携帯情報端末(ハンディターミナル)導入事例北陸ガス株式会社

北陸ガス(敦井榮一社長)は今年4月に検針用ハンディターミナルを更新し、キヤノンの最新機種「GT―31」の初ユーザーとなった。操作性、無線検針の対応などを理由にGT―31を選択したという。北陸ガスのハンディターミナルに対する考えや、検針業務効率化の取り組み、実際にハンディターミナルを使用している検針員の声を紹介する。

検針員の負担を軽減、キヤノン製GT―31を導入

北陸ガス株式会社
営業部業務企画グループ
マネージャー
鈴木竜介さん

同社は1993年9月に、検針業務に初めてハンディターミナルを導入し、約5年周期で機器を更新してきた。2004年2月の2回目の更新の際に、キヤノン製に変更。それ以降は、ずっとキヤノン製を使っている。  今回は4回目の更新で、86台のGT―31を導入した。同機種はキヤノン製に変更してから3機種目になる。本来の更新周期より数カ月早い。長岡市からの川口地区のガス事業譲受と、消費税率の変更に合わせた。  12年10月ごろから更新の検討を開始。13年3月ごろ、GT―31が発売されるという情報を得たことから、発売を待って数社の製品と比較検討を開始した。検針員の負担軽減を重視し、軽量化を含めた操作性向上などを理由に、13年7月に今回もキヤノン製を選択することを最終決定した。  「実際にハンディターミナルを使用する検針員さんの声も採用に関しては重要視しています」と営業部業務企画グループマネージャーの鈴木竜介さんは話す。

ケースに入れたままデータ通信可能

キヤノン製はケースに入れたまま、データ通信できるのが特徴だ。ハンディターミナルは精密機械なので防塵・防滴のケースに収納して使用する。  検針員は1日の業務が終了すると事務所に戻り、検針データを検針システムに転送する。その際、他社製品であればハンディターミナル本体をケースから取り出す必要がある。毎日の作業なのでケースへの出し入れも負担になる。その点、GT―31はケースごと専用の台に載せるだけで、赤外線通信によりデータが転送できるので手間がかからない。データ通信も1分前後で完了する。

北陸ガス株式会社
営業部業務企画グループ
渡辺将和さん

「そのほか、検針員さんは1日平均300~350件を訪問するので、ハンディターミナルに求めるのは軽くて、印字が速いことです」と営業部業務企画グループの渡辺将和さんは説明する。

軽く、速く、見やすく改善

GT―31

GT―31は、北陸ガスで更新前に使用していた前モデルでは金属製だった本体内部のフレームをカーボンファイバー製に変更した結果、本体重量が前モデルの585gから450gと135g軽量化が図られていることが評価された。  毎日持って歩くものなので、135gの軽量化でも検針員に与える負担はかなり軽減する。なお、比較対象の他社機種は550gだったので、GT―31の方が100g軽量となる。

 

印字速度も速くなった。前モデルではメーターの指針を入力して、検針票の印字が完了するまでに約20秒かかっていたが、GT―31は約10秒で完了する。  同社の供給区域は冬場はかなり寒くなるため、印字時間の短縮は検針員に喜ばれているという。さらに画面が明るくなって昼間でも見やすくなった。前モデルは太陽光の下だと画面が見づらいという意見もあった。  同社は04年にキヤノン製を導入すると同時に、検針データを印刷してユーザーに配布する検針票には平たい用紙が折り重なって収納されている蛇腹紙を採用した。  GT―31は蛇腹紙のほかに、検針票がロール状に収納されているロール紙を使うタイプもある。しかし、ロール紙の検針票は丸まってしまうため、投函しづらく見た目も良くない。特に1ロールの最後の方の用紙は丸まりやすい。  ユーザーからも蛇腹紙のほうが見やすいと評判がいいため、今回も引き続き蛇腹紙を選択した。稼働後、故障は1件もない。  今後は検針票の通知欄を活用した選択約款料金の割引額などのユーザーへの周知の実施などを検討しているという。

検針票印字が速く、プログラムと機器本体で

北陸ガス株式会社
総合企画部情報システムグループ
今井啓輔さん

北陸ガスの検針拠点は新潟市、三条市、長岡市、長岡市川口地区の4カ所にある。それぞれ供給する熱量が異なるため、料金単価も4種類ある。  検針システムは、自動的に検針した地区の料金単価を適用する設定になっている。そのため地区ごとにハンディターミナルの設定を変えることはない。  前モデルでの検針の際は、検針員がメーターの指針を入力すると、ハンディターミナルは過去の料金表のファイルをすべて参照して、料金計算していた。ガス料金の単価は原料費調整制度により変更されるため、データが蓄積し、その分、検針票の出力に時間が掛かっていた。  「GT―31導入に伴い、検針員からの検針票の印字速度を速くしてほしいという要望に応えて、検針システムのプログラムを見直しました。現在は過去1年の料金表を参照するようにプログラムを改善。参照するデータ量の削減と機器の処理能力向上により、検針票の印字時間が短縮されました」とシステム開発担当の総合企画部情報システムグループ今井啓輔さんは説明する。

 

GT―31は中央処理装置(CPU)や基本ソフト(OS)がバージョンアップしており、印字速度が向上した。

無線検針に対応

北陸ガスはガスメーターが屋内に設置されているユーザーや、夜間しか営業しない飲食店など約800件のユーザーに対して、メーターの情報を無線を使って読み出す無線検針を導入している。

 

GT―31の導入以前、無線検針の検針作業にはデータ受信専用親機と、そこからデータを転送して、表示する無線検針専用のハンディターミナルを使用していた。   そのため無線検針ユーザーが存在する地区を訪問する検針員は、無線検針用親機と無線検針専用ハンディターミナル、通常の検針用ハンディターミナルを携帯。無線検針用の画面に表示された数値を検針用ハンディターミナルに打ち込む必要があった。  GT―31は無線検針対応機能が搭載されており、無線検針親機からのデータをブルートゥース通信を利用して、直接取り込める。

情報漏洩対策も考慮

万一の紛失や盗難があった際にも情報漏洩が発生しないようにセキュリティーも選定の際には重視した。GT―31は認証用のオプションとしてセキュリティーペンダントが利用できる。北陸ガスもこのオプションを利用。あらかじめ1セットずつ対になる本体とセキュリティーペンダントの認証登録を行う。  認証登録したセキュリティーペンダントでないと対になるGT―31は起動できない。検針員はセキュリティーペンダントを常時携帯し、本体の電源を入れた状態でセキュリティーペンダントのボタンを押すと赤外線で認証を行い起動することができる。一定時間本体を操作しないと電源は自動的に落ちる仕組みだ。  他社製品は電子キーと電波を使って通信する方式を採用している。検針員には高齢者も多いので、キヤノンは操作性、安全性を考慮した赤外線方式を採用したという。

スムーズさ重視で要望、検針はリズムが大切/検針員の声

北陸ガスリビングサービス
高木弘子さんさん

北陸ガスは検針業務をグループ会社の北陸ガスリビングサービス(渡邉義彦社長)に委託している。同社に所属する検針員は72人。高木弘子さんは、そのうちの1人で検針業務を31年続けているベテランだ。

 

新潟市内を担当し、1日当たり平均330件、多い時は400件を検針する。検針が終わると事務所に戻ってデータをシステムに転送。そのままハンディターミナルを自宅に持ち帰り、翌朝は現場に直行する。
GT―31は前モデルに比べ検針票の印字のスピードアップと画面が見やすくなったのを実感しているという。
高木さんは「検針業務は1日に多くのお客さまを巡回するので、リズムが大切です。寒い雪の日などは印字速度が遅いと検針票が出るのを足踏みして待つこともありました。そうするとリズムが狂って、1日の検針ペースが遅くなります。
GT―31になってからはリズムよくスムーズに巡回できるようになりました。さらに、お客さまの部屋番号など検針票の数字が大きくなって見やすくなったのもうれしいです」と説明する。
以前、検針票にロール紙を使っていた時は丸まってしまい、ユーザーに申し訳なく思っていたという。「しかも雨の日にはしおれてしまい、余計に申し訳なく感じてしまいました。蛇腹用紙になってからは紙がしっかりしているので、気持ちよく『ありがとうございました』という思いを込めて検針票をポストに入れています」と高木さんは笑顔で話す。 前モデルでは検針用紙をセットする際、ダイヤルを使って検針用紙の位置を手動で調整していた。GT―31導入後は、検針用紙を差し込み、ボタンを押すと自動でセットしてくれるので、手間がかからなくなった。雨や雪の際、特に利便性を感じるという。
バッテリーの持ちもよくなった。GT―31は前モデルと同様のバッテリーを使用しているが、省電力化により1本当たりの検針可能な件数が2~3割増加したため、バッテリーの持ち運び本数が削減できている。
積雪地方の冬場の検針業務では、ハンディターミナルの持ち運びにも気を使う。ガスメーターは家の玄関脇ではなく側面や裏側に設置されていることが多い。そのような場所は除雪されておらず足場が悪く、時には屋根や植木から雪のかたまりが落ちてくることもある。
同社の検針員は全員、ハンディターミナルはストラップで首にかけており、検針作業中にハンディターミナルを落とさないよう細心の注意を払っている。
冬場以外で気を使うのは、「屋内にガスメーターが設置されているインメーターのお客さまの検針です。以前は、夜間しか営業しないお店の検針は、開店時間に訪問しないと、検針できませんでした。最近は無線検針を導入していただきましたので、そういうお客さまの検針もスムーズに行えるようになりました」。
無線検針のユーザー数は地区によって大きく左右され、多い日は40件ほどになるが、少ない日は1~3件の時もある。 そのように数が少ない地区を検針する際にもGT―31導入以前は無線検針用親機と無線検針専用ハンディターミナル、検針用ハンディターミナルを携帯する必要があった。
「無線検針対応のGT―31導入後は親機と検針用ハンディターミナルだけになったので楽です。導入前は無線検針用ハンディターミナルの画面に表示された数値を検針用ハンディターミナルに打ち込んでいましたが、その手間もなくなりました」と高木さんは話している。

高齢者見守りに協力、検針活用し、行政と連携

新潟市は2012年、高齢者などが安心して暮らせる街づくりを目指した「新潟市高齢者等あんしん見守りネットワーク」を立ち上げた。これに北陸ガスも協力している。  検針員が訪問先で異常を発見すると、緊急性がある場合は警察や消防に連絡、緊急性がない場合は地域包括支援センターに連絡する。  地域包括支援センターは、高齢者の生活を支援するため、新潟市が介護予防や相談窓口などの仕事を委託した事業所。現在、市内の27カ所に設置されている。連絡を受けた地域包括支援センターは支援対象者を特定し、必要な支援や対応を行う。

 

ガスエネルギー新聞 2014年11月10日掲載

お客さまプロフィール

北陸ガス株式会社

このページのトップへ