CSR活動の報告について|第三者コメント

キヤノンマーケティングジャパングループ(以下、キヤノンMJグループ)は、自社のCSR活動に対し客観的な評価を得るために、立教大学 経営学部 教授 デイヴィス・スコット氏から第三者コメントをいただきました。

「キヤノンマーケティングジャパングループ CSR報告書2012」を読んで

写真:立教大学 経営学部 教授 デイヴィス・スコット氏
立教大学 経営学部 教授 デイヴィス・スコット氏

キヤノンMJグループのCSR報告書2012は、企業が危機から何を学び、どのように社会への貢献を果たしたのかを示した大変優れたレポートです。多岐にわたるCSRへの取り組みを、包括的かつ詳細に報告することは、とても難しいことです。しかし、この報告書では、膨大な活動内容を取り上げながらも、それらに対して、どのような方針を掲げ、どのように計画し、そして実行していったのか、明確な説明が付された報告に仕上がっています。

トップメッセージ

川崎社長は、「Business with CSR」というフレーズを用い、CSRを実行する上で、社会的な幸福を実現させるための問題を解決する努力が、自分達の事業活動といかに重なっているのかを説明しています。まさに、このトップメッセージが今年度の報告書の方向性をうまく表していると思います。
しかし、実際に事業活動と社会的な幸福という2つの目標がうまく平行して達成されている結果を見ると、むしろ「Business as CSR」というフレーズを用いてもよいくらいかもしれません。

また、キヤノンMJグループのCSRについて、次の3つのコミットメントを宣言しています。

  • 約束事を果たすべく、自社が持つ知識と活力を最大限に活かすことによって、お客さまとの間に信頼を築くこと。
  • 国内外の取引先との関係において、客観性と透明性を保ち続けること。
  • 提案する製品とサービスにより、事業の継続性、資源エネルギーの利用効率、そして災害に直面した際の復旧と復興を確実に後押しする統合ソリューションをお客さまに提供すること。

これら3つが、このCSR報告書を評価する際の基準になるでしょう。このレビューでは、目的の説明、その実現までの過程、そして「信頼」「透明性」「統合」の3つの観点を軸として、その達成度合いにより評価を行いました。

特集
キヤノンMJグループが、環境や社会、そしてビジネスを取り巻く現状や課題を幅広くとらえた上で、顧客価値を創造する知識と機器とサービスを統合したソリューションを生みだし、提供している優れた事例が紹介されています。これらは決して対応が容易な分野ではありませんが、自分達が持つノウハウを巧みに活用して、プロセスやシステムやマーケットを能動的に変化・発展させ、顧客や取引先の事業が円滑に進むように日々努力を続けています。
もし、この報告書に、今後達成しようとしている戦略的目標という観点から、CSR活動の全体的な方向性に関する説明が含まれていたら、さらに良いものとなったでしょう。方向性を打ち出すことによって、キヤノンMJグループ自身も各CSR活動に優先順位をつけることができ、それに応じた評価を行うことができるでしょう。また、キヤノンMJグループの事業におけるコンピテンシー、つまり各事例で述べられているソリューションへのニーズに応えるために行った能力の向上、および連携の施策に関する説明が加われば、報告書としての透明性のレベルはさらに高まることでしょう。
CSR行動計画
キヤノンMJグループが事業計画を策定するプロセスにおいて、広範囲にわたる社会や環境の問題をどの程度重視しているのか、という点が、包括的かつ明確に示されています。また、問題に対して、その範囲に留まらず、必要な時間軸をも明示しています。さらに特徴的な点として、お客さまがどのような目的を達成しようとしているのかを明確にし、それをサポートするために、非常に長期的な視点で見通しを立てている点にあります。
このセクションは、ビジネスから得る利益と、それに伴う責任を一体化する企業姿勢を示す中、その連携の度合いを確かめるプロセスに関する説明が加われば、より改善されるでしょう。
2011年の行動計画に示されている目標の達成状況についての報告は大変すばらしいものです。繰り返しになりますが、なぜ目標以上の成果が出たのか、あるいは達成できなかったのか、これらの経験から何を学んだのか、そして実際にその学びを通じて目標とその実現のためのプロセスをどのように修正し、あるいは新規に設定したのか、それらの達成レベルが体系的にわかるような説明が加えられると、このセクションも、またより改善されるでしょう。
キヤノンMJグループはPDCAサイクルの手法を広範囲に用いることによって、CSRの立案とマネジメントを体系化しています。このPDCAサイクルを、実際にどのようにして進めているのかについて具体的な事例説明が加えられると、他の企業にとってもこの報告書は役立つものになるでしょう。
東日本大震災への対応
従業員、お客さま、そしてキヤノンMJグループに関わるすべての人が、2011年3月11日の東日本大震災発生直後にキヤノンMJグループが迅速に対応し、それ以降も長期にわたって復興に貢献していることを誇りに思うでしょう。この震災に対する極めて広範囲におよぶ活動と取り組みを見れば、キヤノンMJグループの従業員一人ひとりがこれらの活動の計画と実践に大きく関わり、今もなお関わり続けていることがはっきりとわかります。
ガバナンス・コンプライアンス
非常によくデザインされており、現在行われている意識向上とダイアログ(コンプライアンス・ミーティング)の取り組みが紹介されています。このセクションは、ガバナンスに関する情報をもっと増やしたり、社外の人たちとのさまざまな対話から得られた意見やアドバイスをより詳細に説明すると、さらに良くなるでしょう。

結論

キヤノンMJグループのCSR活動には、下記の特徴があげられます。

1.組織力
非常に高いレベルにあり、CSR戦略を総合的かつ入念に計画し、必要性に基づいて進めている。
2.オープン性
取り組みに対する透明性や関連性が高まるように、さまざまな分野のステークホルダーから幅広い意見やアイデアを集めている。
3.ヒューマンスケール
CSR活動の対象となるステークホルダーが、子どもから大人まで、そして、株主や取引先、お客さままで極めて多様である。
4.戦略性
多様なCSR活動やその進め方が、キヤノンMJグループの核となる事業活動と連携している。

日本におけるCSR活動として、キヤノンMJグループのように、組織化され、開放的で、ヒューマンスケールを持ち、しかも戦略的に取り組んでいるケースは、非常に稀なことです。今年度のCSRに関する取り組みの結果を単に報告書にまとめたというだけでなく、他の企業に対しても優れた事例を提供しているという点が、この報告書の大きな特徴と言えるでしょう。

第三者コメントを受けて

昨年に引き続き、デイヴィス・スコット教授に第三者コメントをいただきました。キヤノンMJグループに対する深い理解、そして示唆に富んだ助言に厚く御礼を申し上げます。
この1年の間、東日本大震災を経て、価値観の大きな転換が起こり、さまざまなステークホルダーからの要請や期待の変化を実感しました。その結果、経営トップは、キヤノンMJグループの「CSR経営」をさらに積極的に推進していくことを宣言しました。基本的なCSR活動を徹底した上で、事業を通じた社会課題の解決や社会の発展に資する新たな価値を提供することがサステナブルな社会づくりにつながると考え、その旗印として“Business with CSR”というコンセプトを推進していきます。第三者コメントでは、この考え方にご共感をいただき、意を強くしました。2011年新たに公表した26項目のCSR行動計画を例にとってみると、このようなトップ方針のもと、多くの項目は震災によってもたらされた危機的な状況に向き合うことで、停滞するよりは、むしろ計画の進捗速度を上げることができました。次年度の報告では、CSR活動の全体的な方向性、CSR行動計画やガバナンス・コンプライアンスなどの分野における、それぞれのご指摘・助言にお応えできるような活動に取り組み、レポートを充実させたいと思います。これからも地道に、着実な実績を蓄積できるよう活動してまいります。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
CSR推進本部 本部長
阪田 斉弘


キヤノンマーケティングジャパン株式会社

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