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キヤノンが満を持してリリースした「A2」サイズに対応したインクジェットプリンター「imagePROGRAF PRO-1000」。
「PIXUS PRO LINE」と「imagePROGRAF」という、キヤノンが誇る二つのブランドの総力を結集した新しいモデルだ。
ライバルの牙城を切り崩すために、そこには多くの技術と、さまざまな思いが込められている。

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  • 2016.03.01

Episode.12 「imagePROGRAF PRO-1000」

新しいインクが示した高画質の可能性と課題

写真:岡崎秀一 仲谷明彦 左/色再現領域を最大20%拡大させる新インク「LUCIA PRO」の開発を担当したキヤノン(株)の岡崎秀一
右/「imagePROGRAF PRO-1000」の“写真画質”を支える画像プロセスの開発を担当したキヤノン(株)の仲谷明彦

「PIXUS PRO LINE」の高画質を実現しながら、業務用である「imagePROGRAF」の高い生産性も実現する。これは簡単なことではない。どちらもプロが業務で使うことを前提としているだけに、求められる性能は高く、実現しなければならない機能は多い。中には相反する要素も少なくないはずだ。だが、森川の言葉には、開発チームが多くの課題に挑戦し、それを解決したという自信に満ちている。

「お客さまが求めるレベルのものに仕上げることができたと、自負しています」

彼らは、どのようにして難題に挑んでいったのだろうか。まず、これまで以上の高画質を実現した「imagePROGRAF PRO-1000」に欠かせない要素の一つが、従来よりも最大で20%も色の再現領域が広まった新インク「LUCIA PRO」だ。ポイントは「黒」の高性能化。開発を担当した岡崎秀一は「フォトブラックインク」では黒がより黒くなったという。

写真:imagePROGRAF PRO-1000 「imagePROGRAF PRO-1000」では、これまでの「PIXUS PRO LINE」用のインクと比べて倍以上となる大容量インクタンクを採用。インク交換の頻度を減らして高生産性に貢献する。インクタンクは本体の左右幅を抑えるために、排紙口の下部に配置されている

「黒は他の色と違って可視光全域の光を吸収する性質があります。その際に余分な反射をいかに抑えるかが難しい。インクの液体としての色特性だけでなく、用紙に定着した後の色材層の顔料粒子の大きさや形状、配置が揃っていないと余分な反射が生じて白っぽく見えてしまう。『LUCIA PRO』では材料を粒子レベルから研究し直し、さらに溶剤などの組成を最適化することで解決しています」

「LUCIA PRO」のポテンシャルの高さには、開発チームのメンバーも驚いたという。画像データを印刷データに変換する「画像プロセス」という工程の開発を担当した仲谷明彦が振り返る。

「試しに新インクで出力してみて、こんなすごい画が出せるのかと驚きました。と同時に、これは大変だとも思いました」

なぜ「大変」なのかを岡崎が説明する。

「皆、経験的に分かっているのですが、インクの性能や画像性能が上がるほど、その裏に大きな課題が潜んでいる場合が多いのです」

  • 画像:LUCIA PRO LUCIA PRO
    「imagePROGRAF PRO-1000」が使用する「LUCIA PRO」は、11色の顔料インクに「クロマオプティマイザー」(右図)を加えた新しいインクシステム。新開発の「フォトブラック」「マゼンタ」には新規の色材が使用されており、色の再現領域が最大で20%も拡大しており、表現力の高さには目を見張るものがある
  • 画像:クロマオプティマイザー クロマオプティマイザー
    クロマオプティマイザーとは、顔料インクを採用する「PIXUS PRO LINE」用に開発された透明インクのこと。インク間の段差を軽減して反射光の均一性を高めることで光沢のムラを少なくしたり、本来の色とは違う色味が付いて見える「ブロンズ現象」を抑え、イメージをより忠実に再現する役割を果たす

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