PRO's PRO Voiceグラフィック/写真/デザイン Vol.02

展示用としても販売用としても画期的な大判プリンター プリンティングディレクター 松平光弘[写真 左] × 写真家 木村朗子[写真 右]

黒が締まるおかげで写真に深みが出る。

─ 「imagePROGRAF PRO-1000」の第一印象はいかがですか?

松平 一番大きいのは黒がすごく深くなったことです。黒の締まりがいいのは、キヤノン独自開発の新インクシステムに加えて、透明インク「クロマオプティマイザー」のおかげだと思いますが、それによって立体感が生まれたり、写真に深みが出るような気がします。今までのプリンターと比べると、黒が深いだけでなく、階調がきちんと残っている。影の部分のディテールは、パッと見ただけではわからないはずですが、体が知覚するというか雰囲気を感じるというか、そんな感じですね。

木村 私も、ひと目見ただけで黒が深いという印象を受けましたね。黒の階調がより豊かで、闇がしっかりと表現されています。闇は作品の中で大事な部分なので、すごくいいプリントができたと思います。かといって今までのプリンターに不満があったわけではないんですが、でも実際に比べてみると、「imagePROGRAF PRO-1000」の方が闇の豊かさを感じられます。

─ 木村さんは今度、「imagePROGRAF PRO-1000」のプリントで写真展を開かれるそうですね。

木村 はい、松平さんにプリントをお願いして、約20点を展示する予定です。私は今もそうですが、もともとカラーネガで撮影をしていて、印画紙の時代は自分でプリントしていました。でも、タイプCのカラープリントには劣化が避けられないという問題があって、お客さまにプリントを販売するにあたって、少し心配になることがありました。そんなとき松平さんと出会って、試しにインクジェットのプリントをお願いしたら、とても満足のいく内容だったので、数年前からずっと松平さんにお願いしています。

松平 耐光性は紙や環境によっても違いますが、タイプCは長くても40年、インクジェットのカラープリントだと100年と言われているので、プリントを販売する時には大事なポイントです。「imagePROGRAF PRO-1000」はディスプレイとのカラーマッチングが良好で、色をコントロールしやすいので、これまでの木村さんの作品のような優しい仕上がりのプリントを作りやすいですね。

写真:「木村朗子 i - clouds reaching the heavens -」展の展示作品より。「木村朗子 i - clouds reaching the heavens -」展の展示作品より。 黒の締まりが向上したことで、一段と作品に深みが出た。

─ 展示作品をプリントしてみていかがでしたか?

木村 作品の被写体に、空や海の藍色を含むものが多いのですが、そういうブルー系の色がきれいに出ていると思いました。

松平 「imagePROGRAF PRO-1000」は特にブルーの色域が伸びているので、木村さんの作品にはちょうどいいですね。クロマオプティマイザーによって光沢感が増していますし、表面の平滑性が均一でインクの段差も目立たない。ブロンズ現象という、光の当たり方によって本来とは違った色がついて見えるような現象もほとんどありません。展示用としても販売用としても、クオリティーの高いものができたと思います。

木村 デジタルプリントへ移行した時に、耐久性や品質の面で問題ないという判断はできていましたが、今回はさらにクオリティーが上がったのが嬉しいですね。

─ 用紙は何を使っていますか?

松平 ハーネミューレのフォトラグ バライタという紙ですね。バライタ印画紙のような光沢と質感が特長です。

木村 いちばん最初に松平さんからいくつか提案してもらったんですが、この紙が一番私の作品に合っていると思い、それ以来ずっとこの紙を使っています。

松平 「imagePROGRAF PRO-1000」はいろんな紙が使えるように他社製用紙にも対応していますが、今回はハーネミューレのウェブサイトから「imagePROGRAF PRO-1000」用のフォトラグ バライタのプロファイルをダウンロードしました。ディスプレイとのマッチングがすごくよくて、自分でプロファイルを作らなくても十分なクオリティーはありますね。

ブラックインクを切り替えなくてよいので効率が上がる。

松平 そのほか、このプリンターで素晴らしいと思ったのが解像感です。検証のために1ポイントの極小サイズで文字を出力しましたが、ルーペで拡大すると明らかに「imagePROGRAF PRO-1000」は解像感が高いんです。解像感が高いと細部がよりシャープに再現されるため、プリントの仕上がりにすごく影響してきます。今話題のハイレゾ・オーディオは音の情報量がCDの何倍もあるそうですが、それと同じような話で、人間の目で見えるかどうかの領域まで頑張って出そうとしているのがすごいなと思います。プリンタードライバーの精度が上がったからなのか、黒が引き締まってダイナミックレンジが広がったからなのか、そのあたりは開発者の方に聞いてみたいところですね。

黒がより深くなりシャドー側の階調が豊かになったことで、水面の奥行き感が出ている。夕陽に照らされた雲の立体感の表現も見事。

─ そのほかに「imagePROGRAF PRO-1000」を使ってよかったところはありますか?

松平 僕はいろんな写真家の方のプリント制作に携わっていますが、人によってマット系の紙でプリントしたり、光沢系の紙でプリントしたり、それぞれなんです。今までのプリンターだと用紙に合わせてブラックインクを切り替えていたんですが、キヤノンのプリンターはインクを切り替える必要がありません。作業効率が上がるし、インクを無駄にしないのでコスト的にも大きなメリットです。

ノズル抜けが少ないのもすごくいい。ノズルリカバリーシステムという技術のおかげで、プリントヘッドのノズルが詰まって白い筋が入ったりしないので、安心してプリント作業ができます。「imagePROGRAF PRO-1000」は画質の面でも生産性の面でも、画期的なプリンターだと思います。

─ ブラックインクやノズル抜けなどは、業務用プリンターのimagePROGRAFゆずりですね。

松平 つい最近、「imagePROGRAF iPF9400」という60インチ幅のプリンターを導入しました。「imagePROGRAF PRO-1000」と同じようにブラックインクを切り替える必要がなくて、ノズル抜けもありません。木村さんの写真展では「imagePROGRAF PRO-1000」のほかにも、大きなサイズのプリントは「imagePROGRAF iPF9400」で出力しようと思っています。

木村 品川や銀座などにあるキヤノンギャラリーでいろいろな方の作品展を拝見し、かなりサイズの大きいプリントの仕上がりも美しく、デジタルプリントのポテンシャルの高さを感じていました。キヤノンギャラリーで作品展を見たことをきっかけに、デジタルプリントに興味を持たれる方も多いのではないでしょうか?

写真:「imagePROGRAF PRO-1000」と他のプリンターの出力を見比べる松平光弘氏(左)と木村朗子氏(右)。松平氏の後ろにあるのは「imagePROGRAF iPF9400」。木村氏の後ろには「imagePROGRAF PRO-1000」が見える。「imagePROGRAF PRO-1000」と他のプリンターの出力を見比べる松平光弘氏(左)と木村朗子氏(右)。松平氏の後ろにあるのは「imagePROGRAF iPF9400」。木村氏の後ろには「imagePROGRAF PRO-1000」が見える。

松平 そういうお客様は確かに多いですね。キヤノンの大判プリンターで出力してほしいというご要望も、これまで数多く頂戴していました。

木村 私は今回初めてキヤノンのプリンターで出力してもらいましたが、今まで以上にクオリティーの高いプリントができそうなので、会場に展示するのが今から楽しみです。

松平 僕の方はこれからプリント作業が佳境を迎えますが、頑張っていいプリントを作りたいと思います。

写真4月末開催の木村朗子展では、「imagePROGRAF PRO-1000」および「imagePROGRAF iPF9400」によるプリント約20点が展示される。
会期:4月29日~5月11日 会場:GALLERY SPEAK FOR(渋谷区猿楽町28-2)

松平光弘(まつだいら・みつひろ)

アフロアトリエ プリンティングディレクター。プラチナプリントや銀塩プリント等の伝統技法を習得し、デジタルプリント制作でもそのノウハウを生かして活躍。

木村朗子(きむら・あきこ)

写真家。立教大学社会学科卒業後、写真作品の制作を始め、国内外での展覧会を中心に活動。2014年に作品集「 i 」を発行。2016年4月29日より個展を開催。

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