アウトドアスタイル・クリエイター 四角 友里&フラワーアーティスト 全 智誠 ×尾瀬 / 群馬・福島・新潟・栃木 「広大な湿原で初ハイク」

四角 友里

アウトドアスタイル・クリエイター 四角 友里

埼玉県生まれ。商品企画プランナーを経て独立。山スカートの先駆者として女性アウトドアブームをけん引し、女性用アウトドアウエア&ギアの共同開発なども手掛ける。執筆、講演なども多数。
著書は、『デイリーアウトドア』(メディアファクトリー)、『一歩ずつの山歩き入門』(エイ出版社)。

全 智誠

今回の同行者 フラワーアーティスト 全 智誠

埼玉県生まれ。花や植物などの自然素材を使った独創的なインスタレーションで注目されるフラワーアートユニットplanticaのメンバーとして、広告やショップディスプレイなどを中心に活躍している。

全 智誠

今回の同行者 フラワーアーティスト 全 智誠

埼玉県生まれ。花や植物などの自然素材を使った独創的なインスタレーションで注目されるフラワーアートユニットplanticaのメンバーとして、広告やショップディスプレイなどを中心に活躍している。

山々に囲まれた湿原帯・尾瀬ヶ原へ

この至仏山をはじめ、2000m級の山に囲まれ、高層湿原が広がる景色は秘境のよう。
【1/160sec F8 ISO125 露出補正+0.7 焦点距離約30mm】

息を切らして急登を登りながら、「なぜ、自分はこんなに辛い思いをしながら山を登るのか」なんて、哲学的な自問自答をするまでもない。山歩きは苦しいものとは限らない。高い山の頂上を踏むことだけが、登山のすべてではないのだから。
「普段、全く山は登らないんです。数年前に友人に連れられて登った経験はあるのですが、とにかくしんどくて……」と語るのは、フラワーアートユニットplanticaで活躍するフラワーアーティストの全 智誠(ぜん・ちそん)さん。
今回、そんな全さんをアテンドしてくれたのは、アウトドアスタイル・クリエイターの四角 友里さんだ。向かう先は、四季を通じて折々の花で楽しませてくれる、尾瀬ヶ原。周囲を2,000m級の山に囲まれており、尾瀬ヶ原自体の標高は1400m程度。標高2228mの至仏山、標高2356mの燧ヶ岳(ひうちがだけ)などを目指さなければ、アップダウンの少ない木道のコースを堪能できる。
「尾瀬の場合は、辛い思いをして歩く必要はないですよ。それどころか、ゆっくり歩かないともったいないくらい」と四角さんは、不安げな全さんに声を掛ける。
尾瀬は四角さんのお気に入りの場所のひとつであり、水芭蕉の咲く春の湿原や、黄金色に輝く草紅葉など、四季折々の景観に感動を覚えたそうだ。さて、その感動は山歩き初心者の全さんに伝わるのだろうか。苦しい山登りのイメージを覆す、尾瀬のゆったりハイキングを楽しもう。

尾瀬ヶ原から望む燧ヶ岳。風のない日には、湖面に写り込んだ「逆さ燧」も見ることができる。
【1/800sec F5.6 ISO125 露出補正+0.3 焦点距離約55mm】

東西を山に挟まれた湿原帯・尾瀬ヶ原へ

当日の朝は、うっすらと霧もかかっていたが、尾瀬の場合はそれも幻想的な味わいに変わる。快晴の日も、雨の日も、それぞれに異なる多彩な表情を見せてくれる。濡れた草花や木肌はもちろん、水滴をまとった蜘蛛の巣さえも美しい。
鳩待峠から尾瀬ヶ原への下り道は、樹林帯の中。よく整備された木道を歩きながら、「すごく歩きやすい。安心感がありますね」と安堵の表情を見せる全さんに、四角さんは「ゆっくり行きましょ」とアドバイス。
木道で足を止めて、「木目が人の顔みたい。1本の樹のフシが対称になっているからですね」と足元にG3 Xを向ける四角さんと、巨木に這う苔を撮影する全さん。「苔は仕事でもよく使いますが、ここまで立派なものは見られないです」。カメラを持って歩くと、1人1人の視点の違いが面白い。
そのうち、天気予報をいい意味で裏切って、空に晴れ間が覗いてきた。「夏の景色が広がってる!」と、四角さんは小さく歓声を上げる。待望の日差しを愛おしむように、樹の幹に映る自分の影をパシャリ。
ゆっくり1時間ほど樹林帯を下り、至仏山荘を越えると、お待ちかねの尾瀬ヶ原が見えてきた。

自然が織りなす樹形の妙は、人間の想像力を超えている。
【1/320sec F5 ISO800 露出補正-1.3 焦点距離約51mm】

水滴をまとった蜘蛛の巣。この美しさも、自然による偶然の造形物だ。
【1/640sec F6.3 ISO400 露出補正-0.7 焦点距離約240mm】

独自の視点による写真で、太陽の光を歓迎する四角さん。
【1/400sec F5 ISO800 露出補正+0.7 焦点距離24mm】

湿原の中には小川も流れる。景色の豊かな変化で、歩く者を飽きさせない。
【1/320sec F6.3 ISO125 露出補正0 焦点距離約110mm】

雲の晴れた至仏山をバックに、尾瀬ヶ原をのんびりと歩く2人。
【1/400sec F5.6 ISO125 露出補正+0.3 焦点距離約32mm】

花から花へとつなぐ、命のリレー

既に花盛りは終わっていたが、ニッコウキスゲも目にすることができた。
【1/2000sec F5 ISO500 露出補正0 焦点距離24mm】

トモエソウの花粉に虫たちも歓喜。自然の中にいることを思い出させてくれる。
【1/400sec F5.6 ISO125 露出補正+0.7 焦点距離約197mm】

四方を山に囲まれ、豊かな湿原が広がる尾瀬ヶ原。尾瀬ヶ原は、周りを取り囲む山々の火山活動によって原形が生まれ、その後、約8000年にわたって植物のスゲ類やミズゴケ類などからなる泥炭が積み重なることによって、現在の湿原に発達してきたという。
「こんなに手付かずの自然が日本の中にあったなんて……。いつもは自宅とアトリエ、花市場と現場の往復ばかりなのですが、やっぱり都心とは違いますね(笑)」と新鮮な感動を見せる全さん。
「尾瀬では、命のリレーを味わってほしいです。季節ごとにいろいろな花が咲いては枯れて、次の命へとリレーしていく。咲いている花々もきれいだけど、“一瞬”の美しさだけでなく“一生”を見届けたくって。枯れゆく姿も美しいんです」と四角さん。

この日の尾瀬では、ニッコウキスゲ、コバギボウシ、トモエソウ、ヒツジグサなどの花々が目を楽しませてくれた。四角さんはG3 Xのチルト液晶モニターを可動させて、ローアングルで尾瀬の花を撮影する。尾瀬の名物であるニッコウキスゲは、例年に比べて花が早く終わりつつあったけれど、その代わりに他の花々が湿原を彩り始めている。これが四角さんの言う、命のリレーということなのだ。
「きれいに咲いている花を見るとエネルギーをもらえますよね。一生に何回、この景色に出会えるだろうって思います。景色との出会いって、本当に奇跡の掛け合わせ。この日、このルートを通ったから出会えたんですよね」と四角さんは感慨深げだ。

色の可憐な花が美しい、コバギボウシ。
【1/320sec F5.6 ISO125 露出補正+0.7 焦点距離約455mm】

諦めていたところに現れてくれたニッコウキスゲの花に、四角さんも感動。
【1/2000sec F5 ISO500 露出補正0 焦点距離約154mm】

G3 Xのチルト液晶モニターは可動式のため、足元の花も気軽に撮影することができる。
【1/320sec F5.6 ISO125 露出補正+0.7 焦点距離約110mm】

未の刻(午後2時頃)に咲くことから名付けられたヒツジグサが、昼頃からポツポツと開花。
【1/320sec F4 ISO125 露出補正0 焦点距離約35mm】

自然に囲まれ、自然を味わうということ

フラワーアーティストという職業柄、全さんは、尾瀬の珍しい花々に反応されるのかと思いきや、意外な被写体にG3 Xを向けた。「ほら、あんなところに鳥がいるんですよ。池ではカモが泳いでいるし、小さいサンショウウオも見つけました」と、尾瀬の生き物たちに興味津々だ。24~600mmまでのG3 Xの高倍率のズームを駆使すれば、遠くの被写体も手に取るように写真に残すことができる。
そんな全さんを見て、「そうですね、尾瀬って花だけじゃないんですよね。生き物も住んでいる。全さんは、初めての尾瀬に先入観がなかったから、私たちの気づきにくいこの自然の魅力にも気づけたんですね」と四角さんは感心する。 「野生の動物が本当に自然に溶け込んでいるというか、そこで暮らしているということが、すごく新鮮で。ひょっとしたら、自分はバードウォッチングが好きなのかも(笑)」と自分の知らない一面に気づけたという全さん。
「何かを求めてきても、思い通りにいかないのが自然。全さんが見つけた動物もそうですし、目当ての花が咲いていなくても、他の花が咲いていることもある。そういうことも全部含めて、大きな自然の中のことだって受け止められたら素敵ですよね」と四角さん。
全さんの感性に刺激を受けて、自然の中を歩くことの醍醐味を再確認できた四角さん。その日、その時だけの感動を味わいに。G3 Xを持ってまた山を歩こう。

尾瀬は道標ひとつを取ってみても、垢抜けた雰囲気が漂う。
【1/1000sec F5 ISO125 露出補正0 焦点距離約116mm】

全さんが発見したサギと思われる鳥。こんな時には600mmまで寄れるズームが活躍する。
【1/500sec F5.6 ISO125 露出補正0 焦点距離600mm】

親子のように連なる木立を、山々を背景にして撮影。
【1/1250sec F5 ISO125 露出補正+0.3 焦点距離約43mm】

この日のゴールは竜宮小屋。水は近くの沢の上流から通しているとのこと。
【1/1250sec F7.1 ISO400 露出補正+0.3 焦点距離24mm】

あまり気負うことなく、気軽に自然を楽しめるのが、尾瀬の魅力。
【1/400sec F6.3 ISO400 露出補正0 焦点距離約35mm】

わたしの一枚。

尾瀬を歩きながら2人が撮影した写真の中から、お気に入りをセレクトしてもらいました。

四角 友里さんセレクト

木道を歩きながら、ふと目を足元にやると、まるで人の顔のような木目と目が合いました。カメラを持って歩くと思いがけない発見があり、自然のなかでの一瞬一瞬の出逢いを大切にできるのでうれしいです。
【1/200sec F4 ISO400 露出補正0 焦点距離24mm】

全 智誠さんセレクト

尾瀬ヶ原を歩きながら、ヒツジグサが浮かぶ池を眺めていた時のこと。カモが泳いでいるのを見つけて、思わずG3 Xを構えました。池の中には幼いサンショウウオも泳いでいましたし、すごく感動しましたね。今、自然の中にいるんだなと実感できた瞬間の写真です。
【1/1000sec F5.6 ISO160 露出補正0 焦点距離600mm】

※焦点距離は35mmフィルム換算の数値です。

No.17