CSR活動の報告について|第三者コメント

キヤノンマーケティングジャパングループ(以下、キヤノンMJグループ)は、自社のCSR活動に対し客観的な評価を得るために、立教大学 経営学部 教授 デイヴィス・スコット氏から第三者コメントをいただきました。

「キヤノンマーケティングジャパングループ CSR報告書2011」を読んで

写真:立教大学 経営学部 教授 デイヴィス・スコット氏
立教大学 経営学部 教授 デイヴィス・スコット氏

キヤノンMJグループのCSR報告書2011は、洗練されたデザインと明確な構成内容を持った包括的な報告書です。短期的、長期的に事業に関わってきたすべての関係者がお客さまの豊かさに貢献するために、十分に計画され実行されてきた事業戦略を、事実に基づき簡潔に示しています。お客さまの豊かさに貢献するために、実質的かつ持続的な価値を生み出すという誠実な目標を事業の根底に据えた企業のみが、このような質の高い報告書を作成できるのです。

トップメッセージでは、2011年の東日本大震災が大きなテーマとなっています。津波の被害を受け、泥や瓦礫に埋もれた家の残骸の中で、残されたものを探す人たちの痛ましい姿に、心を動かされなかった人はいません。被災者の方が、泥水まみれの写真を、倒壊した自宅の中から拾い上げる姿も見られ、その写真は多くの場合、震災前の生活を思い出させる唯一のものになります。この光景にキヤノンMJグループの従業員は特に心を揺さぶられたことでしょう。
また、トップメッセージでは、報告書全体の方向性が打ち出されています。メッセージの中で社長は、お客さまの「安心、安全、豊かさ」の促進というキヤノンMJグループのコミットメントについて明確に示しています。日本を襲った大災害により、あらためてその意義について問い直し、確信に至ったことが述べられています。
さらに、具体的な事業活動の目標として、企業価値をはっきりと指し示しています。俯瞰的に持続可能性をとらえ、相互に利益をもたらすべく、お客さまのニーズに応えていくことがミッションであると明示した上で、このミッションに基づいて打ち立てられた短期・中期の事業戦略について述べられています。ここまで直接的でシンプルに社会的責任を事業として果たしているのは、日本の企業では非常に稀です。
報告書の中で、キヤノンMJグループのCSR活動とは、マーケティングそのものと位置づけており、この報告書のコンセプトづくりと情報開示の質を高めています。CSR活動を8つの重要テーマごとにわけ、それぞれの目標と成果についてバランスの取れたわかりやすい概要が報告されています。これにより、読者に対しCSR活動の目的とその成果についてわかりやすく示しています。

報告書の中で、特に興味深いのは、以下のセクションです。

コンプライアンス
従業員の間でコンプライアンスに対する意識をどのように高めているかについての詳しい説明があるので、コンプライアンスに対し真剣に、広範囲に取り組んでいることがわかります。コンプライアンスの遂行力を高めるために、従業員が話し合った結果や改善提案についての説明が加わると、このセクションがさらに良くなると思います。
環境
このセクションでは、以下の2点について意欲的な目標をクリアするための活動が述べられています。
  1. 自社の環境負荷の低減活動の報告。
  2. お客さまの環境負荷の低減活動をサポートするために提供する多岐にわたる技術、製品、リサイクルサービスについての報告。
多くの企業が環境問題に対してさまざまなアプローチをしていますが、キヤノンMJグループの総合的な環境への取り組みは素晴らしいものです。生産性を高めるために、他社が実施しているような断片的な施策に比べると、技術革新と業務プロセスの改善に基づいたキヤノンMJグループの総合的なアプローチは、非常に有効です。 特定の産業や事業の事例を示し、製品やサービスを導入することで得られるメリットを説明すれば、キヤノンMJグループの能力や可能性についての理解が促進されるでしょう。
情報セキュリティ
多くの企業は、データの量や流れを制限し、情報セキュリティを高めようとします。一方、キヤノンMJグループでは、情報をマーケティング活動の中で適切、かつ自由に使えるようにするため、情報リスクの効果的なマネジメントを促す取り組みをしています。また、社内実践ノウハウも含め、お客さまへ包括的な情報セキュリティ課題の解決を可能にしています。このセクションもまた、特定の産業や企業における情報を革新的かつ安全に運用する上で、キヤノンMJグループが貢献している具体的な事例を示すと、より良い内容になると思います。
ビジネスパートナーとともに
製品とサービスのマーケティング担当者として、責任ある生産者とサプライヤーとの間の強い絆を作り、維持することは、キヤノンMJグループとお客さまにとって非常に重要な責務です。「ビジネスパートナーとともに」というこのセクションは、そうした関係をいかに重視し、関係を築き、育むための多くの計画を詳しく述べています。相互のパートナーシップとその成果を高めるためにキヤノンMJグループとそのパートナーが掲げた具体的な目標に関する情報が加われば、このセクションはさらに充実すると思われます。

この報告書では、全体を通して特徴あるCSR活動が体系的にまとめられており、広範囲にわたる包括的な報告がなされています。事業活動の一環として、社会価値を創造するための明確な計画を戦略に組み込み、積極的に実行する企業姿勢もうかがえます。企業が社会的責任に戦略的に取り組む際に参考となる報告書といってもよいでしょう。

第三者コメントを受けて

「長期経営構想フェーズⅡ」をスタートさせた節目となる本年は、デイヴィス・スコット教授に第三者ご意見をいただきました。キヤノンMJグループを深くご理解いただき、ご対応くださいましたことに厚く御礼申し上げます。本報告書の制作の真っただ中に起きた東日本大震災。さまざまな支援策を講ずる中、現地の方々が、津波で流された家族や友人の写真を拾い集める光景に直面し、あらためて自社のDNAや存続意義を確認することができました。企業が存続することの重要性、その大前提となるサステナビリティ。事業を通じて社会課題の解決を図り、自社の特長を活かすことで存在意義が認められ、企業と社会の持続的な相乗発展を目指す。結果として企業価値の向上につなげる。この考え方にご共感をいただき、意を強くしました。2007年にCSR推進本部が発足した当初より、経営トップが「CSR活動は、マーケティングそのもの」と発信しており、その本質には、絶え間なく変化する社会の要請や期待に、キヤノンMJグループらしく応えていく、という意味を込めています。サービス創造企業として、「ビジネスがCSRにつながる」「CSRをビジネスにつなげる」といった観点から、“Business with CSR”というコンセプトを推進してまいります。次年度の報告では、ご指摘いただいた、環境、情報セキュリティなどの分野における取り組み成果の具体的事例をさらに充実させることを含め、地道ながらも、グッドプラクティスを蓄積できるよう活動して参る所存です。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
CSR推進本部 本部長
阪田 斉弘


キヤノンマーケティングジャパン株式会社

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