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トップ > イノベーション [Vol.4] 清涼飲料水 > P2
食品衛生法によると、清涼飲料水とは乳酸菌飲料や乳製品を除くアルコール1%未満の飲料のこと。戦後急速に発展を遂げ、災害時にはライフラインとしての使命も果たす。瓶から缶、ペットボトルへシフトした容器と共に歩みを振り返る。
1991年、空前のヒットを放った商品が「カルピスウォーター」(当時、カルピス食品工業)だ。希釈せずに飲める簡便志向などに支えられ、アウトドアで飲料を楽しむといった社会背景にも合致した。
数年後の96年にはリサイクル設備が整い、自主規制を撤廃した小型ペットボトルが登場する。少し前に小型ペットボトルに入った輸入ミネラルウオーターを持ち歩く若者が急増したことも、これを後押しした。
90年代は、コンビニの数も右肩上がりに増えていく。POSシステムを導入したコンビニはバーコードが活用され、消費動向が把握しやすくなった。商品の“ブランド化”にも注力、テレビCMや大規模キャンペーンを行い競争が激化していく。天然水と桃果汁を合わせたニアウオーター「桃の天然水」(当時、日本たばこ産業)もテレビCMを大量に投入し、爆発的ヒットを生んだ。
2000年代は健康やエコブームを背景に、容器の軽量化や自社生産などでコスト削減を図り、各社効率化にかじを切る。無糖茶飲料が再び注目を浴び、「生茶」(キリンビバレッジ)は初年度2250万ケースを売り上げ、特定保健用食品の「ヘルシア緑茶」(花王)は、“トクホのお茶”として急速に認知された。2009年には “しぼれる軽量ボトル”容器のミネラルウオーター「い・ろ・は・す」(コカ・コーラシステム)が大ヒット。震災などにより、防災備品として注目されたこともあってミネラルウオーターの生産量は拡大していく。
近年は「レモンジーナ」(サントリー食品インターナショナル)のように、「想像もつかない味」がSNSで話題になるなど、清涼飲料水は想像を超えた進化を続けている。
1990年代半ば、「缶コーヒーを制する者は清涼飲料市場を制する」ともいわれ、缶コーヒーのプロモーション合戦が過熱。写真は1994年のサントリー「BOSS」キャンペーン
取材協力:一般社団法人 全国清涼飲料工業会