レンズの収差

収差の原因

光が物質を透過するとき、その物質によって波長(色)ごとの屈折率が異なる性質をもっています。この波長(色)ごとの屈折率の違いを分散といいます。
プリズムを通過した光が虹色のスペクトルに分離されるのはそのためで、カメラのレンズでも同じ現象が生じます。
また、一枚の球面のレンズでは同じ波長(色)の光でも光の入射位置により屈折する角度が異なり、光の収束する位置がずれてしまうという問題もあります。ひとつの波長(色)でも複数の波長(色)でも、理想はすべての光が一点に集まることですが、実際の光学設計上は、やむを得ず理想の条件との差が生じます。この差を「収差」と呼びます。収差はレンズの性能を測るひとつの目安となっています。

光の波長により屈折率が異なるために生じる現象(例:軸上色収差)/レンズを通った光線が一点に集まらない現象(例:球面収差)

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収差の種類

『収差の原因』に示したように、収差には「光の波長分散」がもたらすものと、球面レンズのように「形状に起因する」ものがあり、前者を「色収差」と呼びます。色収差は光の波長(色)ごとに屈折率が異なることで生じるため、主として色のにじみ(軸上色収差)や色ずれ(倍率色収差)が現れるのが特徴です。また、後者はひとつの波長(色)ごとに発生する「単色収差」であり、この単色収差には「球面収差」や「コマ収差」などがあります。これらは像のにじみや流れが感じられる現象です。ほかにも光とレンズがもたらす収差のうち、一般的に分類されているものがいくつかありますので以下に紹介しますが、そのどれもが避けられない物理現象でもあるのです。

軸上色収差:画面中央部で生じる、主に紫系統の色にじみ 倍率色収差:画面周辺部で生じる色のにじみやずれ 球面収差:画面中央部に生じる、先鋭さを欠いた像のにじみ
コマ収差:画面周辺部で生じる尾を引いたような像の流れやにじみ サジタルハロ:画面周辺部で生じる同心円状に広がる像のにじみ  
非点収差:画面周辺部で生じる動径/同心円方向のピントの位置ずれ 像面湾曲:湾曲したピント面がもたらす画面周辺のピントの位置ずれ  

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収差の影響と対策

収差が生じた写真では、色のにじみ、像の流れ、鮮鋭感やコントラスト不足などの影響が出てしまいます。
主な収差はレンズ周辺の光束をカットする、つまり絞り値を大きくすることで改善されるため、収差の目立つシーンでは少し絞って撮影することが効果的な対策になっています。また、非球面レンズやUDレンズなどはこれらの収差を出来る限り抑制するための技術です。

収差の影響した写真

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