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バイクと光が織り成す一瞬の“美”を追いかけて

「ファインダーを覗いていて、たまらない瞬間はライダーの呼吸と僕の狙いがピタリと合った時ですね。例えばこの写真がそんな一枚です。緊迫した競い合いの中で前を走るライダーが後続との距離を確認するために、ここで後ろを振り返ってくれるんじゃないか。そんな展開を期待して構えていたら、“今しかない”というタイミングで本当にそうなったんです。場所、時間、距離、光といった外的な条件だけでなく、ライダーの動きまでがこちらの思い通りになることなんてそうあることじゃなく、この1ラップ前でも後でも撮れなかったはず。ですから、特に印象深い1枚ですね」

そうやって世界中のレースを追いかけ、光とバイクがシンクロする一瞬の美にこだわってきた大谷さんは94年、ル・マン市で個展を開催することになった。日本人が耐久レースの聖地とも言える場所でそれを実現するには様々な難関が立ちはだかったものの、レースを、あるいはアートをよく知る現地の人々から高い評価を受け、8点もの作品がル・マン市立美術館に永久保存されることになったのである。

鈴鹿サーキットで初めてバイクにレンズを向け、車体をファインダーに収めることもできなかった日から20年という歳月を要したが、何十万回、何百万回とシャッターを押し続けてきた成果をそこに残したのだ。

それからさらに20年以上が経った今も、大谷さんはバイクを撮り続けている。

「全然飽きないんですよね。カメラを構えてファインダーを覗く。やってることはそれだけですが、望遠レンズを装着する作業はいつまで経っても新鮮で、心地いい瞬間ですし、成功も失敗も含めていつも発見がある。同じコーナーで同じバイクを撮っていても同じ瞬間は2度とありませんし、チャレンジの連続だからおもしろいのだと思います。たぶん被写体がなんであれ、フォトグラファーはみんな同じじゃないでしょうか。僕の場合はそれがたまたまバイクだった。なんでもいいと思うんです。撮りたいものに出会い、それを撮り続けることでフォトグラファーの技術は向上するはずですし、なによりそこに喜びがある。幸せな仕事だと思います」

“好きなバイクを美しく写真に収めたい”というシンプルな想いは、もちろん今も変わっていない。その想いを原動力に、「自分のイメージしたシーンはどうしたら撮れるのか」を考え突き詰めてきた。
大谷さんが撮るすべての作品は、その答えを求めて磨き上げた技術と情熱の結晶なのだ。

プロフィール

大谷耕一(おおたにこういち)カメラマン

1958年、奈良県生まれ。大阪芸術大学写真学科を卒業後、スタジオカメラマンとして従事。二輪専門誌『ライダースクラブ』や『グランプリ・イラストレーテッド』の社員フォトグラファーを経て、独立を果たす。24時間耐久オートバイレースの撮影をライフワークのひとつとし、1994年にはその聖地でもあるフランスのル・マン市で個展を開催。そこで展示された8枚の作品がル・マン市立美術館に永久保存されるなど、国内外で高い評価を獲得している。

大谷耕一(おおたにこういち)カメラマン
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