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  • 2020.03.01

[Vol.9] 林立する巨大な岩に圧倒される ツィンギ・デ・ベマラの絶景

画像: 岩の尖塔群写真:iStock
人を拒絶するかのようにそびえる岩の尖塔群。岩の高さは、最大で100mほど

画像: ムフガシ 写真:iStock
ムフガシは朝食として食べられることも多い。ほかスイーツなど屋台料理も多彩
画像: マダガスカルで見られるキツネザル 写真:iStock
マダガスカルで見られる固有種の動物の代表格がキツネザル。このエリマキキツネザルをはじめ30種類以上が生息している

カッターの刃にも似た、先端が鋭く尖った岩が幾重にも続く……。アフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶマダガスカル島の世界自然遺産「ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区」の景色は、数万年もの歳月をかけて石灰岩のカルスト台地が浸食されて生まれた。「ツィンギ」とは、マダガスカル語で「先が尖った」という意味だ。

海に守られたこの地では独自の生態系が育まれており、生息する動植物の約8割が固有種。「自然学者にとっての約束の地」といわれるほど、希少生物の宝庫だ。とりわけこのツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区は複雑な地形が行く手を阻むため、人間がまだ足を踏み入れていない場所が1500km²に及ぶ広大な地域の大半を占めている。今なお、新種の動植物が発見されることも少なくない。

秘境ゆえアクセスは容易ではなく、拠点となる島西部の町モロンダバからツアーを利用しても、少なくとも往復で2泊3日は必要となる。時には車が大きく揺れる悪路が待つが、その分、人智の及ばない秘境へと足を踏み入れることへの期待感は高まるだろう。奇怪ともいうべき自然の芸術を目の前にしたときの、感慨もひとしおだ。

岩山の間を進み一帯を見通せる場所までたどり着けば、SF映画で描かれる異世界に紛れ込んだかのような不思議な眺めが広がる。途中、岩陰からトカゲが顔を出したり、跳ねるように走るベローシファカをはじめキツネザルと遭遇したりする機会に恵まれることも。乾燥した環境でも生きていけるよう幹の中に水分をためる巨大なバオバブの木も、目を奪われる存在だ。

体力に自信があるなら、安全ベルトで安定を確保しながら岩山を登るツアーに参加すれば、より心躍る冒険気分を味わえる。ヘリコプターで上空を飛ぶツアーでは、林立する岩山が都会の高層ビル群のようにも見える、ダイナミックな絶景を堪能できる。

マダガスカルには、かつてこの地を支配したフランスの影響が随所に残っており、建築物などにその名残を見ることができる。また、首都アンタナナリボをはじめとした街中では、米粉から作られる甘いパン「ムフガシ」を体験したい。バナナやマンゴーといった、フルーツもぜひ。濃密な甘みは、澄んだ青い空とともに南国の記憶として胸に刻まれるだろう。

画像: 行き方
画像: 行き方

キヤノン単独提供番組 「世界遺産」

毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンはその理念に共感し、映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」をはじめとした機材協力も行っています。時には最新の4Kカメラで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。www.tbs.co.jp/heritage/

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