スポーツフォトグラファー 築田 純 JUN TSUKIDA

1962年埼玉県生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。その後、写真家の水谷章人氏に師事し、1988年にフリーのスポーツ写真家として活動を始める。1997年からスポーツ写真家集団アフロスポーツに参加し、オリンピックなど国内外のスポーツ競技を幅広く撮影。2013年に再びフリーで活動を始める。1989年第5回東川賞新人作家賞受賞。AJPS(日本スポーツプレス協会)、AIPS(国際スポーツプレス協会)会員。

14fps高速連写と高性能AFで写し撮った アスリートたちの瞬間

トップアスリートたちの瞬間のドラマを追い続けるスポーツフォトグラファー、 築田純さんに、新フラッグシップ機のEOS-1D X Mark IIを実戦のフィールドで使用していただきました。そのインプレッションをうかがいます。

限界のそのまた先へ EOS-1D Xを超えた、EOS-1D X Mark II

従来のEOS-1D Xの完成度が極めて高かったため、正直なところEOS-1D X Mark IIの進化が当初、それほど際立つとは思っていませんでした。しかし、実際のスポーツ撮影の現場でシャッターを切ってみた途端、これはとんでもない〝怪物〟が登場してきたと、武者震いしました。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、まさに偽らざる実感です。具体的に言うと、一番驚いたのはAFの進化です。とりわけ恩恵が感じられたのは、「F8対応の測距点が 61点」、つまり全測距点まで格段に増えたこと。従来の「中央1点+上下左右4点」では、よほどの条件でなければ使うことをためらっていましたが、EOS-1D X Mark IIでは、1.4倍だけでなく、2倍のエクステンダーも躊躇せずに活用できます。 被写体となるアスリートたちに近づけないといった厳しい撮影状況にあっても、構図にこだわった〝攻めのAF撮影〟が可能になるため、撮る写真が変わると言っても過言ではないでしょう。私個人としてはトリミングをできるだけ避けて作品づくりを行いたいので、なおさらです。

作例:築田 純 EOS-1D X Mark II・EF500mm F4L IS II USM エクステンダー EF2 × III・F8・1/2000 秒・ISO640 FIS ジャンプワールドカップ 2016 札幌大会で、ぺテル・プレヴツ選手(スロベニア)のジャンプを2倍のエクステンダーを使用して超望遠撮影。F8でも複数の測距点が働いてくれるため、より精度の高いAF捕捉が可能です。

作例:築田 純 【撮影協力:NECレッドロケッツ】 EOS-1D X Mark II・EF300mm F2.8L IS II USM F2.8・1/2000 秒・ISO6400 「ラージゾーンAF」を顔優先で使ってみました。バレーのサーブの瞬間を撮影しましたが、選手の顔をしっかりとAF追従してくれました。ISOは少し高めの6400に設定、画質は十分納得のいくレベルです。

ラージゾーンAFは「使える」期待以上の完成度がうれしい

フラッグシップ機に初搭載された「ラージゾーンAF(ゾーン任意選択)」のスポーツ写真への有効性にも驚かされました。普段は「領域拡大AF(任意選択上下左右)」を基本設定にしているのですが、今回、試しに「ラージゾーンAF」を使ってみたところ、ほとんど狙いどおりのところにAF合焦!これならばアスリートたちの動きが素早く、きちんと測距点を重ねて追いきれないケースでも、かなりの高確率でとらえ続けてくれるでしょう。引き続き、いろいろトライしてみたいと思っています。また、デフォルトでの総合的なAF捕捉力が高められている印象も抱きました。狙いの選手をがっちりととらえ続けてくれるイメージです。厳密な比較テストはしていませんが、例えばラグビーなどのボールゲームの撮影で、狙いの選手の手前に別の選手がかぶってしまった場合でも、そちらにAFが引っぱられることなく、狙いの選手にピントが粘ってくれます。もちろん、競技や撮影意図、写真家の好みなどにもよるでしょうが、個人的には全般的に好結果でした。EOS-1D X同様に、「被写体追従特性」「速度変化に対する追従性」「測距点乗り移り特性」はカスタマイズ可能ですから、使っていく中で、より自分好みの設定になじませていきたいと考えています。

「一瞬を切り撮る!」最高約14コマ/秒の高速連続撮影

作例:築田 純

AF追従で最高約14コマ/秒という非常に速い連続撮影により「決定的タイミング」でよりとらえやすくなりました

スキーのジャンプ競技では、原則として踏み切り直後から着地のテレマーク姿勢まで20数コマくらい、長く連写し続けます。EOS-1D X Mark IIでは、これまで撮れなかった“コマ間”がモノにできるという印象を抱きました。(アンツェ・ラニセク選手[スロベニア])

EOS-1D X Mark II・EF500mm F4L IS II USM・
エクステンダーEF1.4 × III
F5.6・1/2500 秒・ISO20000

作例:築田 純

インプレッション

AIサーボAF III+で動体AFの性能が一段と向上

画像:AIサーボAF

新AFセンサー&光学系の採用に加え、AFアルゴリズムの再構築により、低輝度やF8光束への対応力が高められ、どんな状況でもより高速・高精度なAF合焦が可能になります。

インプレッション

オーバー10000のISO感度も良好

画像:ISO感度

EOS-1D Xも高感度の画質がよかったのですが、画素数がアップしたEOS-1D X Mark II でISO10000以上で撮影しても問題のない良好な仕上がりでした。屋内競技やナイターの撮影も安心できます。

さらに、AF追従で最高約 14コマ/秒の連写性能も予想以上でした。端的にいえば、今まで撮れなかった一瞬を逃さないで撮れるようになる。従来機に比べ数字上は2コマの差ですが、感覚的にはもっと大きいと言えます。前述した革新のAF性能と相まって、肉眼を超えたワンカットをこれまで以上に得られるのではないかと期待しています。連写に関連して、屋内競技場などで効果的な「フリッカーレス撮影」も、大いに歓迎したい機能です。おそらくスポーツ写真家だけでなく、報道カメラマンやハイアマチュアの方にとっても、そのメリットは多大なものになるのではないでしょうか。まだまだ、十分使い込んではいませんが、それでも非常に高い潜在能力の一端に触れられた気がします。アスリートたちの喜怒哀楽の瞬間を写真に刻みつけたい私にとって、顔検知能力が向上した新EOS iTR AFを生かせる「ラージゾーンAF」はこれからもどんどん利用していきたい。今回の撮影で、この新フラッグシップ機の一段と進化した高性能を実感できました。

「アスリートの表情を確実にとらえる」顔優先の自動選択AF

顔優先「する」でラージゾーンAFを選択。選手の顔にしっかりピント合わせできました

今回、積極的に使用した「自動選択AF」と「ラージゾーンAF(ゾーン任意選択)」。右の写真のように複数の選手が交錯するようなシーンでも、こちらを向いている選手の表情を極めて高い確率でAF合焦。期待以上の性能です。

作例:築田 純

作例:築田 純 【撮影協力:NECレッドロケッツ】

インプレッション

フリッカーレス撮影はありがたい機能

画像:フリッカーレス撮影

蛍光灯や水銀灯などの照明下の撮影では、光源のフリッカーによる露出のばらつきや色ムラに悩まされますが、「フリッカーレス撮影」が解決してくれるので、本当に助かります。

インプレッション

EOS iTR AFの被写体追従性能が向上。顔優先も便利

画像:EOS iTR AF

約36万画素RGB+IR測光センサー採用により、被写体の認識能力がさらにアップ。アスリートたちの顔もより高い精度でカメラが追い続けてくれるようになりました。

Other Impression

熱田 護 MAMORU ATSUTA

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