作家インタビュー

ルーク・オザワ

ルーク・オザワ

Luke H Ozawa Takimoto

第124回展「JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-」

JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-

写真1
EOS-1D X・EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM・F10・1/2000秒・ISO100

JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-

ヒコーキを自然の情景とともに描き、時に神がかったシーンを数多くとらえてきた、写真家、ルーク・オザワ。
氏初の個展となる写真展『JETLINER ZERO GLORIOUS -神業-』の中から、作品の一部を紹介する。

誰でも撮れる場所で 神がかった作品を撮る

ヒコーキの美しさやカッコよさを多くの人に伝えたい。そう思ってカメラを手にし45年が経ちました。その間、空港に何度も通い、これまで撮った写真以上の作品を目指し、粘り強く、こだわりながらヒコーキを撮り続けてきました。

ヒコーキが離陸するときのスピードは時速約200km。飛び立つ位置や方向は、機種や行き先、その日の風向きで変わるので、離陸ポイントを予測して撮影場所を決めなければいけません。そして、そのときの光、色も考慮して立ち位置を決め、ヒコーキがファインダーに飛び込んでくるのを待ってシャッターを切るのです。

ヒコーキ写真といっても、僕が狙っているのは、ヒコーキを周りの風景と一緒にとらえる「情景的ヒコーキ写真」です。自然を相手に撮っているので、シャッターチャンスは無限にあります。また、もう一つのポイントが「〜らしさ」を写すこと。夏らしさや沖縄らしさといった、その季節・場所らしさを写真から感じてほしいので、引いて情景的に撮るようにしています。そして、ファインダーの中で四隅を整理し、引き算をして完璧な画面をつくり、そこにヒコー キを飛び込ませて完成形にする。それが僕の撮影スタイルです。

  • JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-

    写真2
    EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F2.8L III USM・F8・1/1000秒・ISO200

  • JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-

    写真3
    EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM・F4・1/1000秒・ISO400

今回、僕の年の写真人生の中で、初めてギャラリーで個展を行うことになりました。テーマは特に決めていないのですが、展示する写真は、誰でも撮れそうだけれど簡単には撮れない作品を基準に構成しました。

例えば、写真3の作品は、よく見ると、右側は雨が降っているのに対し、左側は晴れて明るい空が見える珍しい情景です。関西国際空港に隣接するホテルからこの光景を狙いました。写真4は、羽田空港の展望デッキから夕景を絡めた作品ですが、日が沈んでも、まだ空にオレンジが残っている絶妙な時間帯。ヒコーキのエッジが残照に照らされて美しく輝く瞬間で、夕焼けの空、マンションの明かり、オフィスの窓、ターミナルの光、種の光が絶妙のバランスで並んでいます。このタイミングでヒコーキが来た瞬間を逃さずに撮影しました。また、 写真6の作品は、那覇空港のロビーから3機が直線上に並んだ瞬間を狙って撮影したものです。

僕が行く撮影地の9割くらいは、誰でも行ける場所です。けれど、なかなか撮れない、だからこそ面白いんです。何度も通い、時間帯を見極め、絶好の一瞬を待ち続ける。そうした努力の上に、一枚の作品は生まれるのです。

JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-

写真4
EOS 5D Mark IV・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM・F6.3・1/60秒・ISO5000

撮れたと満足するのではなく 追い続けていくことが大事

簡単に撮れない作品―そのポイントをもう一つ挙げるとすれば、光でしょう。光は季節や天候によって変わり、撮影するその時々で、現場の光の状況を見極める必要があります。そして、光を作品に取り入れれば、劇的な光景へと昇華させることができるのです。

写真1の作品は、成田国際空港での一枚ですが、太陽の輝きを大きく取り入れ、画面下部には陰影の付いた雲のよい表情。ヒコーキは小さいながら、シルエットにしたことで存在感が出ています。写真2の作品は那覇空港周辺で、太陽の周りに現れるハロという光の現象とヒコーキとを絡めた一枚です。薄曇りの日に出ることが多いのですが、晴れた空の真っ白い雲の中に出たのを初めて見て、1時間ほど粘って写し止めました。

  • JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-

    写真5
    EOS-1D X・EF70-200mm F2.8L IS II USM・F2.8・1/60秒・ISO12800

  • JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-

    写真6
    EOS 7D Mark II・EF24-105mm F4L IS USM・F9・1/1000秒・ISO100

これらは自然光を生かした作品ですが、写真5のようにヒコーキが放つ光を取り入れることもできます。これは夜の熊本空港で、空気が霞んでいると、ヒコーキのライトの光軸が伸びて写ります。その光を写しながら、三日月が絶妙な位置に絡んでくれて撮れた一枚です。夕日が沈むと多くの人は帰ってしまいますが、夜の空港は昼とは違う表情を見せてくれ、粘り強く待つことで奇跡的な光景に巡り合うことができるのです。

せっかくヒコーキ写真を撮るなら、見たことのない感動の瞬間に出合いたい。その現場に巡り合うためにはヒコーキの動き、空の変化を予測することが大切ですが、読み方を身に付けるために、お手本の写真を見て真似して、そこに自分なりのレシピを加えて撮っていくことが大切です。そして、感動の現場に立ち合うことができたら、もっとヒコーキ写真が楽しくなり、さらなる一枚を撮りたい願望も生まれてくれるはずです。

空は、毎日変化し、異なる表情を見せてくれます。相手は自然だけに何が起こるか分かりません。発見と驚きに満ちたヒコーキ写真の楽しさを、より多くの人に実感してほしいと願っています。

ルーク・オザワ「JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-」

ルーク・オザワ「JETLINER ZERO GLORIOUS-神業-」

2018.4.13 - 2018.5.26

展示情報

ルーク・オザワ

ルーク・オザワ (Luke H Ozawa)

1959年2月 東京生まれ。ヒコーキと向き合って45年、今や航空写真第一人者。風景とヒコーキをシンクロさせた情景的ヒコーキ写真を確立。時に神がかり的な絵創りは見る者に感動を与えている。ラジオ、テレビ、講演、セミナーなども年間30本近くこなす。生涯飛行搭乗回数はまもなく2000回に達する。これまで手掛けたカレンダーは250本。中でもANAカレンダーは21年、新千歳カレンダーは3年撮り下ろし続けている。2016年全国カレンダー展で文部科学大臣賞受賞。月刊エアライン連載「ヒコーキフォト日記」は210回。著書に、『JETLINER』シリーズ(イカロス出版)、『ANA747FINAL』(イカロス出版)、『ルーク・オザワのヒコーキ写真の撮り方』(誠文堂新光社)がある。

[ 掲載記事について ]
こちらの記事はキヤノンフォトサークル月刊会報誌「CANON PHOTO CIRCLE」2018年5月号に掲載されたものです。

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