カテゴリーを選択

トップ > ビジネスマナー [Vol.5] エレベーターの乗り方で分かる、人間性

  • Twitter
  • Facebook
  • 研修では教えてくれない“イマドキ”ビジネスマナー
  • 2017.03.01

[Vol.5] エレベーターの乗り方で分かる、人間性

「失礼します」「どうぞ」。 乗り降りの際には、ひと言添えるのがエレベーターの鉄則。

(Illustration:yoshifumi takeda)

ビジネスシーンでは、マナーが身に付いた大人の振る舞いをしたいもの。それには添える言葉が重要だ。エレベーターに目上の人と同乗する際には、自分が操作盤の前に立ち「開」ボタンを押し、相手を奥へと導くのが基本だ。

しかしここで、無言のままでは「マナー知らず」と思われかねない。先に乗る時には「失礼します」、相手を導く時にも「どうぞ」とひと言があれば、人の印象は変えられる。降りる際にも、「開」ボタンを押しながら「どうぞ」とすすめれば、相手は気持ちよく降りられるはずだ。

イマドキ マナー作法

来客をエレベーターの外で見送る時のお辞儀は1回。ペコペコと何度も頭を下げるのは見た目にも悪い。閉まるまで頭を下げておくのがスマートだ。

では、乗ろうとした時にエレベーター内が混雑していたり、操作盤の前に人が立っていたりする場合はどうすればいいのだろうか。外からエレベーターのドアを押さえ、「どうぞお乗りください」と目上の人を先に乗せよう。行き先階は操作盤の前の人に「○階を押していただけますか」と告げればいい。後ろから手を伸ばして押すのは無作法だ。行き先階で自分が先に降りた方がいいと判断した時も、「失礼します」のひと言を忘れずに添えよう。

エレベーターの下座は操作盤の前、上座は操作盤の対角線上の奥。席次はこれだけ覚えておけば十分だ。操作盤の前では、目上の人に完全に背中を向けるのは避け、やや振り返り気味に立つのがマナーである。一度操作盤の前に立ったら、途中から人が乗ってきても、目的階で降りるまでは責任を全うする。後輩が乗ってきても譲る必要はないが、遠慮して行き先階を告げられずにいる後輩のために、尋ねるくらいの余裕は欲しい。

来客をエレベーターホールで見送る時は、エレベーターの到着を心置きなく待てるよう、天気や近隣のランチ情報など会話ネタを用意しておきたい。到着後は外側からドアを手で押さえ、客に「どうぞ」とすすめる。見送りは、閉まるドアとシンクロさせてお辞儀をしよう(写真参照)。

エレベーターは未知の箱。定員で乗れない時もあれば、他の会社の人と乗り合わせることもある。予測不可能な環境だけに、臨機応変な対応力と言葉が必要になる。駅や商業ビルなどの公共エレベーターであっても、人への気遣いを意識し、コミュニケーションスキルを磨いておきたい。

石原壮一郎 氏
コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、『大人力検定』『大人の合コン力検定』など、大人をテーマにした多くの著書を上梓。大人の奥深さを伝えつつ、大人に必要なたしなみを世に説いている。『季節と暮らしのマナーとコツ』(学研)、『大人の言葉の選び方』(日本文芸社)など著書多数。新聞、雑誌、Webなど多方面で活躍中。

C-magazine サイト トップページに戻る

PDFで閲覧する場合は、デジタルアーカイブスへ

このページのトップへ