毎日使うことが苦にならない使い勝手の良さも必要

作品作りを支えるimagePROGRAFを選んだ理由

自分が世に出す写真は、最終的な使用方法が広告だったとしても、すべて「作品」だと捉えています。写真って、やっぱりプリントしてこそなんですよね。だから、プリント作業は僕たちの仕事の中でも重要な位置にあたります。大判プリンターでのプリントって、かつて銀塩フィルムだった時代に紙焼きや印画紙でしたことをデジタルな作業に置き換えたってことでしょう? ただ、昔は他人の手に任せるしかなかったけど、今は自分が納得するまで作業できる。これが昔と一番違うことで、面白い部分なんです。
「自分のイメージする世界、伝えたい色はこうなんだ」と、思いながらプリントする。そして、出力物が最終形=作品となって現れる。だからこそ、作品をプリントする大判プリンターはこだわりをもって選んでいます。

iPF6350で解消された色への不安

2005年頃導入したW6200では、グリーン部分の色域が思うように出なかったり、プリントを見ながら写真データのレタッチを繰り返す作業が続いて「大判プリンターで思い通りの色を出すのは難しいのかな」と思ったこともありました。でも、今度のiPF6350ではモニタで見た色と近い仕上がりが1回目の出力で得られるようになって、今では色への不安を感じることがありません。
それに、iPF6350はプリントスピードが速いので、枚数が増えてもストレスにならない。加えて、動作音がとても静かなので、隣で作業していてもプリントが終わったことに気づかないことがあるほど(笑)。imagePROGRAFの静音設計には本当に感心します。

透明感のあるグリーン、締まりのある黒を再現

大判プリンターに写真らしさ≠ェ戻ってきた

最近まで使っていたimagePROGRAF iPF6100で、キヤノンの大判プリンターの発色の高さや使い勝手の良さは十分に知っていたので、iPF6350に対しても「どれだけ変わったの?」と半信半疑な気持ちがありました。そこで新旧の機種で同じデータをプリントしてみると、iPF6350は「LUCIA EX(ルシア・イーエックス)」インクの効果もあってか色再現性が一目見て分かるほどに進化していたんです。写真の中に奥行きが生まれ、以前は彩度が落ち気味だったグリーンも一段と透明感のある色で再現されていました。黒の締まりもより良くなった上に色転びもなくなって、モノクロ写真も安心して出せるようになりましたね。インパクトや奥行き、透明感……銀塩写真にあった写真らしさを表現できる大判プリンターが、iPF6350でようやく実現したんだなと実感しています。

フォトグラファーは「色の限界」を決めなくて良い

色調整の作業はAdobe Photoshop CS4で行います。16ビット画像のまま作業するので、プリンタドライバーには 「Print Plug-In for Photoshop」を使用しています。最初の段階で色域を狭めないようにするのが僕のワークフロー。
最初から限界を決めてしまうと、色の世界は狭まっていくばかりでアート性が失われてしまいます。いろいろな意見もあると思いますが、「フォトグラファーは色の限界を決めない」ことが僕のポリシーと言えるかもしれません。

大型プリンターに求める役割はフォトグラファーの思いをしっかりと伝えること

iPF6350で始まる色のコミュニケーション

いちばん色再現域の広いプリンターでプリントすることで、フォトグラファーの考えをレタッチャーに直接伝えることができる。だからこそ、今はプリンター選びが重要なんですよね。プルーフを出すという意識ではなく、「僕がイメージしている色はコレ」とハッキリとした評価対象としての見本を出すこと。これが、コミュニケーションのスタート地点なんです。iPF6350であれば、自分のイメージする色を確実に後工程に伝達できるのではないかと期待しています。

インクジェットプリントは現代において最も進化した「写真」

写真がデジタル化されて、「良い写真データとはハイライトからシャドウまでの階調に破綻がないこと」という論調が生まれました。でも、作品創りにその説は適用されないと思うんです。シャドウが潰れてもハイライトがぶっ飛んでても、フォトグラファーがイメージした世界がそこに映し出されていればそれでOK。それが僕にとっての「作品を創る」ということです。個人的には、現代の一番進化した「写真」がインクジェットプリントではないかと思っています。インクジェットプリントを最も高品質な評価対象として掲示し、印刷でどこまで再現できるかを話し合う。フォトグラファーが最初から色を諦めてしまったら、良い仕上がりなんて期待できないですよ。


作品の個性を演出するメディア選び

メディアを変えて楽しめる写真の質感

普段はフォト半光沢紙の紙をよく使いますが、作品イメージによってはハマらないこともあるんです。昔は用紙を変えただけで色にバラツキが出て作業が止まってしまいましたが、今は正しい用紙プロファイルを使えば用紙の種類を問わずに安定した色再現が得られます。
これだけ多くのメディアが選べるのは贅沢な悩みなのかもしれないけど、やっぱり紙の質感によって変わる作品のイメージを比べてみたいんですよね。

被写体に合ったメディア選びも楽しい作業。写真らしさや重量感、暖かみなどメディアの違いで作品の印象も変わってくる。iPF6350でも多数の用紙プロファイルが用意されているようなので、マテリアルを変えながら作品にマッチする用紙を選びたいなと思っています。だから、「メディアお試しパック」みたいな形で用紙種類がたくさん入った商品が出てくれると嬉しいんだけど、どうでしょうか(笑)?

純粋にモノクロ写真を楽しめる大型プリンターの登場

imagePROGRAF iPF6350が蘇らせたモノクロ写真への思い

iPF6350でモノクロを出してみたんですが、すごくいい。「今年はモノクロ写真を真剣にやってみようかな」と考えています。今までのモノクロ写真はAdobe Photoshopでのレタッチテクニックの話が多くて、純粋にプリントする話にはならなかったんですよね。逆に言えば、フォトグラファーが目指す世界に大判プリンターが追いついていなかったのかもしれない。でも、本音を言えば誰もそんなことはせず素直にモノクロ写真を楽しみたいはず。そんなジレンマをずっと抱えてきたんじゃないかと思うんです。
iPF6350の登場で、「もうそんな小手先のテクニックに囚われる必要はないのかな」と感じました。黒が締まるところは締まって、滑らかなグラデーションは柔らかく、しっとりとした趣もある。本当に印画紙なんじゃないかと思うほど。「LUCIA EX」インクの“黒”の表現力は高いポテンシャルを持っています。
「iPF6350で写真と向き合う元年」──2010年、僕はコレで行こうと思います(笑)