~取り壊される校舎での最後の思い出づくりを~小学校向けサポートプログラム 校舎の思い出 プロジェクト

実績事例世田谷区立東大原小学校

ご協力をいただいたアーティストの方に
お話を伺いしました

お仕事では、いつもはどこにどのような絵を描く事が
多いですか?

絵本作家なので、60cm×40cmサイズの絵本の原画を描くことがほとんどです。原画展を行うときは、絵本の原画の他に50号や100号などの、ふすま位の大きいキャンバスに描くこともあります。また、必ずスケッチブックを持ち歩いて旅をしているので、外でもどこでもスケッチしています。今回のような壁画を描いたことはありませんでしたが、美術館のワークショップでは、子供たちと7mの絵を皆で描こう、といった取り組みは行ったことがあります。

今回ご協力をいただいた背景、下北沢地域との関わりを教えてください

東大原小学校同窓会OBの皆さんとは、長いお付き合いで、世田谷区で原画展を行ったときは、同窓会OBの皆さんが全員来てくださいました。また、OB会の図書館にも私の本を寄贈しており、並べて下さっているので、皆さん私の本をご存知です。PTA主催で同校で記念講演をやったこともあり、今回のお話は、同窓会OBとPTAとの縁があったからこそ、です。下北沢のホールでもLIVEで子供たちと絵を描いたこともありますし、何かとご縁はありますね。

児童や保護者の皆さん、地域の方の反応はいかがでしたか。

当日はまず、皆さんに絵本を読みました。これは私が大好きな「木に持ちあげられた家」という絵本です。学校に人が来なくなっても、この絵本に出てくる家のように物語がいっぱい詰まっているんだということを心に留めながら、今日の作業をしようね、と伝えました。もう学校がなくなるから落書きでいいや、ではなくて、皆この学校で自分の物語がたくさんあったはずだから、今日はそれを描いてみようね、と。子供たちはとても真剣に絵本の話を聞いてくれていました。絵本作家として、このプロジェクトに呼ばれたのですから、絵本を交えて、「昨日も今日も明日も物語の中の一日で、その物語を学校に残すために自由に絵を描こう」ということを伝えました。
せっかくこのようなチャンスを頂いているので、材料を使ってただ遊ぶのではなくて、何か心に残るような、いつもの図工とは違う特別な1日にしてほしいと思いました。
今日のイベントでは、子供たちが描いた絵を活かして、いいところを見つけて、それをサポートする側に徹しました。例えば、海を描いている子の隣に、にっこり笑った顔だけを描いている子がいました。そこから波の流れを続けて描き、その顔を活かして人魚としました。二人の子の絵をどちらも活かして繋げました。また、ある作品は絵の具が垂れている箇所があったので、それを活かして花の茎に見立て、筆の穂先を押し当てた形を葉っぱに見立てました。周りにもあえて絵の具を垂らし、お花畑のようにしました。それを見ていた男の子に「私と一緒にやってみる?」と聞くと、とても嬉しそうに「やる!」と答えてくれ、楽しそうに描いていました。最近は、子供同士の縦の繋がりが少ないので、今日のイベントでは5歳から12歳までの子供たちが参加していた為、絵を描くことに慣れてきたら、次は隣の人とどうやったら繋げられるのか、それを促していました。
子供の絵をきっかけに続きを描かせてもらって、さらにそこにまた加わってもらうというスタイルで行いました。 また、子供も大人もあのような絵の具の使い方は初めてだったので、皆絵の具の魅力にとりつかれて夢中になっていたと思います。

今後、「校舎の思い出プロジェクト」を国内の多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

最近は、子供たちがスマホやゲームに慣れ親しみ、その影響か絵がパターン化してしまうことが多いです。木の枝はどのように伸びていくのか、葉はどう出るかなど、想像できない子が増えています。自由に描こうと言っても、記号のようなパターン化された絵を描く子供たちが増えていることを私は危惧しています。ですから、今回のプロジェクトやワークショップなどを引き受けて、直接指導し、1人でもいいから絵はパターンでも記号でもないのだと気づいてもらいたいという思いでやっています。1日限りのワークショップでは、理解し絵として残すまで実行するのは難しいので、その子たちの心にどこか残ってくれて、次の機会で活かしてくれたら良いなと思います。このプロジェクトは、そういったきっかけを作るという意味ではとても良いと思います。子供たちだけでなく、図工の先生に対してもきっかけを作っていると思うので、今後も広げていってほしいです。
私は一過性のイベントではなく、継続することが大事だと思っており、福島の飯舘村で子供たちのワークショップを継続して行っています。子供たちの興味を次々と引き出すように工夫して行っています。 「校舎の思い出プロジェクト」も取り壊される校舎だけでなく、その学校の子供たちが行く先で、その後の学校でも続けていければ、一段と活動の意味が上がると思います。

その他、何かありましたら、ご自由にお聞かせください。

当日は午前と午後で2つのイベントがありましたが、私はいつももっと長い時間を取って、子供たちをものすごく集中させて3時間半位行うことが多いです。子供たちの集中力を考えて、1日1イベントが良いのではないかと思います。明るい絵が多かったことは良かったと思います。子供たちの中にはどうしても「悪魔」「戦争」「地震」「×」など、思いがけないものが絵や言葉になって最初に出てきてしまう場合もあります。ですが、そこで注意して描くことを我慢させるのではなくて、その絵の後に「別の世界が広がっていくだろうか?」「続きは?」と促すと、彼らの中に眠っている本当の優しい部分や落ち着いた部分が絵に出てくるので、私はそのように導いています。

ご協力をいただいたアーティストの方に
お話を伺いしました

今回ご協力をいただいた背景、下北沢地域との関わりを
教えてください

下北沢地域とは、落書き防止のためのシャッターギャラリーで最初にお世話になりました。それからは毎年商店街の街路灯に下北沢の子供たちが描いた動物の絵をペナントとして飾り、商店街を動物園にする「ペナントギャラリー」をきっかけに下北沢の皆さんと仲良くなりました。
今回の東大原小学校のことを知り、学生のころからお世話になっている下北沢に恩返しができないかなと考えて参加させていただきました。

お仕事では、いつもはどこにどのような絵を描く事が多いですか?

絵本を作らせていただいているほか、Tシャツや下着などのデザインや、企業のキャラクターのデザインもやらせていただいています。

今回のように壁に絵を描いたご経験はありましたか?

レストランや洋服屋さんや美容室の壁画を描くことがあるので、今回のような場所に絵を描くのは初めてではありませんでした。

児童の皆さんと一緒に絵を描いて、苦労を感じたことはありましたか?

まずは今回時間が2時間と限られていたため、前もってみんなにやることを判りやすく伝える事を心掛けました。そのために事前にワークショップをしたり、描き方のお手紙を書いたりもしました。
大人でも「白くて大きなキャンバスを目の前にして自由に描いてください」と急に言われても、なかなか描くのは難しいと思います。
なので、前もって何をやるのかをきちんと伝えて、導いてあげるのが僕の仕事かなと考えていました。

印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。

階段に描かれた怪獣の絵を使って、写真を撮ったり、鏡に描いた風船の前で手を握ると、風船を持っているように見えたりだとか、最初に思い描いていた、出来上がった画を背景にして面白写真を撮ったりすることをコンセプトとしてやっていて、みんなそれがちゃんと出来ていたので、凄くうれしかったなと思いました。
また、前もって準備してきたことがみんなちゃんと出来ていました。絵の具が混ざってグレーな壁になることはなかったので、本当にみんな凄いなと思いました。

今後、「校舎の思い出プロジェクト」を国内の多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

子供たちにとって、校舎に絵を描くことは特別な体験ですが、ただ自由に絵を描くというのは難しいと思うので、美術の先生やプロの方や経験のある方がガイドしてあげた方が良いと思います。
一生に一度あるかないかの経験なので、ガイドすることで、より素敵な体験で終わらせてあげたい。絵を描く事で悩んで苦しかったりして、絵が嫌いになったりしなければ、最高の経験になると思います。この記憶は大人になっても残ると思うので、子どもたちにとって素敵な経験になるよう、最高のパスを送って欲しいと思います。

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