作家インタビュー

森山 大道

森山 大道

Daido Moriyama

第100回展「遠野 2014」

遠野 2014

PowerShot G7 X・F4・1/1250 秒・ISO125

遠野 2014

40年ぶりに岩手県遠野市を訪れた、森山大道。若いころから興味を抱き、「心のふるさと」と思いを馳せる遠野の地で、森山はPowerShot G7 XとEOS 6Dを使い、どのように世界を切り撮ったのか。今回は、「キヤノンギャラリー S 100回記念」特別展である「遠野 2014」から、一部の作品を紹介する。

40年ぶりに訪れた日本人の「心のふるさと」

民俗学者、柳田國男が編纂した『遠野物語』。40年前、私はそこに記された世界に惹かれ、岩手県遠野市を訪れました。ただ、「遠野」への思いは、それ以前からずっとあったのです。昔から地図が好きだった私は、東北地方の地図を見るたびに「遠野」という地名が気になっていました。字面といい、音といい、なぜか興味を抱いていたのです。そして、初めて遠野を訪れた際に写した作品で、初の個展『遠野物語』を開きました。

遠野 2014

PowerShot G7 X・F2.8・1/60 秒・ISO125

遠野 2014

PowerShot G7 X・F8・1/125 秒・ISO125

今回、40年ぶりに遠野を訪れたのは、当時撮った作品で再び写真展を開くにあたり、その作品を見返しているうちに、無性にまた行きたくなったからです。日本人の「心のふるさと」とも言える景色を眺めたい。都会のような人まみれでなく、山や川など自然を撮影したい。そうした遠野の姿を、前回よりもワイドで広々と撮ることだけを決め、PowerShot G7 XとEOS 6Dを持って、遠野へと向かいました。

  • 遠野 2014

    EOS 6D・EF24-70mm F4L IS USM・F5.6・1/1000 秒・ISO100

  • 遠野 2014

    EOS 6D・EF24-70mm F4L IS USM・F8・1/160 秒・ISO100

現在の写真に写り込む過去と未知の時間や風景

久々に訪れた遠野。そこは、時代の流れとともに変わってしまったところもありました。また、前回は、たまたま祭りの日に撮影に行ったため、人が大勢いたのに対し、今回は祭りが終わった後で人影も薄くこれはこれでいい感じでした。撮影した作品を見返すと、そこには、私が撮りたかった遠野の現在の姿が写し出されていました。

遠野 2014

PowerShot G7 X・F8・1/125 秒・ISO125

遠野を歩いているとき、40年前の記憶が蘇る瞬間が幾度もありました。さらに、幼いころの思い出や、自分では経験していないけれど映画や本で見聞きした記憶と重なる場面もあり、それらが自然にシャッターを切らせたのです。

写真は、目の前の現実しか切り撮れません。しかし、そこに写し出されるものは、過去の記憶であり、未知の時間や風景さえも感じさせる予兆です。今回掲載した作品は、いずれも遠野の現在を写したものですが、そこには、過去も未来も写り込んでいると思うのです。

私は、指先にシャッターが付いているような、カメラが体の一部になっている感覚で、いつだって今立っている場所を切り撮り続けてきました。しかし、心のどこかに、「まだ足りない」という思いが常にあります。何かの記憶に誘発されてカメラを向けるときも、「ここしかない」と思いながら、一方で、「ここではないどこか」を求め続ける。「明日は、どんな一枚が撮れるだろう」。その興味が、これまでも、そして、これからも、ずっと私にシャッターを切らせ続けるのです。

  • 遠野 2014

    PowerShot G7 X・F1.8・1/2000 秒・ISO125

  • 遠野 2014

    PowerShot G7 X・F1.8・1/1000 秒・ISO250

遠野 2014

PowerShot G7 X・F4.5・1/1250 秒・ISO125

遠野 2014

森山 大道 「遠野 2014」

2014.12.18 - 2015.2.9

展示情報

森山 大道

森山 大道 (もりやま だいどう)

1938年大阪生まれ。岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年よりフリー。
写真集「にっぽん劇場写真帖」(1968年)「写真よさようなら」(1972年)「狩人」(1972年)「光と影」(1982年)など多数、San Francisco MOMA(1999年)、Cartier Foundation(2003年)、東京都写真美術館(2008年)、国立国際美術館(2011年)、Tate Modern(2012年)、沖縄県立博物館・美術館(2014年)、他国内外で展覧会の開催多数。

[ 掲載記事について ]
こちらの記事はキヤノンフォトサークル月刊会報誌「moments」2015年1月号に掲載されたものです。

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