"S"の記憶

27

会期 : 2006.7.27 - 2006.8.29

第27回展 広田 尚敬・広田 泉 
「鉄道写真 二本のレールが語ること」

日本の鉄道写真界を牽引し続ける広田尚敬氏と、その思いを継承した広田泉氏親子による作品展。
本展では、40年前に尚敬氏がファインダーに収めたSLのモノクロ写真や、泉氏が撮影した西日を浴びて疾駆する新幹線など、約80点の作品を年代や地域別にまとめて展示。決して離れることなく、どこまでもひた走る2本のレールのような二人の感性と、父と子という強い絆が織り成す鉄道写真の数々が、鉄道の旅へと連れ出してくれる。

  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」

    広田尚敬

  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」

    広田泉

  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」

    広田泉

  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」

    広田泉

  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」
  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」
  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」
  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」
  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」
  • 「鉄道写真 二本のレールが語ること」

作家メッセージ

 先日、キヤノンギャラリー銀座で「写真家親子の肖像」展が開催され、私ども親子も参加させてもらった。12組がそれぞれ、親が子を、子が親を撮影したポートレートを一堂に掲出したものだ。会場に立つと絆の強さが伝わってきた。
 7月から8月の夏休み期間、私たち二人は品川のキヤノンギャラリー Sで、「鉄道写真展」を開くことになった。今度も親子でというキヤノンの意向だ。こちらも好企画だ。ここ数年、日本では家族関係が希薄になってきた。近頃は親が子を、あるいは子が親をという悲惨な出来事が多発している。そうした中で、本来家族はこうあるべきだ、親子の関係はこうなのだというメッセージが2つの展覧会の根底に込められているようで、そこを意義ある好企画と感じているのである。充分に役割をはたしたい。
 私たちは鉄道が好きだ。それぞれ子供時代からのレイルファンで、電車に憧れを持って接している。親の尚敬は、中学時代に初めてカメラを持ち、以来、鉄道写真の虜になった。齢70になっても、常に鉄道に対する夢と感動を抱きながら、現在はEOSデジタルを用いて撮影を続けている。
 次男、泉は私の意向に感銘し、私の鉄道写真という文化を継いだ。およそ文化というものは、きちっとした伝承と、本人の豊かな感性の元に、はじめて次の世で大きく光輝くものなのだ。彼と、鉄道写真の将来に期待している。
 すべての展示写真は、鉄道に対する夢と感動を映像化したものだ。このスタンスは、二人とも鉄道写真をはじめた時から変わらない。枚数的には合計80点ほどを予定し、それぞれ3~5点くらいのパートを20ほど制作したい。たとえば被写体(車両とか駅舎)、空間(地域)、時間(撮影した時刻や年代)、天然現象(雪、雨)などでまとめることになりそうだ。

より具体的に述べるなら、泉の撮影した日没寸前の新幹線は、迫力があるし斬新なので冒頭に大きく掲出する。彼が撮ったロマンチックなハイキー写真はその次に提出する。路面電車では、石畳を凝視した写真の構成も頭の中にある。さらに、尚敬が40年前に撮影した感動が伝わるSLモノクロ写真をデジタルプリントしようなどと考えている。
 フィルム写真はこのSLのみにとどめ、ほかはすべてEOSデジタルを用いた写真で構成する。もちろんデジタルは撮ってからも楽しめる世界なので、そのあたりを意識した作品も展示することになるはずで、泉がもくろんでいる。新撮とまとめは6月になって、他の仕事が一段落したところで一気にと考えている。梅雨時である。雨という天然現象を謳いあげた鉄道写真も新たに狙ってみたい。
 ところで今回の写真展は感激の連続だ。初個展では緊張の連続だったが、今回は親子ということで、開催前から楽しさを味わっている。もちろん長く使用しているカメラ会社から選ばれての開催ということも感激である。
 さらに、たくさんの子供たちに親しまれてきた講談社「乗物えほん」が25周年を迎え、この写真展の後援を申し出てくれたこと。それから愉しみながら制作しているイヤーブック「鉄道写真」の版元、ネコ・パブリッシングが設立30周年を迎え、やはり後援をしてくれたこと。これらには感激とともに感謝のきもちでいっぱいだ。気づいてみると尚敬の場合、鉄道を撮り始めて56年が過ぎ去っていた。
 支えられ、励まされ、おかげさまで、とてもいい写真展になりそうだ。
(広田 尚敬)

広田 尚敬 (ひろた なおたか)

1935年東京生まれ。子供のころから鉄道に魅せられ撮影をはじめる。学生時代に日本の鉄道誌や当時発行部数および内容で世界一だったアメリカの「TRAINS」誌に作品を発表。1960年よりフリーランスの写真家として活躍し現代の鉄道写真の世界を確立した。著書150冊以上。『魅惑の鉄道』(ジャパンタイムズ、1969年)をはじめ、『永遠の蒸気機関車』(日本交通公社、1976年)、『撮った! 国鉄全線二万三〇〇〇キロ』(講談社、1984年)、『電車の写真家』(岩波書店、2004年)などがある。

広田 泉 (ひろた いずみ)

1969年東京生まれ。広田尚敬氏の次男。幼いころからスピード感あふれる乗り物に興味を抱き、父の撮影に同行。鉄道写真歴35年を迎える。2002年よりフリーランスの写真家としてプロスタート。独特の感性と天性の色彩感覚で注目されている。また、カメラやレンズのインプレッションを独自の切り口で手がけている。著書は講談社写真絵本が中心。

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