作家インタビュー

福田 幸広

福田 幸広

Yukihiro Fukuda

第102回展「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

写真1
EOS-1Ds Mark III・EF500mm F4L IS USM・F5.6・ 1/250 秒・ISO200

「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

さまざまなフィールドに足しげく通い、動物たちの生きる姿をとらえ続ける、福田幸広。弱肉強食という厳しい世界ではなく、動物たちが日常の中でふとしたときに見せる幸せが感じられる瞬間。 今回は、福田が世界中で出会い、切り撮ってきた、動物たちの愛情あふれるシーンを紹介する。

写真家になるきっかけをくれた北海道の動物たち

初めて写真に興味を持ったのは、中学生のときです。テレビドラマで北海道のツルを撮影するシーンがあり、いつか自分も同じ場所で撮影してみたいと思ったのです。高校生になるとアルバイトでお金をため、カメラを買って北海道へ向かいました。そのとき撮った写真は、決してよい出来ではありませんでしたが、自分でツルが撮れたことがうれしく、大きく引き伸ばして部屋に飾っていました。

「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

EOS 50D・EF70-200mm F2.8L IS USM・F3.5 ・1/320 秒・ISO1250

それ以来、毎年冬になると北海道へ行き、ツルやシカなどを撮影していました。ただ、そのころは、よい写真を撮りたい気持ちよりも、動物にカメラを向けられるうれしさの方が勝っていました。自然の中で好きな動物と向き合えることが何よりも楽しかったのです。

大学を卒業して一度は就職したものの冬になると北海道へ行きたくなり、結局、仕事を辞めて動物写真家になりたいと考えるようになりました。だからといってすぐに仕事があるはずもなく、当初はトラック運転手をしながらお金がたまると北海道に行き、撮影を続けていました。そして、徐々にテクニックを身に付け、5年ほどしたころ、ようやく写真家として活動できるようになったのです。

  • 「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

    EOS-1D C・EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー1.4×・F8・1/800 秒・ISO400

  • 「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

    EOS 5D Mark III・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F5.6 ・1/50秒・ ISO6400

  • 「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

    EOS 5D Mark III・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F8・1/500秒・ ISO400

フィールドの中に身を置き「幸せの瞬間」を追い求める

動物写真家になるために仕事を辞めてから26年が経ちましたが、自分のテーマを見つけたのは最近です。それまではがむしゃらに動物たちに会いに行き、撮影を繰り返していただけでした。しかし、撮りためた写真を見てみると、一貫したテーマが見えてきたのです。それが、写真展のタイトルにある「動物たちの幸せの瞬間とき」です。

  • 「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

    EOS-1Ds Mark II・EF15mm F2.8 USM・F5.6 ・1/100秒・ISO1250

  • 「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

    写真2
    EOS 5D Mark III・EF70-200mm F2.8L IS II USM ・エクステンダーEF1.4× III・
    F8・1/1000秒・ISO200

弱肉強食という厳しい部分に目を向けられがちな動物の世界ですが、よく観察すれば、自分の命を守る緊張から解き放たれ、幸せを感じる瞬間が見えてきます。親子の愛情が伝わる光景、たらふく食べてぐっすり眠る姿、そして、動物たちの恋のドラマ。写真1の作品は、親にすり寄る子ゾウのしぐさと親の優しげな目に愛の深さを感じ、写真2の作品は、まるでペンギンが見つめ合ってキスしているような光景に、撮影している私も幸せな気持ちに浸れました。

ただ、これらの光景はたやすく見つけられるわけではありません。何カ月もフィールドに通い、その中で数枚しか撮れないこともあります。それでも、自然の中に身を置き、動物たちを見続けていると、今まで知らなかったことが見え、さらにもっと知りたいという気持ちが芽生えるのです。そして、その好奇心が動物を追い続ける原動力になっています。

また、最近はカメラの進化によって今まで見えなかったものが撮れるようになりました。オートフォーカスの性能が上がったことで動物の速い動きもとらえられ、細部まで鮮明に再現できるので新たな発見も生まれるのです。すると、動物たちを追うことがさらに楽しくなり、意外な一面を発見する機会も増えました。

高校生のころ初めて北海道に行き、ツルを撮影したときに感じた楽しさ。それが私の出発点であり、その喜びは今も変わることはありません。大好きな動物にカメラを向けているときが、今も昔も私にとって一番幸せな瞬間です。

「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

福田 幸広「ぼくらはみんな生きている!」 - 動物たちの幸せの瞬間(とき) -

2015.3.27 - 2015.5.11

展示情報

福田 幸広

福田 幸広 (ふくだ ゆきひろ)

1965年
東京生まれ
1988年
フリーランスとなる。
1994年
写真集:「Life」青菁社
1996年
写真集:「HARP SEAL」青菁社
1999年
写真集:「動物日誌」青菁社
2000年
写真展:「動物日誌」銀座フジフォトサロン
2001年
写真集:「動物にあいたい」青菁社、「動物日誌」青菁社
写真絵本:「タテゴトアザラシのおやこ」ポプラ社、「キタキツネのあかちゃん」ポプラ社、「ウリボウなかよしだいかぞく」ポプラ社
ポストカードブック:「Faces in the Forest 森の仲間たち」 ピエブック
2002年
写真集:「今日は海曜日」青菁社
写真絵本:「ぽっかぽかだいすきおさるさん」ポプラ社、「マナティーはやさしいともだち」ポプラ社
受賞:アメリカ Nature’s Best International Photography Awards 2002 風景写真部門入賞
2003年
写真展:「今日は海曜日」銀座フジフォトサロン
受賞:アメリカ Nature’s Best International Photography Awards 2003 動物写真部門最優秀賞・絶滅危惧種写真部門最優秀賞・水中写真部門入賞
2004年
ミニブック:「タテゴトアザラシの夢を見る」青菁社、「森のひょうきんものシマリス」青菁社
2005年
受賞:イギリスBBC Wildlife photographer of the year 2005 動物部門入賞
2006年
写真集:「寝る子は育つ」二見書房、「ラッコのきもち」青菁社
2007年
写真集:「マナティー」二見書房、「風の友だちモモンガ」リベラル社、「幸せの森のフクロウ」リベラル社
写真絵本:「ラポラポラ」そうえん社
DVD:ビバ!アフリカ VOL-1~VOL-5 イーネットフロンティア
2009年
写真絵本:「子ザルのいちねん」小学館
2010年
写真展:「地球で出会った仲間たち」鳥取県日南町美術館
2011年
写真集:「お母さんといっしょ」二見書房
2014年
写真絵本:「ウマがうんこした」そうえん社、「ねむいんだもん」そうえん社、「オオサンショウウオ」そうえん社、「うさぎじまのうさぎちゃん」小学館、「ママ、あのね」岩崎書店
写真集:「PENGUIN LAND」青菁社
受賞:イギリスBBC Wildlife photographer of the year 2014 両生爬虫類部門ファイナリスト

[ 掲載記事について ]
こちらの記事はキヤノンフォトサークル月刊会報誌「CANON PHOTO CIRCLE」2015年4月号に掲載されたものです。

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