キヤノンギャラリー2016年キヤノンカレンダー展
石川 直樹 写真展:Encounter Nature 日本の風土

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本展は、人類学や民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら作品を発表し続けている写真家、石川直樹氏の作品展です。
本展では、タイトル「Encounter Nature 日本の風土」のもと、2016年キヤノンマーケティングジャパン株式会社カレンダーに収録された写真を基に、デザイン処理を施し展示します。深いブルーの空に静かに輝く秋の月、落ちついた姿を見せる富士山など、石川氏が日本各地を渉猟し心の琴線に触れた光景たちです。
展示作品はすべてキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントします。

開催日程

作家メッセージ

Encounter Nature 日本の風土

脇目もふらずに、ある目的地を目指す。ぼくの旅はそれとはまったく逆だ。もちろん、ある場所へ行くときは、漠然とした行き先だけは決めていく。あらかじめ想定している風景もないわけではない。が、それ以上の出会いがあるときこそが面白い。考えていたことがすべて覆されていくような旅が、ぼくは一番好きだ。予想していたものと違うものが出てくると、ある種の快感というべきか、身体が即座に反応し、シャッターを切る。
自分自身の生活についてもそういうところがある。目指すべきところへ向かっているつもりが、やむをえない出会いなどによって、想像とは異なる展開を余儀なくされる。それが結果的に自分の人生になっていく。だから、A地点に向かっている途中で、B地点の方が面白いと聞いたらそちらに行くし、C地点の方がいいよと言われたらC地点に行く。頑なにならず、柔らかく周囲の情報をできる限り咀嚼する。そうやってあらゆる変化を受け入れながら旅をして、写真を撮ってきた。
今回のカレンダーの写真についても、まさにそういうふうに旅をして、偶然を受け入れながら撮影した。だから、タイトルには「encounter」という言葉を使っている。ただ「会う」のではなく、出くわし、遭遇し、偶然見つけた風景ばかりで、すべての写真に自分自身の反応や驚きが含まれている。
旅とは、端的に言えばそうした「新しい世界との出会い」だと思っている。ガイドブックをなぞるスタンプラリーのような旅ではなく、自分が知っている範囲から一歩でも外に出て、知らないものを自分の目で見たい、と強く思う。
驚きに満ちた光景こそが、自分にとっては“絶景”だ。ただ、そうした風景は何も遠い彼方にのみあるわけではない。たとえば、南方熊楠は顕微鏡をのぞきながら、ファーブルは昆虫と向き合いながら、シートンはオオカミなどの動物と対話しながら、それぞれの絶景を見ていた。本当は自分の身近な場所にこそ、未知の世界があるとも思っている。
13枚の写真は、そんな思いを抱きつつも、一年を通じた日本国内の旅の中で撮影したものである。ぼくは北海道や沖縄など、日本列島の端のほうがたまらなく好きで、必然的にそういう場所の写真が多くなった。あえて地域のバランスをとるようなことはせず、encounterという言葉の通り、自分の出会いを軸に写真は選ばれた。
旅は一期一会である。写真は二度と出会えない風景を記録してくれる。これからも偶然を受け入れながら、旅を続けたい。あらためてカレンダーをめくりながら、さらなる出会いを期待してやまない。

作家プロフィール

石川直樹(いしかわ なおき)

1977年東京生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。
人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。 著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。
最近では、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズ『Lhotse』『Qomolangma』『Manaslu』『Makalu』(SLANT)を4冊連続刊行。 最新刊に写真集『国東半島』『髪』『潟と里山』(青土社)がある。

著作権について
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