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VOICE CINEMA EOS SYSTEMを体験した、プロフェッショナルたちの活用事例。

CINEMA EOS SYSTEM

WORLD ORDER 『AQUARIUS』『CHANGE YOUR LIFE』 PV

『AQUARIUS』PVをみる

『CHANGE YOUR LIFE』PVをみる

EOS C300/C300 PL

写真:越智一心さん

command E Ltd. 映像作家/撮影監督 越智一心さん 「豊富なLレンズをフル活用できるEOS C300」

元格闘家で、タレント、作家活動をしている須藤元気が、6人のダンサーとともに結成しているダンスパフォーマンスユニットWORLD ORDER。今回、PVの撮影監督として参加し、『AQUARIUS』と『CHANGE YOUR LIFE』をEOS C300で撮影しました。最新アルバム『2012』のDVD/Blu-ray Discには、メイキング映像「Making of "WORLD ORDER"」も入っていますが、こちらはEOS 5D Mark IIで撮影しています。

これまで、色味やボケ足を生かしたい撮影には、EOS 5D Mark II、EOS 7Dを使用してきたました。そのため、明るいLレンズを何本も持っています。EOS 5D mark IIで撮った時の色乗りやボケ足が好きなので、これらのLレンズをスチルだけでなく、EOS C300でムービーにも活用できることは大きなメリットです。個人的にEF70-200mm F2.8L IS II USMは大好きなレンズで、これがEOS C300に使えるというだけでも嬉しくなりますね。シネマレンズには、キレの良さや色のトーンなど、シネマレンズとしての良さがあります。しかし、WORLD ORDERの撮影では、狭いところで短時間に撮影をしなければならないことも多く、軽量・コンパクトで高解像なLレンズの良さが生きたと思います。

「コンパクトなボディで撮影に機動力が出た」

京都と空手をモチーフに、ステレオタイプの和の世界を世界に伝えたいと作られた『AQUARIUS』は、メインシーンを旧嵯峨御所・大覚寺で撮影しました。室内や回廊のシーンは観光客がいない夜間18~21時と早朝4~8時の時間帯に撮影を行いましたが、重要文化財に指定されているものも多く、撮影機材には気を遣いました。回廊や畳を傷つけないために、なるべく軽量の機材を使用する必要があり、小型・軽量なEOS C300によって周辺機材もコンパクトにすることができました。

WORLD ORDERのダンスパフォーマンスは、合成やオーバー/アンダークランクを使用せずに、7人のコリオグラフ(振り付け)を合わせたライブパフォーマンスなんです。カメラワークを採り入れたいという提案もしたのですが、ダンスパフォーマンスの難しさに加えてカメラワークのファクターが増えるということにもなるので、スタティックな画作りの方を求められましたね。というのも、コリオグラフのタイミングがなかなか合わずに、何10テイクもかかることもあれば、ほんの数テイクでOKになる場合もあるんです。撮影が進むにつれて、これだけコリオグラフを合わせるのが大変なのに、カメラワークが「NGでした」とはなかなか言い辛いものだと感じました。

今回最も大変だったのは、室内の襖の前でコリオグラフしているときに、パンニングしながら寄って行くシーンですね。WORLD ORDERの作品でドリーを使用したのはおそらく初めてのことだと思いますが、大覚寺の室内を小型軽量のドリーを使って人力で動かしています。さらにCINEMAX製3D多角度撮影装置XYスライダー[KATANA]を使用してカメラを寄せています。この機材は、上下左右の動きに加えて、カメラを前後に動かすことが可能な小型スライダーです。ドリーを止めて、さらにカメラを寄せたあとに、彼らのコリオグラフ・パフォーマンスが終わるまでの1分か1分半の間は視野を止めておかねばならず、大変でした。カメラが震えることも許されずに息を詰めて耐え忍ぶような撮影で、軽量なEOS C300であるからこそ撮れたと思います。KATANAは、日本のホストクラブ文化を世界にという視点で作られた『CHANGE YOUR LIFE』で、シャンパンタワーのシーンでも活用しています。3軸で動くスライダーでありながらも、1人で組み立てられるコンパクトなKATANAは、機動性もあり、とても便利に活用できました。

写真:WORLD ORDER 『AQUARIUS』 PV

「撮影と同時に編集していく『スマート・プロダクション』」

WORLD ORDERの撮影は、Canon Logを使用して、50Mbpsでコンパクトフラッシュに記録しました。このデータを使用して、MacBook ProにThunderboltディスプレイを接続して編集したときに、リアルタイムに再生して編集できると検証できたことも大きかったです。実は、撮影と並行して、スクリプターがエディターの役目も担って、現場でFinal Cut Pro 7を使用してCanon Logのままカット編集を行ったのです。カラーグレーディングもその担当者がAfter Effectsを使用して行いましたので、私は撮影部分でいかに良いカットを撮るかという部分に集中できました。

データ管理の部分ですが、制作ワークフローとして、撮影部がまずHDDにコピーして、そのHDDを制作部がさらに別のHDDにバックアップするという方法を採ってダブルチェックしています。つまり、コンパクトフラッシュを消す段階まで、3回のバックアップ確認をしないとデータを消せない仕組みにしています。この段階になってようやく編集作業に入るので、バックアップを取ったつもりでデータを消してしまったり、バックアップもなくマスターで編集を始めてしまうという事故はなくなりましたね。

撮影現場で編集制作も同時進行させていく方法は、私たちは『スマート・プロダクション』と呼んでいます。MacBook Pro Ratinaも登場したので、マシンパフォーマンスもカラーバランス確認も十分な性能を持っています。これからの現場では、エディターが編集するのか監督が編集するのかはケースバイケースですが、ますます『スマート・プロダクション』が行われていくでしょうね。

写真:WORLD ORDER 『AQUARIUS』 PV 撮影風景左の方がMVの監督である近浦啓さん

「高感度で、地灯りを生かした撮影が可能」

須藤さん自身が、パフォーマンスを見て足を止める人たちや、携帯で撮られているのも含めて生かしたいと考えているので、いかにもここで撮影をしていますというような、煌々とライトを付けて撮影をするのではなく、その場の自然な雰囲気を生かした撮影が求められました。ライブ感を生かしたいということで、「今、撮ってください」ということも多く、機動性も必要でした。最初は戸惑いましたが、カメラを置いて水平を出したら、いつでも撮れるようにしていないといけないという感じでしたね。

絞りやシャッタースピード、感度のバランスを考えれば、撮影部としてはできるだけライティングの光量を確保したくなります。WORLD ORDERの撮影では、エキストラを仕込んだ撮影はしていないので、その場の雰囲気に興味を持って視野に入ってきた人も登場してもらうスタイルなんです。煌々とライトを点けて、撮影していますという雰囲気では、なかなか視野に入ってきてもらえないということもあり、最低限の照明を加えるほかは地灯りを中心に撮影しなければなりませんでした。シーンの演出で必要なフォーカス範囲を設定するための絞り値や、コリオグラフに必要なシャッタースピードがあり、さらに地灯りのフリッカーが出るのも恐いので使えるシャッタースピードも限られます。こうした条件から、どうしても感度を高く設定する必要がありました。

『CHANGE YOUR LIFE』は、EOS C300を実戦投入して初めての作品です。フィルターとディフューザー2枚を入れて撮影しました。フィルターなどを使用すると、それだけ暗くなるので、さらに高感度側が必要になります。最初は、高感度なISO 10000なんて設定をしてしまって、画質は大丈夫だろうかと戸惑いました。実際にISO10000で撮影した映像のノイズがちょっと気になっていたのですが、データバックアップ後に、エディターがAfter Effectsを使用して簡易グレーディングとノイズリダクションを行い、生データとノイズリダクションの映像を比べて見せてくれたのですが、十分に活用できるポテンシャルを持った映像だと理解できました。

写真:WOWOWの「ホラー特集」WOWOWプライム「ホラー特集」EOS C300は、これまででは考えられなかった高感度設定が可能なカメラだと体感でき、活用範囲が確実に拡がりましたね。『CHANGE YOUR LIFE』『AQUARIUS』の撮影から始まり、最近では、WOWOWの「ホラー特集」の番組宣伝映像にEOS C300を活用しました。『ラスト・エクソシズム』のネルと『リング』の貞子の戦いという設定で撮ったものです。高感度なEOS C300を生かし、アパートの部屋で40Wほどの灯りだけを使用して、演出としてLED照明をスポットライト的に加える形で撮影しました。これまでの現場であれば、明るいセットの中で色を作って、コントラストで締めて行くような制作をしていたと思います。高感度なEOS C300を使ったことで、肉眼の暗さに近いようなセットでの撮影が可能になりました。必要な絞り値、シャッタースピードを確保しながら、高感度設定を活用して撮影を行っています。

「撮影、ライティング、予算すべてに革命をもたらす」

EOS C300で、照明部が大掛かりなライティングを行うことなく、地灯りの環境下でも撮影が可能になったことは革命的なことだと思うんです。撮影部と照明部は一心同体で、これまではシーンの演出をするために、照明を増やしつつ、「演出上ここに照明が当たるのは嫌だ」「そこは照明が当たり過ぎている」というように、最終的な仕上がりを想像して照明を切りながら、何時間もかけてセットを組み上げてきました。EOS C300は見た目に近いライティング環境でも撮れるので、肝の入ったライティングを何時間もかけて作り上げて来たようなセットを、少ないライティ ングで短時間で作れるようになったんです。

写真:WORLD ORDER 『CHANGE YOUR LIFE』 PV 撮影風景

これまでは、この明るさでは絶対に撮れない、撮れてもノイズが酷くて使えないと判断していたセットでも、EOS C300を使うから少しフィルを足してもう少し作り込んでみるかという感覚になれるのは、大きなメリットです。決して照明部がいらなくなったわけではなく、これまでとは異なるライティングのやり方も可能になったんですね。

見た目に近いライティング環境で撮影することは、香盤も組みやすくなりますし、撮影日数も少なくなりますし、予算も軽減できてくる。EOS C300の機能で単に撮影が楽になったというだけではなく、EOS C300というカメラが登場したことで、企画、予算、撮影、制作のすべてのワークフローが影響を受け、新たな可能性が生まれて来たと思います。ローバジェットだからこれだけしかできないと諦めていた制作も、照明も香盤も特殊機材もコンパクトにできることによって、作家性も作品性も向上できるようになったと思います。やはりEOS C300は、すべてに革命ももたらしたカメラですね。フィルム時代から長い時間をかけて培われて来たオーソドックスな照明技法や撮影技法がありますが、現代のヌーベルヴァーグとでも言うような、新しいスタイルを用いながら新たな作品を生み出していきたいです。

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