The 41st Canon Photo Contest 第41回 キヤノンフォトコンテスト

キヤノンフォトコンテスト講評

[ 審査員 ]菅原 正治、竹田津 実、田沼 武能、沼田 早苗、野町 和嘉 (五十音順・敬称略)

41回目を迎えたキヤノンフォトコンテスト。 14,000点を超える応募作のなかからグランプリ、準グランプリをはじめ、各部門大賞に選出された作品について、審査員の先生方の講評をいただきました。
田沼 武能先生

田沼 1万4000点を超える応募があり、審査員としてはうれしい悲鳴でした。各審査員が厳正な目で選び、最終的に討論した結果、今回の入選作品を決定しました。
 全体に作者の「ねらい」のはっきりしている作品が、上位に入選しました。何を見て感じ、どう伝えるか。それを明確に表現した作品が上位に残ったということです。
 デジタルカメラで撮影した作品の応募が増えましたね。カメラが進化して、写真はシャッターを押せば必ず写る時代になりました。しかし、ただ「写った」というだけでは、賞を獲得するのは難しくなってきています。写真家自身の発見、感動がはっきり出た作品が、審査員の心をとらえ、最終的に選ばれました。

竹田津 はじめてキヤノンフォトコンテストの審査を担当しましたが、応募作品のレベルが高いことに驚きました。とくにネイチャー部門は、撮影機材の発達が表現の進化として現れている部門だと感じました。これも時代ですね。
 カワセミやシラサギをテーマにした作品が数多く寄せられましたが、どこかで見たことがあるような印象の作品が多いのは少々残念でした。工夫をしていかないと、なかなか賞の対象にはならないと思います。過去の表現方法はいったん捨てて、次の表現方法を考えたほうがよいでしょう。「はじめて見た」という驚きが、作品としてのインパクトになるのですから。

野町 たいへんな応募数でした。デジタルカメラの普及により、写真愛好家の底辺が広がっていることを実感しました。それは、歓迎すべきでしょう。ただ底辺が広がったぶん、どうしてもイージーに撮った写真が増えてしまうようです。
 全体的にパターン化した表現が多く見受けられたことが残念でした。たとえば祭りの写真などは、撮影できるアングルに大幅な制限があり、撮られた写真がどうしてもパターン化してしまいます。一見華やかでいい写真が撮れそうですが、自分なりの視点を生かすには、むしろ難しい被写体ですね。

沼田 今回キヤノンフォトコンテストは第41回ということですから、たいへん歴史がありますね。ずば抜けて優れた作品ばかり、というよりも、皆さんが1年かけてじっくりと撮った、重みのある粒ぞろいの作品が多く寄せられたと思いました。
 また、日常の風景を上手に切りとっている方や、ユーモアあふれる作品など、心の余裕をもって楽しんで撮っていらっしゃる雰囲気を感じました。オーソドックスな写真の良さがありながら、きらっと光るものがある作品が、最後まで残ったと思います。

菅原 多くの作品を見させていただきました。とくに自由部門、ネイチャー部門には素晴らしい作品がありました。
 私はスポーツ写真が専門分野なのですが、この分野では、もっと身近な対象をねらって応募いただいてもよかったのではないかと思いました。子供の運動会、スポーツ大会でも、素晴らしいシーンはたくさんあります。勝って喜んでいるシーン、負けて悔しがっているシーン。そういった「感情」にフォーカスしてみても面白いでしょう。
 全体的には、もっと若い世代の人たちが、強烈な自己主張をしてもいいのではないかと感じました。自分が何を見せたいのか、何を伝えたいのかをもっと前面に出して表現してほしいと思いました。上位入選作は、そういった「強さ」が感じられるものが多かったために、最後まで残ったのではないでしょうか。

フラミンゴのイメージを覆す造形と瞬間を捉えたグランプリ受賞作品

田沼 ネイチャー部門に応募されたフラミンゴの作品が、今年のキヤノンフォトコンテストのグランプリに選ばれました。「静」の印象が強いフラミンゴを、水浴しながら泳ぐ情景を撮ることで、躍動的に表現しています。燃えるようなピンクとオレンジ色が混じった色が、黒い背景に引き立てられており、周辺に飛び散った水しぶきも効果的でした。
 さまざまなファクターが写し込まれ、華やかなフラミンゴの躍動感、生命感を表しているように感じました。小さな目にしっかりピントが合っていることにより、画面から受ける強さ、迫力が増していると思います。

竹田津 全体をすっきりとまとめた、たいへん技術的にも優れた作品ですね。水面に波紋となって映っている赤も効果的だと思います。かなり計算したうえで撮っている印象を受けます。

野町 黒く落とした背景処理が巧みですね。動物園での撮影だと思いますが、柵やほかの生き物がいるなど制限のあるなかで、よくここまで撮っていると思います。

沼田 フラミンゴというと片足で立っている姿をイメージしますが、こういう迫力ある姿ははじめて見ました。飛び散る水滴と、ぶれている翼のバランスがいいですね。

菅原 最初に見たときから、インパクトが強い作品でした。一見、動物なのか花なのか、と惑わせるような驚きもありました。全体的なバランスもよく、力強さも感じます。グランプリは妥当な結果だったと思います。

人間界と動物界の在り方を皮肉るような視点もユニークな準グランプリ受賞作品

野町 和嘉先生

野町 ほかにも動物園のシロクマを題材にした作品がありましたが、この作品は一瞬のシャッターチャンスを見事に捉えていますね。子供とシロクマが会話をしているような瞬間をよく撮っています。じつに間合いがいいんですね。人間と動物の関係性がよく表れています。

田沼 なかなかいいカメラアングルでねらっています。水槽の中のシロクマが人間を見下げているようにも見え、皮肉っぽいユーモアのセンスを感じました。人間が箱の中に閉じこめられていて、シロクマに見られているようにも思えてきます。何よりもこのシロクマの表情がいいですよ。

竹田津 グランプリも準グランプリも、いずれも動物園で撮られた作品でした。これは偶然でしょうけれど、面白い現象でしたね。

菅原 新聞社のカメラマンには「ネタに困ったら動物園に行け」というセオリーがあるそうですよ。身近な被写体なのだけれど、シャッターチャンスに恵まれる。それが動物園なのでしょう。

竹田津 全般的にいえることですが、もっと身近な被写体に目を向けてもいいのではないかと感じましたね。ペットのイヌでもネコでもいいじゃないですか。

被写体のご夫婦との会話が 聞こえてきそうな、 人間味あふれる自由部門大賞

沼田 炭焼きをしているご夫婦を写された作品ですが、カメラを見る目のやさしさに惹かれた作品です。ついさっきまで炭を焼いていたご夫婦に、「ちょっと撮らせてください」という作者の会話が聞こえてきそうで、相手の方の生活の姿も見えてきます。お父さん、お母さんそれぞれの人柄、雰囲気がよく出ている作品です。

野町 20mmの広角レンズで撮られているようですが、使い方がうまいですね。人物にぐんと近寄って撮ったことが、よく表れていると思います。

菅原 ISO800のフィルムで撮られていますね。おそらくネガカラーでしょう。レンズの扱いやフィルムの選択にも作者の意図が感じられます。

田沼 作者の亀田さんは、さまざまなフォトコンテストで入賞なさっている実力者です。私は審査中、作品の応募者の名前を見ない主義を通していますが、いま名前を聞いて驚きました。さすが実力のある作者ですね。モデルの選び方も心得ているのでしょう。

竹田津 何を撮ってどう見せれば、写真を見てくれる人が感動してくれるのか、しっかりわかって撮っていらっしゃいますね。


キヤノンフォトコンテスト

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