特集1 医療格差の解決と医療費抑制に寄与する、医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」

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医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」は、医療機関や地域間の連携を促進し、さまざまな課題を解決します。

日本の医療が抱える医療格差と医療費問題

本格的な高齢化社会を迎える中、日本の医療は多くの課題を抱えています。
代表的な課題のひとつとして、都市部と地方における医療格差があります。都市部の大規模の病院と比べて、地方の中小規模の病院では専門医不足が顕著となっており、その中でも、患者の検査画像から症状の診断を行う専門医である「読影医」が、常駐していない病院も地方では少なくありません。読影医による画像診断は、質の高い医療をスムーズに行うために大変重要ですが、それらを提供できない環境は、地方では珍しくないのが現状です。
一方で、医療費問題も深刻な課題のひとつです。国民全体の医療費は年々5000億円程度増加しており、保険料だけで賄うことが厳しいため、多額の不足分が税金により補われています。高齢化が進行するに伴い、定期的な受診が必要となる高齢者の人口比率が増加することから、国民全体の医療費はさらに増え続けている見通しとなっており、医療費抑制への取り組みが必要となっています。

「Medical Image Place」による連携強化で、医療の課題を解決していく

先に挙げた課題の解決を目指し、キヤノンマーケティングジャパンと遠隔読影サービス事業者の(株)メディカルイメージラボは、2013年7月より医療現場に向けたクラウドサービスの共同研究開発をはじめました。研究開発過程においては、およそ1年にわたって病院と読影医が抱えている課題を徹底的に抽出しました。この調査の結果から特に神経を注いだのが、命を扱う医療だからこそ必要とされる高度な安定性の実現と、多くの個人情報を取り扱うために求められる情報セキュリティー面の整備でした。また並行して、今後さまざまなサービスを付加させていくことを視野に入れ、より汎用性が高いシステムの構築にも注力を行いました。
このようにして、医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」は開発されました。このMedical Image Placeの活用により最初に実現したソリューションが、「遠隔読影インフラサービス」です。このサービスを利用いただくことにより、読影医が不足している地域でも、遠隔地にいる読影医による質の高い診断をスムーズに受けることができるようになります。
現在、Medical Image Placeでは、CTスキャンやMRIで撮影した検査画像の読影を依頼した病院と依頼を受けた読影事業者の間で共有が可能です。将来的には、健康診断や病歴などのさまざまなデータをあらゆる地域の医療機関で共有できるようになります。今後、医療の現場においてMedical Image Placeの活用が広がり、過度な検査や投薬がない適切な治療が拡充していくことで、結果として国民全体の医療費の抑制につながることが期待できます。

Medical Image Place全体像

Medical Image Place全体像の図

キヤノンの画像とクラウドの強みが生きた新しいつながりの仕組み

(株)メディカルイメージラボ
代表取締役会長 北海道大学名誉教授 宮坂 和男さん
代表取締役CEO 平澤 之規さん

写真
宮坂 和男さん(左)
平澤 之規さん(右)
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医療画像の一例

広大な土地に医療機関が点在している北海道では、札幌、旭川、函館といった大都市以外の地域では、医師が常に不足しています。特にCTやMRIなどの画像をもとに診断を行う読影医の少なさが、大きな悩みとなっていました。
こうした医療の地域格差を解決すべく、北海道大学病院では1988年に全国に先駆け、遠隔読影のシステムを導入して実験的な取り組みをはじめました。その後、読影体制を整えるための事業会社として当社を立ち上げ、現在約60の医療機関に読影サービスを提供していますが、近年はシステムの老朽化とデータ量の大幅な増大への対応が課題となっていました。
将来を見据えた次世代システムの共同開発をいくつかの企業に打診する中で、私たちの要求の水準に唯一応えてくれたのがキヤノンでした。画像処理やクラウドの技術を持つキヤノンと、私たちの経験を掛け合わせることで、より高品質なシステムを作ることができる。そう確信しました。その後、キヤノンのメンバーがおよそ1年の時間を掛けて依頼病院の業務をつぶさに観察し、読影医のニーズもくみ取りながらシステムを作り上げ、Medical Image Placeが完成したのです。
現在、医療機関へのMedical Image Placeの導入が着々と進んでいます。今後、広域での医療連携を実現する基盤としてMedical Image Placeは大きな力を発揮することとなるでしょう。将来的には、キヤノンの画像処理技術を活かした画像自動診断など、より高度なサービスが実現すると期待しています。私たちも、依頼元である病院とのコミュニケーションをより深めながら、医療の質の向上に引き続き寄与していきたいと思います。

Medical Image Placeを活用したさまざまなサービスを展開

Medical Image Placeを活用したサービス:遠隔読影インフラサービス、医用画像外部保管サービス、医用画像システムサービス

Medical Image Placeを活用したサービスの第2弾として、膨大な医療画像データを保管する「医用画像外部保管サービス」を既にリリースしており、2015年度には医用画像システム(PACS)を管理する「医用画像システムサービス」を発表する予定です。また、大学との協働による、画像から自動的にがんの病変を見つけ出す研究なども進めており、実用化に向けて開発を進めています。
病気を未然に防ぐ予防医療の領域では、多くの画像データを扱うため、Medical Image Placeの活用が特に期待されています。キヤノンの持つレントゲン検査などの医用画像に関するノウハウと、Medical Image Placeが有する高度な利便性と汎用性を融合した、新たな問題解決の方法を検討しています。 将来的には医療のみならず、予防や介護などの領域にもMedical Image Placeを拡充し、さまざまな現場間の連携を強化していくことで、長期的な健康増進への寄与を実現していきたいとも考えています。
まだ始動したばかりのMedical Image Placeですが、「医療を支えるキヤノン」として今後も研究・開発を続けていき、医療業界が抱える社会課題の解決に寄与するとともに、一人ひとりに寄り添った医療の拡充に貢献していきます。

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