PRO's PRO Voiceグラフィック/写真/デザイン Vol.05

銀塩写真に近いクオリティーでB0ノビまで出力できるPRO-4000は写真展のプリントを作るのに最適 写真家 白鳥真太郎[写真 左] × プリンティングディレクター 小島 勉[写真 右]

imagePROGRAF PRO-4000は大判プリンターの表現の幅を広げる。

─ 白鳥さんが 7 月に開かれた写真展『貌・KAO II 白鳥写真館「これから…」』のプリントはすべて、
キヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF PRO-4000」で出力されたそうですね。
インクジェットで写真展を開こうと思った決め手は何だったのでしょうか?

白鳥 ここ数年キヤノン「PIXUS PRO-1」を使っていて、モニターとプリントのギャップが少ないと感じていました。アナログの時代はプリントの振れ幅が大きかったので、インクジェットの色の安定性は感心するところです。1999年に『貌 KAO 白鳥写真館』の写真展をやったときはラムダプリントでした。その後はライトジェットプリントなども使いましたが、昨年開いた『貌 KAO 白鳥写真館』の復刻展はインクジェットでした。そのプリントがすごく良くて、昔あれだけ悩んだのは何だったんだろうかと思うくらい、こちらのイメージ通りに出てきたんです。印画紙に対する愛着はもちろん今でもあるんですが、これだけピタッと出るのなら、今回はインクジェットでやろうと。なにせ 100点も展示するものですから、思い通りの色が出せて、しかも安定しているというのは素晴らしいですね。

写真:銀座の和光 本館6階 和光ホールで行われた写真展の様子。銀座の和光 本館6階 和光ホールで行われた写真展の様子。

写真:北野武(展示作品より)北野武(展示作品より)

─ 今回の品質はいかがでしたか?

白鳥 今まで使っていた「PIXUS PRO-1」は黒が締まるところが気に入っていたのですが、最近 「imagePROGRAF PRO-1000」に入れ替えたらさらに黒が締まるようになって、銀塩の黒にだいぶ近づいたように思います。「imagePROGRAF PRO-4000」はそれと同じトーンで、しかも大判にできるので、そこに魅力を感じました。

─ 実際に展示プリントの出力を担当されたのは小島さんです。
「imagePROGRAF PRO-4000」はいかがでしたか?

小島 キヤノンの12色インク大判プリンターは中間調からシャドーにかけて、特にディープシャドーのトーンがすごく自然で、より写真的な画質だと思います。新しいPROシリーズはさらにブラッシュアップされていて、透明インクのクロマオプティマイザーを大判で初めて採用したことが画期的だと思います。それによって黒がより締まるだけでなく、顔料インクなのに染料インクのような透明感や色の鮮やかさも出てきて、大判インクジェットの表現の幅が広がったと思います。今まで写真展のプリントでは、顔料インクの発色の傾向を踏まえてマット系の用紙を選ぶフォトグラファーさんが多かったのですが、これからは光沢や半光沢の用紙をこちらから積極的に提案できそうな気がします。

PRO-1000で色見本を作り、本番はPRO-4000でプリント。

白鳥 僕が紙を選ぶ時は、最高濃度から白に至るまでグラデーションが完璧に出るものという基準があります。表現したいグラデーションは自分で作れるので、紙はそれを十分に受け止められるものがいい。もともと暗室作業が好きだったので、デジタルになってからもトーンカーブでかなり作り込みをします。

小島 今回は僕が紙の候補を3つ挙げて、「imagePROGRAF PRO-4000」で出力して、白鳥さんに見ていただきましたが、最終的に「ハーネミューレ フォトラグ バライタ」になりました。光沢はあるけど表面が少しデコボコしていて、バライタ紙のような質感です。

白鳥 先ほどのグラデーションの話で言うと、いつも使っている純正紙の「キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター」がデータを忠実に再現してくれるので、好きなのですが、データ以上の描写をペーパーに依存してみようと思いました。大判にした時にどうしたら迫力が出るのか、そういうプラスアルファの部分を小島さんに委ねてみようと思ったんです。

写真:桐野夏生(展示作品より)桐野夏生(展示作品より)

─ プリント制作の流れを教えてください。

まず最初に白鳥氏が「imagePROGRAF PRO-1000」で色見本プリントを出力。まず最初に白鳥氏が「imagePROGRAF PRO-1000」で色見本プリントを出力。

色見本と「フォトラグ バライタ」のプリントと比べながら修正の打ち合わせを行った。色見本と「フォトラグ バライタ」のプリントと比べながら修正の打ち合わせを行った。

小島 最初に紙を決めたら、僕の方では「imagePROGRAF PRO-4000」、白鳥さんは「imagePROGRAF PRO-1000」で出力して、それを持ち寄りました。

白鳥 僕が「ラスター」で出したものと、小島さんが「フォトラグ バライタ」で出したものを 比べて見たのですが、同じ A4 サイズでもディテールがかなり違いましたね。その段階で、これは大きくしたらもっと良くなるぞという予感がありました。ただ、カラーはあまり違いがなかったのですが、モノクロだとトーンが少し違って見えたので、そこの修正はお願いしました。

小島 トーンが少し明るめに出ていたところと、紙白の違いによる肌色の見え方を調整しています。でも色が決まってしまえば、後は速かったですね。なにしろプリンターが速いので、ギリギリまで写真を追い込むことができて、満足のいく調整ができたと思います。特に今回は「imagePROGRAF PRO-1000」で色見本を作っていただいたので、意思の疎通がやりやすかったし、プリンターのサイズが違ってもインクとプリントヘッドが全く同じというのは安心感が大きいですね。

白鳥 大きく出力したプリントは想像以上にディテールが出ているし、大きさからくる迫力もすごい。アナログ時代のカラープリントの大変さを思い出すと、隔世の感があります。写真展を開く写真家にとってはいい時代になりました。

写真:変形サイズで出力された展示用プリントをチェックする白鳥氏。A1 変形サイズで出力された展示用プリントをチェックする白鳥氏。

写真:imagePROGRAF PRO-4000展示プリントはすべてB0サイズ対応の「imagePROGRAF PRO-4000」で出力した。

[写真展情報]※ 写真展は終了しました。

白鳥真太郎 写真展 『貌・KAO II 白鳥写真館「これから…」』
会期:2016年7月29日~8月7日 会場:和光 本館6階 和光ホール

白鳥真太郎(しらとり・しんたろう)

国立千葉大学工学部写真工学科卒業後、株式会社資生堂宣伝部写真部、株式会社博報堂写真部(現・株式会社博報堂プロダクツ)を経て、1989年に独立、白鳥写真事務所を設立。1993年写真集『白鳥写真館』発刊。1999 年 写真集『貌 KAO 白鳥写真館』発刊。公益社団法人日本広告写真家協会(APA)会長。

小島 勉(こじま・つとむ)

株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ第二制作本部 GA部所属、インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年入社、1998年よりプリマグラフィを担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、さまざまなジャンルのアート表現に携わっている。

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