"S"の記憶

88

会期 : 2013.8.5 - 2013.9.10
キヤノンギャラリー S 10周年記念展 第2部

第88回展 野町 和嘉 
「バハル再訪」

「キヤノンギャラリー S 10周年記念展」の第2部、野町和嘉氏の写真展。
1981年にスーダン南部を訪れた野町氏は、そこで太古より受け継がれてきた人と牛とが共存する社会に感銘を受け、写真に収めてきた。それから32年が経った2012年、再びバハルを訪ねた氏が見た光景は、ドラスティックな時代の流れに翻弄されず、今なお変わらぬ暮らしをする人々だった。本展では、32年前に撮った作品と今のバハルを写した作品約30点を展示。

  • 10周年記念展 第2部 Magic of the blue  - 深遠なる海への旅路 -
  • 10周年記念展 第2部 Magic of the blue  - 深遠なる海への旅路 -
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  • 10周年記念展 第2部
Magic of the blue  - 深遠なる海への旅路 -
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Magic of the blue  - 深遠なる海への旅路 -

作家メッセージ

ヨーロッパから持ち込んだ四輪駆動車を駆ってナイル川踏査の旅を開始したのは、1980年10月、体力だけは自信にあふれた34歳のときだった。
全アフリカを凝縮したナイル川流域の多様な自然と人々の暮らしは、それまでサハラ砂漠をたびたび訪れ、アフリカに取り憑かれた私をすっかり魅了した。なかでもスーダン南部、サッドと呼ばれる湿原・サバンナ一帯で営まれていた、数千年来かわらない、文明以前とも言える、人と牛の共存社会は衝撃的だった。だが不幸なことに、歴史的に、スーダン北部に暮らすイスラム教徒による、奴隷の草狩り場でしかなかったこの地域は、1983年から、終わりなき内戦と飢餓の凄惨な原野と化していった。

2011年、南スーダンが分離独立を果たして旅が可能になったのを契機に、あの牧畜社会はどうなったのか、ぜひとも見届けたいと熱望するようになった。そして実に32年という歳月を経て、私は、牛と人が共存するあの果てしない原野に立つことが出来たのだった。当然のことながら時代の波はアフリカ最奥地にも到達してはいたが、ディンカ族、ヌエル族と呼ばれる牧畜民と牛たちが、牛糞の煙るなかで共に生き延びる暮らしは脈々と受け継がれていた。「バハル」とは、アラビア語で川や海を意味し、この地ではナイル川を指してそう呼んでいる。

野町 和嘉 (のまち かずよし)

1946年、高知県生まれ。
高知県立高知工業高等学校卒業。杵島隆に師事後、1971年よりフリーランスの写真家となる。翌1972年、サハラ砂漠への旅をきっかけとして、アフリカの乾燥地帯への取材を開始。以来、極限の大地の風土とそこに生きる人々、信仰、巡礼をテーマとして地球規模で描き続けている。

●主な写真集、著書

1978年
『SAHARA空と砂の間で』(平凡社)
1979年
『SINAI 聖書の旅 モーセの足跡を追って』(平凡社)
1983年
『バハル アフリカが流れる』(集英社)『サハラ悠遠』(岩波書店)
1985年
『飢えを喰らう いまは嘆きの大地、エチオピア』(情報センター出版局)
1987年
『モロッコ』(岩波書店)
1989年
『敦煌ものがたり』(共著 新潮社)『長征夢現 [リアリズムの大地・中国]』(情報センター出版局)『The NILE ナイル』(情報出版センター)
1992年
『RIFT VALLEY ODYSSEY 地球へ!』(講談社)
1993年
『サハラ縦走』(岩波書店)
1994年
『TIBET チベット 天の大地』『ユーラシアの遠い道』(新潮社)
1996年
『SAHARA [サハラ20年]』(講談社)『ナイル河紀行』(新潮社)
1997年
『写文集 ナイル』(講談社)『MECCA メッカ巡礼』(集英社)
1998年
『ETHIOPIA 「神よ、エチオピアよ」』(集英社)
2000年
『VATICANO ヴァチカン ローマ法王、祈りの時』(共著 世界文化社)
2002年
『メッカ –聖地の素顔-』(岩波書店)
2003年
『イスラーム不思議曼荼羅』(共著 ユーラシア旅行社)『祈りの大地』(PPS通信社)
2004年
『祈りの回廊』(小学館)
2005年
『エチオピア黙示録』(岩波書店)『異次元の大地へ』(高知新聞社)『地球巡礼』(新潮社)
2006年
『名作写真館 19 野町和嘉 祈りの大地』(小学館)
2008年
『ゆるす言葉』(イースト・プレス)
2009年
『PERSIA ペルシア』(平凡社)[仏陀語録]オリジナル』(共著 三五館)
2010年
『サハラ、砂漠の画廊 タッシリ・ナジェール古代岩壁画』(新潮社)
2011年
『Ganges ガンジス』(新潮社)
2012年
『新版 異次元の大地へ』(クレヴィス)

●主な受賞

1979年
日本写真協会賞新人賞
1982年
米国報道写真家協会年度賞銀賞
1984年
第3回 土門拳賞
1990年
『芸術選奨文部大臣新人賞
日本写真協会年度賞
1993年
第24回 講談社出版文化賞写真賞
1997年
日本写真協会年度賞
第13回 東川賞国内作家賞
2002年
大同生命地域研究特別賞
2006年
第5回 藤本四八写真文化賞
よんでん文化振興財団芸術文化賞
2009年
紫綬褒章

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