"S"の記憶

34

会期 : 2007.3.28 - 2007.5.14

第34回展 高梨 豊 
「囲市 かこいまち」

都市とそこに生きる人々を被写体に撮影を続ける高梨豊氏。本展では、「囲う」という人の一般的な営みに隠された感情をテーマに撮影した作品を展示。
都市部の至るところにある工事現場を覆う塀や防塵用ネット。これらの「囲い」は、人々が心に抱いている「所有」や「欲望」という感情を象徴するものだと高梨氏は語る。そうした考えのもと、高梨氏の目を通して切り撮られた作品は、これまで知らなかった都市の新たな一面を見せてくれる。

  • 囲市 かこいまち
  • 囲市 かこいまち
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  • 囲市 かこいまち
  • 囲市 かこいまち
  • 囲市 かこいまち
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  • 囲市 かこいまち
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作家メッセージ

「囲市 かこいまち」について
裏の空地に囲(カコ)いが出来た塀(ヘイ)小噺

子供の頃、洒落たつもりで口にしたものだ。女を囲う、囲い者などと、大人言葉を覚えるたびに、広っぱには塀が出来、一つ二つと子供らの遊び場が減って行った。やがて囲いは所有や欲望の表徴であることに気がつくのである。「囲」はタイトにルーズに変幻するが、その綻びや隙間から日本社会独特の「世間」を垣間見せることがある。

「表徴とは裂け目である。そのあいだから覗いているものはほかならぬもう一つの表徴の顔である」
(R・バルト)

「スケールアウト」について
写真の「大きさ」は曖昧なものである。絵画は最初に大きさが決められ描き始められる。キャンバスの号数はモチーフと画家の世界との抜き差しならぬものとなる。写真は始めに撮影があり、そののち作品の〈住み着き方〉により大きさが決定される。エディトリアルなら机上で見る大きさ、展覧会なら「全紙」と、それらが「写真」の大きさの概念となった。「スケールアウト」とは一般にある「概念」を遥かに超える大きさのことを云い、写真ならばそこに映し出されたモノやコトの意味は変質する筈である。インクジェットプリンター「imagePROGRAF」の大きさとシャープネスは「写真」に新しい表現の可能性をつけ加えることとなるだろう。

高梨 豊 (たかなし ゆたか)

1935年
東京・牛込に生まれる。
1957年
日本大学芸術学部写真学科卒業。
1961年
桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒業。
1964年
第8回日本写真批評家協会新人賞受賞。
1967年
「第5回パリ青年ビエンナーレ」国際写真部門最高賞受賞。
1968年
中平卓馬・多木浩二らとともに写真同人誌『PROVOKE』刊行。
1985年
第34回日本写真協会年度賞受賞。
1993年
第9回東川町国際写真フェスティバル国内作家賞受賞。
1994年
第43回日本写真協会年度賞受賞。

現在 東京造形大学客員教授。

●写真集

『都市へ』(イザラ書房 1974年)、『町』(朝日新聞社 1977年)、『東京人1978-1983』(書肆山田 1983年)、『都の貌』(IPC 1989年)、『面目躍如 人物写真クロニクル 1964~1989』(平凡社 1990年)、『初國 pre-landscape』(平凡社 1993年)、『地名論』(毎日コミュニケーションズ 2000年)など

●著書

エッセー集『われらの獲物は一滴の光』(蒼洋社 1988年)、『ライカな眼』(毎日コミュニケーションズ2002年)など

●写真展

「SOMETHIN' ELSE」(銀座画廊 1960年)、「標的」(銀座画廊 1962年)、「現代写真の10人」展(東京国立近代美術館 1966年)、「第10回日本現代美術展」(東京都美術館 1971年)、「15人の写真家」展(東京国立近代美術館 1974年)、「Neue Fotografie Aus Japan(日本の現代写真)」展(オーストリア・グラーツ市立美術館ほか 1976年)、「Gazing at the Contemporary World:Japanese Photography from the 1970s to the Present」展(世界各都市、JAPAN FOUNDATION 2007年)

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