CapturePerfect SDK京都電子計算株式会社

数万の願書登録をわずか4台のスキャナーで実現したシステムのポイントとは?

『CapturePerfect SDK』で煩雑な設定作業を自動化

同社が『G-entry』を開発したのは2002年のことだ。それまでは他社製のエントリーシステムを利用していたが徐々に規模が拡張し、必要とされる機能も多様化してきたことから、自社開発することになったという。

新たなシステムを開発するにあたって、同社はまず、システムで利用するスキャナーの選定を行った。数社をリストアップし、実際にメーカーからの貸出機を使った読み取りテストも実施したという。そして、スキャナー本体およびOCRエンジン性能からキヤノン製スキャナーを採用した。

「『G-entry』は業務の性格上止めることができないシステムですので、スキャナーを選択するにあたっては基本性能もさることながら、耐久性や信頼性も重視しました。また、キヤノンさんのサポート体制が他社さんよりも充実していた点も評価しました」(鬼村氏)

そのほか、システムでは自動化も大きなポイントとなっている。スキャナーでドキュメントを読み取る際には、用紙サイズや解像度、文字の向きなどの事前設定が必要だ。これらの設定を間違えるとOCRの認識率が下がるばかりでなく、設定ミスによる再読み取りなど、ユーザーの作業効率にも大きく影響する。そこで同社は、これらを解決するため、キヤノンが提供する開発ツール『CapturePerfect SDK』を利用してシステムを開発した。

『CapturePerfect SDK』は、キヤノンのスキャナーDRシリーズに標準添付されている、PCに画像を取り込むためのアプリケーション「CapturePerfect」の各種設定を、プログラム側でコントロール可能にする開発ツールだ。これを利用することで、ユーザーは読み取りを行いたいドキュメントの種類を画面から選択するだけで、最適なスキャン設定を自動で行うことができる。

京都電子計算株式会社 ソリューション事業部 システム部 開発1グループ 世古茂樹氏

「『G-entry』では、大学ごとに異なる入学願書の定義体をあらかじめ設定しており、メニュー画面から読み込みボタンが押されると、指定された願書に合わせたスキャナーの各種パラメータを『CapturePerfect SDK』を使ってスキャナーにセットし、読み込み命令を発行しています」と、実際の開発を担当する京都電子計算株式会社 ソリューション事業部 システム部 開発1グループ 世古茂樹氏は説明した。

実は、同社のキヤノン製開発ツールの利用は長い。

「弊社は『CapturePerfect SDK』になる以前の製品から利用しています。他社の開発ツールは利用できるアプリケーションが限定されているなどの制約がありますが、『CapturePerfect SDK』は、Microsoft .NETやVBから読み出し制御ができるので、汎用性が高く助かっています」(世古氏)

このツールでは、読み込む入学願書の項目ごとに属性を設定することができる。これにより、OCRの認識率を高めることができ、数字やアルファベットの場合は認識率が99%に達するという。

OCR認識文字データの照会画面

入学願書は手書きのことが多いが、枠から多少はみ出る程度であれば、認識率にはほとんど影響しないという。システムを納入した大学の中には数万人規模の願書を扱っている学校もあるが、わずか4台のキヤノン製スキャナーで処理しているという。

また、『CapturePerfect SDK』で開発したアプリケーションは、スキャナーをバージョンアップしても、過去のプログラムを流用して利用できる点も特徴だ。同社ではこれまで3回の機種変更を行ったが、既存のプログラムを生かしながら修正を加え利用している。

「『CapturePerfect SDK』の実行環境は、スキャナーを購入すると標準で付いてきますので、お客様に別途購入いただく必要がない点は助かっています。使い方も簡単で、開発者がSDKの技術を習得する際も改めて教育することなく、マニュアルと製品に付属する無償サポートを利用することで対応できました」(世古氏)

システムの運用は順調

『G-entry』の販売を開始してすでに10年以上経過するが、システムの運用は順調だ。

「キヤノンさんのスキャナーはしっかりと安定しており、デザイン的にも優れていると思います。原稿の傾き補正なども優秀で、イメージ原稿の作成では標準のまま利用しており、特に設定を変える必要もありません。入学願書は写真を貼るためののりがはみ出て、2枚の原稿がくっついてしまうことがありますが、重送検知によりエラーを防いでくれます。実際、目の前で検知されたときは感動しました。これまで大きなトラブルもなく、搬送中に用紙が破れたというような報告もありません。耐久性や信頼性の面でも、消耗部品交換がキヤノンのサポートの方を呼ぶことなく、ユーザーさん自身で行えるので、すぐに再稼動できる点も助かっています」(鬼村氏)

同社ではこれまでの経験を生かし、今後は検定業務や大学向けサービスをクラウド上で展開することや、データエントリーを同社で行い、データだけを顧客に提供するBPO(Business Process Outsourcing)サービスの提供も考えている。

「イメージを作るだけであれば他社でもできますが、弊社は入試事業を30年ほどやっており、入試事務を熟知しています。お客様のニーズを的確に捉えるという自信はあります」と森田氏は語った。

今後新たなビジネスを展開する同社にとって、『CapturePerfect SDK』と『G-entry』のスキャナー+OCRシステムの構築経験は、大きなアドバンテージとなることだろう。

  • この原稿はマイナビニュース 2013年11月15日掲載分を使用しています。
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