The 41st Canon Photo Contest 第41回 キヤノンフォトコンテスト

キヤノンフォトコンテスト講評

的確なフレーミングで 母ザルの迫力をうまく捉えた ネイチャー部門大賞
竹田津 実先生

竹田津 ネイチャー部門大賞のモチーフはニホンザルでした。山奥にしかいないサルではなく、人里に降りてくるサルを撮影されたのでしょう。素晴らしい写真を撮るには、じっくり見ることと、撮る技術があること。この2つが欠かせません。この作品にもその両方がしっかり備わっています。
 珍しいものにばかりに目を向けるのではなく、身近な被写体にもじっくりと目を向けてほしいと思います。相手がもっている魅力を切りとるだけで、自分の感性が磨かれていくのです。

野町 サルの作品はたくさんありましたが、そのなかでもよく撮れている1枚でした。フレーミングも的確で、メリハリのあるシャープな仕上がりもよかったと思います。

菅原 動きがあるなかで正面から撮るというのは、なかなか難しいものです。しかも威嚇しているような表情に、よく作者は向き合って撮っていると思います。私だったら逃げてしまうかもしれません。

田沼 別の作品とネイチャー部門大賞を競いあいましたが、作品からあふれ出る迫力という点で、こちらが勝りました。

沼田 子供のサルが落ちないようにしがみついていて、それがまたかわいらしいと思いました。

選手が集中力を高めていく 「静」の姿を美しく表現した スポーツ部門大賞

田沼 武能先生

菅原 陸上の大会で、トラック競技の選手がウォーミングアップしている場面です。おそらく走り高跳びの選手だと思います。
 いいところに視線を向けていますね。静かなシーンですが、試合を前にした緊張感がみなぎっているようです。スポーツには静と動の場面がありますが、静の場面の美しさを捉えています。私自身もテーマにしているのですが、スポーツの喜怒哀楽を写し出している作品には惹かれます。

田沼 この作品がよかったのは、背景の処理ですね。赤レンガのような色をしたアンツーカーの色が、静の印象を高めていますね。

野町 やはり私も、この作品は背景処理のうまさにあると思います。

沼田 選手の姿の美しさ、ポーズの面白さも感じました。こんなふうに選手はストレッチをするのですね。女性の横顔の美しさも出ていますし、全体的にすっきりした印象に仕上がっています。

写真を楽しみ、人生を楽しむ。 そして「感動」を大切に撮れば、 優れた写真が生まれる

野町 和嘉先生

沼田 今回のコンテストの審査をさせていただいて感じたのは、身近なものを楽しんで撮ることの大切さですね。じっくりと対象と向き合って撮ることが、結果的にはよい作品になって残っていくような気がしています。
 お祭りや特別な場所で撮った風景の作品も多いのですが、それよりも日常の何気ない場面を切りとった作品が印象に残りました。背伸びせず、肩肘張らず、ご自分の生活エリアのなかで、ほのぼのと。それから「撮り込む」ということが大切でしょうね。
 写真を撮る人と被写体とのコミュニケーションが写真に写っているような作品が、私は好きです。そんな写真が、もっとあってもいいと思っています。

竹田津 下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。それが自分に言い聞かせている写真哲学です。ネイチャーフォトというのは、あれこれ頭で考えていても撮れません。多くの経験を積むなかで、ものになる作品があるのです。
 デジタルの時代になり、フィルム代を気にせず撮れるようになりました。自ずとそのたくさん撮ったなかから傑作が出る可能性はアップしています。いい時代になったと思いますね。
 アマチュアの皆さんには、何にでも興味を持って、歩き回ってほしいと思います。そこで見つけた何かを丹念に記録し続けていくことで、そのなかから傑作写真が生まれると思います。

菅原 感動したものに素直に反応して、シャッターを押してほしいですね。自分が見て「いいな」と思ったものに、素直にカメラを向けて撮っていけばいい。その感動を見てくれる人に伝えるのが、写真の醍醐味でしょうね。
 それは「報道」の原理にもつながります。自分の感動を多くの人に伝える表現方法として、これからもアマチュアの皆さんには期待したいと思います。

野町 デジタルカメラの時代になり、プリントまで手軽に家庭でできるようになりました。しかし、仕上げまでしっかりと見極める目を持っていないと、作品の質を落としてしまいます。それがデジタルの落とし穴です。
 応募するときはきちんとしたプリントに仕上がっているか、厳密に確認する目がないといけません。デジタルフォトというのは、それほどイージーなものではないのです。仕上げまで気を抜かず、真剣に取り組んでいってもらいたいと思います。

田沼 写るのが当たり前の時代になったいま、自分の視点をはっきりさせない限り、いい写真は生まれません。お手本をまねて撮ったような写真で入賞は難しいですね。
 撮るときの感動が表現できていなければなりません。プロもアマチュアも撮るときはカッカカッカして、燃えて撮っていると思います。感情が入って、感動とともに撮れれば、いい写真になるでしょう。
 お手本をまねた写真は、きれいに写っていても、見る人の心を感動させるだけのパンチがありません。それがコンテストで上位入選を果たせるかどうかの分水嶺になっているのです。
 ただ、あまりコンテストでの評価をねらいすぎると、人間の根性が悪くなります(笑)。写真も悪くなる。それは注意しておきたいですね。評価のことばかり考えないで、撮る楽しみと撮る苦しみの両方を味わいながら、自分の写真を撮ることが大切です。
 作者は被写体を発見し、感動し、それを見る人にいかに伝えるかを念頭に撮影に挑むこと。そうすれば、フォトコンテストで評価さるような写真が撮れると思います。
 写真を楽しみ、人生を楽しむ。これが写真の醍醐味です。


キヤノンフォトコンテスト

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