撮影できます。たとえば子どもの寝顔や手持ちの夜景など。そのほか、体育館でのスポーツシーンでも最高1/4000秒のシャッター速度が活かせます。つまり明るい日中の撮影から真っ暗闇のシーンまで今まで、これまで撮ることをあきらめていたようなシーンまで撮影領域を拡大したオールマイティーカメラです。
* 2012年2月7日現在
センサー / DIGIC担当:
イメージコミュニケーション事業本部
DCP第一開発センター 部長
PowerShot Pro70、初期G / Sシリーズなどの画質を担当。現在はコンパクトデジタルカメラ製品全般の画質まとめを担当。


![]()





センサーサイズの拡大はすなわち、解像感をも向上させるのか?
解像度に関してはセンサーピッチの拡大によりMTFが向上しています。また低ノイズ化の効果により、チューニングの幅が拡大。エッジ強調を強め解像感を出す出力設定が可能になりました。事前のヒアリング調査でもプロフォトグラファーから一眼レフ並みと評された、この低感度の突き抜けたクオリティ、つまり「解像感の高さ」と「低ノイズによるクリア感」を、ぜひとも実感していただきたいですね。
小絞り時の画質、回折現象の影響はどうか?
セルピッチが4ミクロンに大型化し絞り径を大きくできるため、小絞り時の回析現象の影響を受けにくくなりました。深度の浅い写真だけでなく、絞り込んだ写真でもクリアでシャープに写せるようになりました。事実、G12では最小絞りがF8でしたが、G1 XではF16まで絞って撮影できるようになります。ボケ味を活かしたポートレート撮影から、奥までシャープな風景写真など、深度を自在にコントロールしてオールマイティーに楽しんでいただけます。
1.5型センサーとDIGIC 5のパフォーマンス能力は?
最高峰のPowerShotとして、どうしてもISO12800としてエポックメイキングな画質を実現したかった。そのためにはセンサーの性能だけでなく、それを引き出す高性能なエンジン、我々がHS SYSTEMと呼んでいる、両方の技術が必要だと考えています。
DIGIC 5はDIGIC 4に比べ、ノイズリダクションに関わる情報量が約4倍になった一方で処理速度6倍の高速化を実現しています。ノイズと解像感のトータル性能としてはG12と比べ高感度で2段、中感度域で3段分の効果があります。さらにG1 Xのセンサーは14bit化していることで、さらなる高画質が期待できます。同じ高感度でも色再現のよさは、キヤノンが圧倒的です。G1 Xは大型センサーと高性能エンジンの力をフルに引き出し、高感度時も色情報をしっかり残し、しかもディテールまでしっかりと表現した美しい写真が写せます。
センサー担当:
イメージコミュニケーション事業本部
DCP第一開発センター 室長
デジタルカメラのセンサー設計全般を担当。近年では"HS SYSTEM" などの高画質化の開発に携わる。


![]()





画作りの方向性はEOSと異なるのか?
画作りの方向性という点では、キヤノンには共通の思想があるので同じですが、厳密にいえば少しだけ違います。デジタル一眼レフではレタッチ性を重視しているため、自然な画作りを意識しているのに対して、コンパクトデジタルカメラの画作りは、一見した際の印象を重視し、若干メリハリを強めた画作りになっています。 ただし、G1 Xは14bit RAWでも撮影できるので、撮影後に自分好みの画作りをしていただくことも可能です。
14bit RAWで撮影できる具体的なメリットは?
RAWを14bit化することで、より多くの情報をRAWに残すことができるようになりました。その情報を有効に利用することで、微小テクスチャーの解像感・ノイズリダクション性能の向上・ダイナミックレンジの拡大・暗部補正などの各種補正処理の画質向上を果たしています。
14bit RAWはどんなシーンに最適か?
G1 XのRAWは従来のコンパクトデジタルカメラと比べて低ノイズで、より多くの情報が記録されています。すなわち、耐レタッチ性が向上しています。露出制御の難しい夕景の露出補正や風景の彩度制御など、積極的にレタッチを行い、作品を作り上げるお客様に、より満足いただけるようになったと考えています。
DPP(Digital Photo Professional)では、ノイズリダクションの利かせ方・エッジ強調のレベルなどが細かいコントロールが可能であり、EOSのような画作りに仕上げることも可能です。好みやこだわりに応える、思いのままのアウトプットが得られるようになりました。
高画質動画ニーズにどこまで応えたのか?
G1 Xは、一眼レフに迫るボケ味を活かし、表現力豊かな高画質ムービーが撮れます。たとえばポートレート動画など、被写界深度の浅い、ボケ味のある動画は、特にハイアマチュアや作品撮影をするお客様を中心に大きなニーズがあると考えています。
静止画同様、動画においても画質を徹底的に追求することで、解像度の高さ・被写界深度表現・低ノイズを生かしたクリアな高品質動画を撮影することが可能になりました。
DIGIC担当:
イメージコミュニケーション事業本部
DCP第一開発センター 室長
デジタルカメラ/コンパクトフォトプリンターの画像設計、画像処理開発全般を担当。近年では"こだわりAUTO"、"ぴったりフラッシュ"などの新規高画質化機能の開発を担当。


![]()





Canonレンズ全体に共通する開発理念は何か?
センサーサイズによって異なるので同じ土俵では比べられませんが、信頼性という基準では一眼レフ用のEFレンズであれ、コンパクト用のレンズであれ同じ品質基準で作られています。今回は特にEFレンズと比較しても最大径クラスの大きな凹メニスUAレンズを使用していますが、大きくなったからといって精度を緩くするようなことは一切なく、小型レンズ開発と同等あるいはそれ以上の精度はゆずれませんでした。
ちなみにEFレンズにない技術でいえば、コンパクトの場合、本体を小型化する目的で撮像上不要なレンズの上下をカットする、Dカット・Iカットと呼ばれる技術があります。大型化したレンズをカットすることで、そのスペースをより有効に活用しています。
UAレンズとは何か、その効果は?
UAとはUA(Ultra high refractive index Aspherical)レンズの略。キヤノンが開発した超高屈折率ガラスモールド非球面レンズで、カメラの小型化や高性能化に大きく寄与しています。このUAレンズの生産に欠かせないものが、ガラスが軟化する高温下でも高精度を維持する金型を製造するガラスモールド技術です。G1 Xにはこの大口径のUAレンズに加え、計3枚のガラスモールドレンズを採用しています。
レンズ構成とそれぞれの特長はどうか?
G1 Xのレンズ構成は大きく分けて4つのユニットに分かれています。そのうち3枚の非球面レンズをそれぞれ後方3ユニットに分散し、ユニットごとに収差を補正。WIDE端・TELE端だけでなく、ミドルの領域も含めたズーム全域での性能上げています。
各ユニットでの収差補正の主な役割を具体的にいうとUAレンズを配したUAレンズを配した第2ユニットは広角側の収差を補正、絞りに近い第3ユニットは望遠側の収差補正、第4ユニットはフォーカス調整時の収差を補正するといった役割分担がされています。非球面レンズと一口にいってもサイズがや役割が異なると開発の難度はそれぞれ異なります。今回のような試みはEFレンズでもあまり前例がなく、そう意味で大きなチャレンジでした。
レンズ担当:
イメージコミュニケーション事業本部
レンズ開発センター 室長
伝説の"1円玉サイズレンズ"で初代IXY DIGITAL開発に大きく貢献したレンズ設計のスペシャリスト。その匠の技がG1 X開発にも根付いている。


![]()





いかにして焦点距離とズーム倍率が決定したのか?
センサーや本体サイズとのバランスで決定します。G1 Xは特に大型センサーを採用していますので、大きさとレンズ仕様のバランスをどこに置くか見極めが難しい製品でした。ユーザーの使い勝手を考え、広角28mmは絶対に外せないと考えましたが、ズーム比をG12と同じ5倍ズームとした場合、どうしても本体サイズが大きくなるため、ズーム比は4倍に留めました。
5倍ズームの設計は、技術的には不可能ではありませんが、コンパクトカメラならではの本体サイズ・お客様の使い勝手を犠牲にしたスペックの追求などあり得ないとの判断です。
ただし、レンズは大きくなりましたが、センサーサイズが従来(G12)比約2.5倍拡大したのに対し、レンズは約1.4倍程度にとどまっています。この大きさで光学4倍ズームはかなり小さい方で、ミラーレス一眼の単焦点レンズ並みだといえます。それを実現できているのは、光学系をセンサーにあわせて最適化できるレンズ一体型ならではのメリットです。
もっとも効果を実感できる被写体は?
今回は特にTELE端での解像性能が高い。決してWIDE側が劣るというわけではなく、特に性能が突出しているという意味で。TELE側で大型センサーのボケ味を活かしたポートレート撮影に使っていただくと、このカメラの実力を実感していただけると思います。6枚羽根の虹彩絞りを採用していますので、より美しいボケ味を楽しんでいただけると思います。
レンズ担当:
イメージコミュニケーション事業本部
レンズ開発センター 主任
コンパクトデジタルカメラ全般のレンズ設計を担当。主な代表作にIXY 30S、PowerShot A700など。


![]()





キヤノンではGシリーズをどのようなカメラと位置づけているのか?
Gシリーズは最高画質のハイエンドとして、日頃一眼レフを使って写真を楽しんでいる、ハイアマチュアユーザーに向けた高級コンパクトシリーズです。プロフォトグラファーがカバンのポケットに忍ばせて使う、機動性と高画質を両立したカメラです。実際、デジタル一眼レフがまだ高価で、それほど普及していなかった当時はコンパクトできれいに撮れるGが大人気でした。特に欧米を中心に、仕事で使うプロフォトグラファーが、かなりたくさんいました。デジタル一眼レフが普及した現在でさえ、現行のPowerShot G12は、欧米を中心にプロフォトグラファーから、いまだ高い評価をいただいています。今回は特に大型センサーを搭載したことにより、これまでのコンパクトとは明らかに次元の異なる画質を実現しました。そのため、新しいG1 XはG12の純粋な後継としてではなく、より高画質を求めるハイエンドユーザーに向けた性格の異なるラインアップとして展開することとしました。G1 Xはお客様にオールマイティーにお使いいただける、トータルバランスの良さが魅力です。ぜひたくさんのお客様にお使いいただきたいですね。
初代Gシリーズから受け継がれるコンセプトはあるか?
「コンパクトで最高画質」がGシリーズの使命。常に最高品質を追求し、すべてのコンパクトから指標とされる画質を追い求めてきました。特にG1 Xでは、このカメラを持つといい写真が撮れそうとか、操作しているだけでも楽しい気にさせてくれる、そんなカメラを目指しました。
EOSアクセサリーとの互換性も、EOSのサブ機としての使命を宿すG1 Xの大事な部分です。EFフラッシュは同調だけでなく、カメラ側からフラッシュの各種調整も可能です。また、背面や前面のダイヤルの操作系も、MENUで「EOS風」を選ぶことでEOSユーザーの方も自然に操作する事ができます。フィルターに関しても、PLフィルターなど、別売りのフィルターアダプター(58mm径)を介して使用可能です。
マニュアル操作や豊富なアクセサリーで多彩な表現に挑戦したい、より良い写真や作品を撮影したいといった方にも、常に最高の結果を提供したいと考えています。

G1 Xの開発はいつごろスタートしたのか?
構想自体は数年前からありました。いつかデジタル一眼レフ並みの大型センサーを載せたコンパクトを作りたいねって。その後もそうした議論は続けられましたが、ようやく製品としてまとまりました。デジタル一眼レフが普及して、お客様の写真を見る目も肥えてきた。最高画質を目指すGとしては現状のセンサーのまま続けていいのか、という議論がされ最終的に大型センサーの搭載が決まりました。
しかし画質に限っていえば、必ずしも交換レンズタイプがいいというわけではなく、レンズ一体型には光学設計を最適化できるメリットがあります。大型センサー搭載にもかかわらず、この大きさで4倍ズームを搭載できたのもレンズ一体型ならではです。
ターゲットユーザーは?
コアなターゲットとしては60代男性、30代男性。特に一眼レフを使った経験のあるハイアマユーザーには、ぜひ使っていただきたいですね。一眼レフのテクニックをそのまま応用できる豊富なカメラ機能と、多彩な写真表現力を実感していただけると思います。
多くのお客様は自分たちなりにカメラをカスタマイズして写真を楽しんでいるので、このカメラをどのようにして楽しまれるのか大変興味があります。あともちろんプロの方もターゲットの一つです。特に機動性や静音性を重視する報道関係者やジャーナリストのニーズが高いですね。
ずばり、アピールポイントは?
大型センサーがもたらす高画質、ボケ味やこれまでのコンパクトのレベルを遥かに超越したノイズリダクション性能に自信があります。レンズ・センサー・映像エンジン、そのどれもが優れていなければ高画質にはなりません。
センサーサイズが拡大すればするほど、映像エンジンの性能差が相当に出ます。その点G1 Xはすべて自社製のレンズ・センサー・映像エンジンを採用していますので、最適な光学設計がされています。
商品企画:
イメージコミュニケーション事業本部
DC事業部
コンパクトデジタルカメラの商品企画を担当。コンシューマ製品のファームウェア開発を経て、現在は企画業務に携わる。これまでにPowerShot SXシリーズなどを担当。


![]()





使い勝手を維持するためにどのような改良に取り組んだのか?
AF機能を大型センサー用に調整しました。センサーサイズの拡大により、同じピント量でもフォーカス用レンズのストローク、つまり移動量が長くなります。しかもレンズは大きく重くなっているので動かしづらくなっているわけです。そのためモーターやスクリューを改良しレンズを速く、正確に制御。従来と同等の使い勝手を維持するために、見えない設計努力がされています。
AFについて付け加えると、センサーの低ノイズ化はAF性能の向上にも効果があり、暗闇でも顔認識できる検出性能を誇ります。こうした数字には表れない進化にも着目していただきたいですね。
また、シャッターユニットについてふれておくと、耐久性が従来(G12)比、倍以上になっています。G1 Xはフル画素で約4.5枚/秒の高速連写が可能ですが、連写速度が向上した分シャッター開閉回数も急増するため、安心してお使いただける耐久性を確保する必要があったのです。
EOSユーザーを意識して設計した点はあるか?
操作性ではまずこのリアダイヤルがEOS風で特徴的ですね。違和感なくお使いいただけると思います。それから液晶モニターにキヤノンのコンパクトカメラでは初となる約92.2万ドットを採用。これはEOS Kiss X5と同じものを使用しています。視野角が広い、IPSタイプなのでバリアングル撮影時も見やすく、撮影スタイルを拡大してくれる利点もあります。この機種に限らず、液晶モニターの見え方はかなりこだわっていますが、中でもこの液晶は最高ランクの美しさといっていいでしょう。 そのほかにも、これまで同様ストロボなどEOSアクセサリーとの高い互換性も特長です。中でもおすすめはマクロフラッシュ。認知度としてはまだまだですが、一度使っていただくとその効果を実感していただけると思います。
設計担当:
イメージコミュニケーション事業本部
DCP第一開発センター 室長
数多くのカメラで鏡筒設計、IS機構/USM・VCMなどの機構要素を担当し、カメラの高倍率化・多機能化を進めた。


![]()





デザインプロジェクトはどのようにスタートしたのか?
はじめはデザイン部内で公募して、10数名でデザインスケッチを持ち寄ります。その中から選ばれた人がデザインを担当します。元々Gシリーズは、デザイナーに限らず社内でも人気が高いんです。それはもっとも独創的でチャレンジしがいのあるカメラだからだと思います。私の場合これまでIXYやAシリーズといった機種の担当が多かったので、今回のような本格的な機種の担当は初めてで非常にやりがいを感じています。
デザインコンセプトは何か、何を目指したのか?
目指したのはシンプルで無駄のない、機能剥き出しの「プロの道具」。PowerShot G7以降、だんだんと複雑化した操作系統をもう一度整理したいと考え、シンプルな見た目と機能美を追求しました。今回は特にレンズ、センサーが大きく変わっていますので、パッと見、変わったなと思わせるデザインにチャレンジ。プロのサブ機というコンセプトに恥じない本物感を追求しています。
イメージ決定後、どのようなプロセスを経てモックアップが完成するのか?
次の工程では立体模型を作り、細部までデザインを詰めていきます。立体模型の作り方は人によって違い、発泡スチロールやバルサという木材を切り出して形を作る人もいれば、はじめからパソコン上で3D形状を作りこむ人もいます。
モックアップは一つひとつが職人さんの手作りなため、非常に高価で製作時間もかかります。そのため模型で細かいところまで十分チェックしてから製作するようにしています。こうしてたくさんの工程を経て改良したデザインでも、設計上NGが出て、やり直しなんてことも多々あります。Gのようにこだわりの強いカメラは特にですね。

最高級機として使用した材質や塗装は何か?
本体のフロントカバーだけでなく、背面のリアカバーにも金属を採用して高級感を演出。手にしていただくと金属ならではの、ひんやりとした触感と堅牢感を感じていただけると思います。バリアングル液晶のカメラで背面に金属パーツを使用しているのは初めてではないでしょうか。プラスティックは加工がしやすいのですが高級感に欠けるので、どうしてもここを金属にしたかったんです。細かいですがトップカバーがあることでフロントとリアのカバーの継ぎ目を上から見えなくしました。こうした細かい処理も見た目の印象をよくしています。
さらに従来は表面の塗装をザラザラとしたビーズ入り塗装を採用しましたが、今回は金属に直接塗装し、平面の質感や直線的な形状を強調しています。表面の質感は往年の名機「F-1」をイメージ。クラシックな中にもモダンな印象を持たせ、幅広い世代に受け入れられるデザインを目指しました。
デザイン細部へのこだわりは?
できるだけスッキリ見せるためのデザイン処理を随所にしています。たとえば本体軍艦部、トップカバーの上面を斜めにしぼり、本体を薄く、小さく見せているのもその一例です。
またバリアングル液晶カメラは通常、格納時にパネル部がガタつかないよう土手と呼ばれる凹凸を作り固定しますが、固定方法を工夫して土手のないスッキリとした背面に仕上げています。
レンズ部の厚みは格子状の綾目を入れることで、積極的にユーザーに握ってもらうことを意識しています。この質感やデザインも数パターン検討し、握りやすさを追求しました。
G1 Xで使用しているパーツは、ほとんど新規のパーツで構成され、G12からの共用パーツはほとんどありません。
デザイン:
総合デザインセンター
コンパクトデジタルカメラのプロダクトデザインを担当。これまでにIXY DIGITAL 930 IS / IXY 50S / PowerShot A1200等のデザインを担当。


![]()





自宅の猫を、まず撮った。使い方を覚えるために、テストで数枚シャッターを切った。その画像をパソコンのモニターで拡大して見たとき、眼を疑ったという。
「すばらしいねえ、この解像力は。デジタル一眼レフにも負けていないように思ったね」
石橋睦美が、G1 Xに衝撃を受けた瞬間だった。仕事や作品撮りでは、デジタル一眼レフカメラしか使わない。サブ機としてコンパクトカメラを持って行くことは、これまでなかった。それは、自分のイメージに応えてくれる機材が、デジタル一眼レフカメラだからという理由からだ。ただし、デジタル一眼レフにこだわっているわけではない。自分のイメージを具現化してくれる道具としてベストなのが、現時点ではデジタル一眼レフなのだ。
「フィルムでも、デジタル一眼レフでも、コンパクトでも、僕の頭の中のイメージをちゃんと思った通りに映像にしてくれるなら、道具は選びませんよ」
日本の風景を圧倒的なスケールで作品にし続ける石橋睦美。彼は今回、デジタル一眼レフを持たずに、コンパクトデジタルカメラG1 Xのみで、奥深い日本の風景に挑んだ。

事実、今回の撮影でG1 Xは、石橋睦美を何度も唸らせた。まずはその解像力。自宅で行ったテスト撮影とは違い、いわば本番。最初に選んだ被写体は、天然記念物ビランジュという巨木。美しい紅黄色で、表面の質感も繊細だ。
「撮ってる最中も、液晶モニターで見ながら、こりゃすごいなって思った。解像力の高さは一目瞭然だったから。家に帰って大きく伸ばして見たときは、案の定だな、と。木の肌がギリっと出てる。こんなに繊細に出るもんなんだねえ。あと、ここはハイライトとシャドー部の露出がだいぶ違うけっこう難しいシーンだったんです。でも白とびも黒つぶれもしないで、しっかり調子が残っていた。階調表現もいいんだねえ」
さらに、解像力の高さを証明するために江戸時代から残る呉服店(現在は博物館)で、当時から残る着物を撮影した。
「クローズアップして着物を撮ってみました。これもびっくりしたね。織り目がきちっと出ている。糸のやさしさも表現されていた。前の機種と比較して同じ設定で撮ってみたけど、あきらかに差が出てしまった。この小っちゃいカメラで、これだけのものが撮れるんだなあって感心しちゃった」

続いて色彩再現力。石橋睦美にとって、色は非常に重要だ。
「日本の色というのは、派手さはない。
だけど階調がものすごく豊富なんだよね。それが日本の色彩美なんだと思うんです。それをいかに写真として再現できるかというのが、日本の風景を表現するうえで必要なんだよ」
写真は、構図やピントというのも、もちろん重要な要素である。しかし、色彩再現が悪ければ、良い写真にはならないのだという。では、G1 Xの色彩再現力は、どうだったか。
「申し分ないですね。色の出方が僕のイメージに非常に近いし、好みにも合っている。たとえば川の水面に浮かぶキレイな水草の一群を撮ったんだけど、すごい微妙な色なんだよね。あの写真は色でできあがっているといってもいい。僕が現場で眼で見て、頭の中でイメージされた色なんですよ。こういう色を出して欲しいな、と思うわけですよ。そうでないと、自分の感性が写真に反映されない。このカメラはちゃんと撮ってくれたんですね」
狙った被写体の多くが、たくさんの色で構成されているわけではない。石橋睦美にいわせれば「ものすごく単調な色彩」。しかし、その色彩をどの程度再現できるかが重要なのだという。暮れなずむ夕日を撮った一枚がある。視線の先に、わずかな赤い光を放つ灯台が見える。空のグラデーションはあまりにも美しかった。
「これだけキレイな階調はなかなか出ませんよ」

ふだんの仕事や作品撮りでは、絞りを絞って撮ることが多い。今回は、開放にも挑戦した。ボケ味はどれ程のものか、という確認である。
「前ボケと後ボケが出るように撮りました。
キレイなボケだよねえ。前と後にボケがちゃんとできて、合わせた1箇所にだけピントがくる。ふつうのコンパクトじゃ、こうはいかないでしょう。これも前の機種と比較して撮ったけど、後ろのボケ方もまったく違う。ボケの効果は良く出るよね。ぜんぜん違う」
解像力。色彩再現力。ボケ味。G1 Xを語る上で、まだ欠かせない要素がある。高感度だ。今回はわずかな光の中で、ISO12800をはじめ高感度撮影にトライした。
「高感度でもこんなにキレイに撮れちゃうんだね。あんなに高感度で撮っても、ノイズがほとんど出てない。ISO3200くらいだったら十分に実用可能だと思います」

石橋睦美の撮影スタイルは、基本的には、三脚にカメラを設置して構図を決める。しかし、G1 Xとの出会いにより、そのスタイルも変わるのではないかと語る。
「三脚に付けると、ローアングルなんかも面倒に思えることがある。これは手持ちで撮れるから、良いね。いろんなアングルですぐに撮れる。表現の幅はかなり広がってくると思います。それに大きさもちょうど良い。僕はあまり手が大きくないほうなんで、特にフィットしたのかな。小さすぎず、軽すぎないから、写真もブレにくいよね。ちょっとしたところだったら、一眼レフじゃなく、これでまかなえちゃうって思えたよ」
石橋睦美は、こう結ぶ。
「これだけのクオリティがあれば、印刷物にしても大丈夫。自分の作品撮りでも十分使えますよ。『コンパクトカメラだからこれだけ撮れました』ではなく、ちゃんと仕事として使える。そんなカメラだと思いますけどね」
















