カテゴリーを選択

トップ > 特集 「売れない時代」の処方箋 “買う”と決める、そのココロ > ケーススタディー1

「売れない時代」の処方箋 “買う”と決める、そのココロ

人が商品やサービスを「買いたい!」と思うとき、そこにはどのようなメカニズムが働いているのだろうか。 売り手はどのようにしてそれに働き掛けていけばいいのだろうか。「モノが売れない」といわれるこの時代に人々の購買意欲を促す方法を探る!

  • Twitter
  • Facebook
  • 特集
  • 2016.12.01

「売れない時代」の処方箋
“買う”と決める、そのココロ

来店客の心理をつかむ現場の「人間力」ドン・キホーテ

トイレットペーパーから高級ブランドまでを取りそろえた圧倒的な商品ラインアップ。天井まで商品を隙間なく積み上げた「圧縮陳列」。迷路のように入り組んだ通路。目を引く手書きのPOP──。数ある小売店の中で、ドン・キホーテほど個性が際立つ店はない。

海外にも展開しているドン・キホーテグループ約350店舗に共通するコンセプトは「便利さ」「安さ」「楽しさ」だ。「必要な物を必要な時に買う」だけではなく、ワクワク・ドキドキしながら「宝探しのように買い物を楽しんでいただきたい」とドンキホーテホールディングスの広報担当者は言う。

  • 写真:サマーグッズの売り場 ビーチサンダルや海水パンツなどのサマーグッズの売り場を海の演出で盛り上げる。商品担当者が自分のイメージをPOP制作スタッフに伝え、POPや装飾類を作ってもらうという
  • 写真:カラフルなPOP 商品を隙間なく並べる「圧縮陳列」と来客の目を引くカラフルなPOP。ドン・キホーテの代名詞ともなっている売り場づくりだ。この賑々(にぎにぎ)しさが多くの「ドンキファン」の心を捉えている
  • 写真:利用シーンに応じて関連する商品を並べるレイアウト 商品カテゴリーではなく、利用シーンに応じて関連する商品を並べるレイアウトも、ドン・キホーテが得意とするところ。ここでは「掃除・洗濯」というテーマで商品を集めている

欲しい商品を探す時、その探索の過程自体が楽しく、またその過程で別の商品との出合いなど新しい発見がある。そうして顧客のエモーションを刺激することで、滞在時間・回遊時間を延ばし、客単価を上げていくのが独自の戦略だ。

しかし意外にも、その「楽しさ」の演出に特定のルールはないのだという。

「当社では、現場への権限委譲を徹底しています。品ぞろえ、価格、陳列方法などは、基本的に全て現場のスタッフが決めています」

売り上げが伸びない商品があれば、現場判断で配置や価格を変える。近隣競合店で販売している商品の取り扱いがないと分かれば、現場スタッフが直接メーカーや卸業者に連絡してすぐに仕入れる。その柔軟性によって、「楽しさ」を保ち、日々変化する消費者心理に対応している。

移ろいゆく消費者心理を捉える最良の方法は「観察」だ。店舗内だけでなく、店舗周辺の環境や人の行動を日常的に観察し、店舗づくりに生かしている。顧客の「心」の変化を現場スタッフの「心」が捉える。いわば人をもって人を知る。その仕組みこそが、ドン・キホーテの最大の個性だと言っていい。

1号店が開店したのは1989年。以来27期連続で増収増益を達成している。その快進撃を支えているのが、顧客の「心」を捉え続ける現場の人間力なのである。

  • 前のページ

    three men talk
    「体験」や「感覚」が消費者の購買意欲を動かすカギ(P2)
  • 次のページ

    ケーススタディー2
    「特別扱いの心地よさ」が顧客の心を捉える
    「オルビス」

C-magazine サイト トップページに戻る

PDFで閲覧する場合は、デジタルアーカイブスへ

このページのトップへ