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撮ることは、もてなすこと。日本の新しい写真館

フォトエクボ 神奈川県横浜市

デジタルとアナログ。ふたつの選択肢を。

フォトエクボは、1918年(大正7年)にエクボ写真館として本牧に開業。
1世紀近い歴史のなかで、つねに高品質なブライダルフォトを提供してきた同社は、今、時代や業界の変化を見据え、新たな取り組みを始めている。
お客さまにより高い満足を提供するために、デジタルとアナログを融合させたサービスを確立。
さらに、ブライダルフォト業界の将来を考えたスクール事業を運営するなど、独自の展開を行う同社にその狙いを伺った。

デジタルとアナログ。ふたつの選択肢を。

デジタルとアナログ。ふたつの選択肢を。

お客さまが何を求めているか、を考える。

フォトエクボ専務・今井誠氏

今回は、フォトエクボが写真室を担当している神奈川県葉山の結婚式場アリス・ヴィラ・リゾートで挙式を撮影し、横浜本社で話を伺った。アリス・ヴィラ・リゾートは、料理家として著名な石鍋裕氏が、空間から料理まですべてをプロデュースした施設である。フォトエクボは2005年のオープン当初から写真室を担当している。

「現在、弊社では、このアリス・ヴィラ・リゾートをはじめ、ホテルニューグランドやザ・リッツ・カールトン東京など、さまざまなホテルや結婚式場と提携し、写真室を担当させていただいています。そうしたなかで、私達が大切にしているのは、それぞれの施設によって異なるお客さまのご要望にきちんと応えていくということ。たとえば、海岸沿いに建つアリス・ヴィラ・リゾートだったら、お客さまはそのリゾート感覚が気に入って選ばれている方が多いと思うんですね。だから、海だったり、空だったり、葉山の自然を生かしたウエディングフォトを希望されるわけです。」お客さまが写真に求めるものは、施設によって、当然異なる。それぞれの施設環境やお客さまの年齢層・嗜好などを考え合わせて、フォトエクボでは最適な人材を専属フォトグラファーとして配しているそうだ。

時代の流れに迎合するのではない。
顧客満足のために、デジタル化を推進。

アリス・ヴィラ・リゾート

そして、フォトエクボでは、現在提携するすべての施設にキヤノンのソリューションを導入し、デジタル化を推進している。
「フォトエクボには、独自の撮影哲学や長年培ってきた写真技術、そして手焼きプリントの技術があります。そうしたアナログならではの良さと、新しいデジタルの良さをお客さまにお選びいただけるようにしたい。顧客満足を第一に考えてデジタルを導入したのです」と今井専務は語る。
デジタル化したからといってアナログを捨てるのではなく、デジタルとアナログどちらもチョイスできることが、お客さまの満足はもちろん、他社との大きな差別化にもなると考えているのだ。

デジタルが生み出すゆとりを、創造力に。

デジタルが生み出すゆとりを、創造力に。

デジタル撮影で楽になった分、いろいろなことに気を遣える。

デジタルとアナログ、どちらも選べるようにするために、フォトエクボでは各施設を順次デジタル化。最新鋭のEOS 7Dをはじめ、EOS 5D Mark Ⅱ、EOS 50Dを導入している。
「デジタル撮影で露出やシャッタースピード、ストロボ等の操作が楽になったことで、フレーミングやポージング、シャッターチャンスに気を遣うことができ、さらに今まで暗くて撮影しにくかった場所も、わずかな自然光や照明があればキレイに撮影できるようになった。そこがデジタルカメラの一番の利点だと思っています。」
そうしたデジタルが生み出す余裕をお客さまに向ければいいと、今井専務は考えている。
「ブライダルフォトグラファーというのは、式の当日、新郎新婦に一番長く密着しているんですね。つまり、きめ細やかな気遣いやコミュニケーションが求められる。私たちは、そういうおもてなしの部分を何より大切にしています。デジタル撮影で楽になった分、お客さまに目を向ければ、接客もさらに良くなるだろうし、また、フォトグラファーとしての創造力もフルに発揮できる。これまでは気がつかなかった感動の瞬間を捉えることができると思います。」

デジタルとアナログ。それぞれの良さをお客さまに伝える。

フォトエクボ本社の暗室(左)、アートディレクター・今井準氏(右)

デジタルとアナログの融合を進めるフォトエクボにとって、プリントアーティストの存在は重要だ。
「デジタルの出現によって、フィルムを印画紙に焼き付けるアナログの良さを再認識するようになった。」とアートディレクターの今井準氏は語る。
「もちろん、デジタルというのは人間の目を超えたというか、想像もできないような画像が得られるところがすごいなと思います。ただ個人的には、銀塩の味わいも好きなんですね。だからお客さまには、選択肢がふたつあることと、それぞれのメリットをちゃんとお伝えしています。そのうえで、選んでいただいています。」
当然、アナログのほうが高額になるが、それでもその価値を理解してアナログをチョイスされるお客さまがいらっしゃるという。「今後は、デジタルがやはり主流でしょう。デジタルでしかできない新しい表現を模索していきたいですね。」

世界中から選び抜いたアルバム。

お客さまに最高の満足をお届けするため、フォトエクボはアルバムにもこだわっている。たとえば、N.Y.の伝統が息づくLeather Craftsmenのアルバム。その重厚な質感や上質さは他では得られないものだ。また、こうしたブランド物にはそのモノづくりに独自の「ストーリー」があるという。そうした付加価値こそが、お客さまが手にしたときの満足につながると考えているのだ。

ブライダルフォト業界の、明日のために。

ブライダルフォト業界の、明日のために。

お客さまの「見たい」に応える取り組みを。

一部のスタジオでは、EOS DIGITAL、無線LAN、Digital Photo Presenter for Studio(DPPS)から成るソリューションを導入している。「無線LANにする前は、慌ただしい撮影時にコードを引っかけてカメラを落としたりなんてこともありましたが、コードレスになって撮りやすくなりました。フットワークが良くなっただけでなく、見た目も良くなったと思います。」

DPPSに関しては、現状では、保存管理と、フォトグラファーが撮影画像をパソコンで確認する際の活用にとどまっているが、「最近、撮り終わった後に、すぐに見せてほしいというお客さまが増えている」ため、今後はより効果的なプレゼンテーションを行うツールとしての活用も検討しているそうだ。

人材育成のために「スクール」事業を展開。

フォトスクール事業部 マネージャー・中井克哉氏

フォトエクボでは、2005年から、初心者を対象に、プロのブライダルフォトグラファーを養成する「ブライダルフォトスクール」を運営している。その狙いをスクール事業部のマネージャーと講師を兼務する中井氏に話を伺った。
「この業界は女性に人気で、女性のフォトグラファーが増えてきてます。その一方で、せっかくプロになられても、結婚や出産という理由で辞められていく方も多い。また、この業界は経験者は採用の口があるけれど、未経験者はほとんど不可なんです。そこで、私達は、自社の人材確保と、経験のあまりない方にも業界の門戸を拡げていくことを目的にスクール事業を始めました。」
自社のみならず、ブライダルフォト業界の将来を見据えながら始めたこのブライダルフォトスクールは、育成カリキュラムやノウハウを確立し、すでに自社の社員として活躍するフォトグラファーも輩出している。また、ブライダル業界の人材派遣会社と提携し、卒業生のプロデビューを支援する体制も整えているそうだ。優秀な人材を育成することが、業界の活性化につながるはず。フォトエクボでは、そうした理念のもと、スクール事業にさらに積極的に取り組んでいきたいと考えている。

写真館ができる、社会貢献。

MAKE・A・WISH Japan

「メイク・ア・ウイッシュ」は、難病の子どもたちの夢をかなえることで、生きる力や病気と闘う勇気を持ってもらおうとするボランティア活動。フォトエクボは、写真撮影を通じて、たとえば「モデルになりたい」「花嫁さんになりたい」と願う難病の子供たちに、写真撮影で夢をかなえるお手伝いをしている。同社では、この活動を写真館ができる社会貢献として、全国の写真館に提案していきたいと考えている。

URL: http://www.mawj.org
(メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンのサイトへ)

株式会社 フォトエクボ

株式会社 フォトエクボ
1918年創業。現在、ホテルニューグランド、アリス・ヴィラ・リゾート、パルティーレ横浜ウエディングビレッジ、ザ・リッツ・カールトン東京、グローカルアドプロデュース、オリエンタルホテル神戸の写真室を担当。
URL:http://www.photo-ekubo.com/
(株式会社 フォトエクボのサイトへ)