その一瞬に応える“7”。写真家たちの使いこなし術。 私の7流。 EOS 7D MarkII カスタマイズ 野生動物写真家 前川 貴行 TAKAYUKI MAEKAWA

Chapter1 「ISO感度10000でも高画質。撮影範囲はかなり広がった」

ニホンカモシカを撮るために、僕は下北半島を訪れました。警戒心が強いので、見つけてもすぐには近づかず、間合いをはかります。距離を詰め過ぎれば逃げられてしまうし、逆に遠過ぎたら、いい写真になりません。刺激を与えないように徐々に近づいて、絶妙な間合いでシャッターを切ります。被写体との駆け引きは、かなり慎重になります。
最近は、EOS 7D Mark IIの出番が非常に増えました。新しい“EF100-400”と組み合わせると、望遠側で640㎜になります。焦点距離が1.6倍になるということは、野生動物を撮影するうえで非常に有利です。
またカメラの高感度性能は見逃せません。この作品はISO10000で撮りました。十分なクオリティーです。日中とはいえ森の中は光量が少ないので、高感度が使えない時は三脚に頼らざるを得ません。しかし、ニホンカモシカのように発見が難しく、見つけても即座に逃げてしまう動物が被写体の場合、三脚を準備している時間が致命傷になります。絞り優先AEで、絞りは常に開放。さらにISOオートを使います。シャッター速度が落ちないように、ISOオート低速限界を1/500に手動設定。これにより手持ちで撮影でき、手ブレも防げます。この高感度性能のおかげで、僕の行動範囲や撮影の可能性はものすごく広がりました。

EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM、1/640sec、F5.6、ISO10000、露出補正:-2/3

ISOオート低速限界は最高1/8000まで手動で設定できる。

Chapter2 基本は1点AF。65点の測距点をフル活用。

僕の場合、連写よりも1枚ずつ撮ることの方が多いです。ピント精度を大事にしたいので、シャッターを切るたびにAFします。また、AFは1点が基本。被写体や狙った構図に合わせて、測距点を動かし65点をフルに使います。ピントを合わせる場所は、動物の眼。この作品は、手前の子供の眼にピントを合わせました。
もちろん被写体によってAIサーボAFも使いますし、連写にも頼ります。たとえば野鳥の撮影。こういう時は領域拡大、ゾーン、ラージゾーン、65点自動選択など、被写体の動きや背景によって、適切な測距エリアを選びます。AFカスタム設定はデフォルトのCase1。いろいろ試しましたが、やはり汎用性の高いこの設定が、僕には一番合っていました。

被写体の眼にピントを合わせるため、1点AFが使いやすい。
測距ポイントは65点をフルに使い、狙いに合わせ移動させる。

Chapter3 マルチコントローラーでAFフレームダイレクト選択。

操作系で僕が独自に設定しているのが、マルチコントローラーの活用です。1点AFの場合、測距点を頻繁に動かすので、AFフレームダイレクト選択を行っています。ファインダーを覗きながら、すばやく測距点を移動できるので便利ですよ。
高感度もいいし、AFの精度も高い。APS-C機としては、非の打ち所がないように思います。機動性が抜群に高いカメラですから、貴重な野生動物の撮影には欠かせません。

マルチコントローラー

デフォルトでは「OFF」になっている。

前川 貴行の主なカメラ設定

・撮影モード:
絞り優先AE
・ドライブモード:
1枚撮影
・AF方式:
ワンショットAF(1点)
・AFカスタム設定:
Case1
・測光モード:
評価測光
・WB:
太陽光
・ピクチャースタイル:
スタンダート
・高輝度側・階調優先:
しない
・ノイズ低減機能:
標準
・使用カード:
CF 128GB

前川 貴行TAKAYUKI MAEKAWA

全世界をフィールドに撮影を敢行すると共に展覧会の開催、書籍出版にも精力的に取り組む。
2008年日本写真協会賞新人賞。
2013年第1回日経ナショナルジオグラフィック写真賞グランプリ。

希望小売価格 ¥300,000[ケース・フード付き、税別] II型になったこのレンズの強みは、ISの効きが素晴らしいこと。高感度性能の高いEOS 7D Mark IIとの組み合わせで撮影の可能性が広がりました。開放でもかなり高画質なので、最近はこのレンズばかり使っています。 前川 貴行 詳細を見る
Professional Photographer’s Gallery 前川 貴行 TAKAYUKI MAEKAWA

[被写体追従特性][速度変化に対する追従性][測距点乗り移り特性]という3つのパラメーターの設定を組み合わせた、6種類のプリセットを選択可能。シーンに応じて簡単に設定を使い分けることができます。

汎用性の高い基本的な設定

パラメーターの初期設定

被写体追従特性
[0]
速度変化に対する追従性
[0]
距離点乗り移り特性
[0]

障害物が入るときや、被写体が
AFフレームから外れやすいとき

パラメーターの初期設定

被写体追従特性
[粘る:-1]
速度変化に対する追従性
[0]
距離点乗り移り特性
[0]

急に現れた被写体に素早くピントを
合わせたいとき

パラメーターの初期設定

被写体追従特性
[俊敏:+1]
速度変化に対する追従性
[+1]
距離点乗り移り特性
[0]

被写体が急加速/急減速するとき

パラメーターの初期設定

被写体追従特性
[0]
速度変化に対する追従性
[+1]
距離点乗り移り特性
[0]

被写体の上下左右の動きが
大きいとき(1点AF時無効)

パラメーターの初期設定

被写体追従特性
[0]
速度変化に対する追従性
[0]
距離点乗り移り特性
[+1]

被写体の速度変化と上下左右の動きが
大きいとき(1点AF時無効)

パラメーターの初期設定

被写体追従特性
[0]
速度変化に対する追従性
[+1]
距離点乗り移り特性
[+1]

※スポット1点AF(任意選択)と1点AF(任意選択)時は「測距点乗り移り特性」が無効になります。

EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM、1/640sec、F5.6、ISO10000、露出補正:-2/3