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小さな幸せを、撮ろうと思う。日本の新しい写真館

小貫写真館 茨城県水戸市

写真館業界の活性化のために。

小貫写真館は、2010年で創業119周年を迎えた歴史ある写真館である。
4代目となる現社長・小貫久史氏は、今の写真館は、家族写真の素晴らしさや、写真館の楽しさをもっと積極的に「発信」していくべきと考えている。写真館業界の活性化のために、一歩先を見据えた取り組みを進める小貫氏に話を伺った。

すべての家庭に、家族の写真を

すべての家庭に、家族の写真を。

家族写真の素晴らしさを伝えることが、僕の使命でもある。

特別な記念日はもちろん、なんでもない普通の日にも。もっと家族の写真を撮ってほしい。小貫写真館は、家族写真の素晴らしさを広くお伝えしていくことをコンセプトとして掲げている。

「家族とともに過ごす時間の中で感じる、小さな幸せ。その大切さ、愛しさを僕たちはみんな知っていると思います。だからこそ、そういう瞬間を残したいと思い、またその写真を見て幸せな気持ちになる。 日本全国、すべての家庭が家族写真を飾ってあるような世の中になったら、人も、社会も、もっと幸せになれると思うんです」
一世紀を超える歴史をもつ写真館に生まれてきた者として、小貫氏は、家族写真の魅力を伝えていくことを、自らの社会的使命としてとらえ、さまざまな活動に取り組んでいる。

撮りに行きたいと思う“きっかけ”をつくる。

家族写真をアピールしていくうえで、小貫氏が重要と考えているのが「動機づけ」だ。
「調査してみてわかったのですが、潜在的に、家族写真を撮りたいと思っている人は結構いるんですね。ただし、その気持ちを後押ししてくれる何かがないとアクションにつながらないんですよ」
そのためのきっかけづくりとして小貫写真館が実施しているのが「家族の日」や「おそろい家族」といったキャンペーン。
1月1日と6月1日(写真の日)を「家族の日」とし、この2日間は通常よりお得な料金で撮影ができるようにしている。また、「おそろい家族」は、色や素材などおそろいの服できたお客さまは特別価格になるというものだ。「おそろいで行くと安くなるんだ。じゃあ行ってみない?という気持ちになってもらえればいいと思うんです」

撮るたび楽しい写真館へ。

撮るたび楽しい写真館へ。

多彩なセットで、360° どこでも撮れるスタジオ。

小貫写真館では、茨城県内でパセオヌエボみと、パセオヌエボつくば、スタジオソーホーの3店舗を展開している。狙いとするブランドイメージや客層に合わせ、それぞれに個性的な写真館づくりを行っている。今回取材に伺ったパセオヌエボみとは、2000年に館内どこでも撮影できるオールロケーションのスタジオとして開設。

「それまでは本当に狭いスタジオだったので、オープンで広いスタジオが欲しかったんです。建物は、僕自身が、米国のサンタバーバラにあるブルックス写真大学に留学していたこともあって、オールドスパニッシュスタイルの外観にしました」
特徴的なのは、360°どの面でも撮れるスタジオ。和室、重厚な扉やカーテン、カジュアルな雰囲気の壁面、打ちっ放し調など、異なる表情のセットが組まれており、さまざまなバリエーションを撮れるように考えられている。「うちは非常にリピーターが多いので、ディズニーランドじゃないですけど、お客さまがいつも新鮮な感覚で撮影を楽しんでもらえるよう、セットはスタッフが手作りで少しずつ作り変えているんですよ」

スタジオ環境をフルに活かすEOS 5D Mark Ⅱ。

広く楽しい雰囲気のスタジオに加え、ガーデンでも撮影できる。ここにあるセットもスタッフの手作りだ。自分たちで作ると思い通りにならないこともあるが、その分、愛着が生まれるという。
こうしたスタジオ環境を、小貫氏は手持ちで軽快に動きながら、お客さまとコミュニケーションをとり、生き生きとした表情を引き出していく。

「うちは早くからデジタル化してきました。EOS-1D Mark Ⅱ、EOS-1Ds Mark Ⅱと使ってきて、今はEOS 5D Mark Ⅱです。5D Mark Ⅱは、基本的に文句の付けようがない機種ですね。手持ちで楽に扱えるし、高感度も使える。ちょっと暗めの夕方でも、手持ちで頑張って1/60秒だけど大丈夫だな、という感じで切れてます」
また、EOS DIGITALの場合、どんな光にも順応してくれるところが気に入っているという。
「蛍光灯を使い始めた時に色がなくなる可能性を感じてたんですが、きちんとした色を出してくれましたし。タングステン、ストロボ、蛍光灯、自然光と、すべてにうまく対応してくれるところがいいですね」

もっともっと「発信」しよう。

もっともっと「発信」しよう。

アピールしなければ魅力は伝わらない。

小貫氏の話には、「写真館業界の活性化」という言葉が度々出てくる。写真館業界を盛り上げていくためにはどうしたらいいのか、すべてをそこから考えている。そして、今の写真館にいちばん必要なのは「発信」することだと言う。

「この業界の人って、自分の仕事は素晴らしいものだと思っている方が多いと思うんです。でも、それを社会に対してアピールしていない。どんなに素晴らしくても伝わらないんです。例えばホームページにしてもそれを作っただけでは、発信していることにならないですよね。どんなことでも自社の魅力をどんどんアピールしていかないと。発信することから、写真館は変わっていけると思います」

発信するツールとしての七五三ファッションショー。

小貫写真館では「七五三ファッションショー」を開催しているが、これもイベントというより、対外的にアピールしていくためのツールとして位置づけている。
「七五三ファッションショーを行うことで、売上が極端に伸びたかというと、そうではないと思います。今、七五三の対象となる子供が減っていくなかで、競合となる子供写真館は増えているじゃないですか。だからこそ、うちはこんなことをやっているんですよと訴求することが大事なんです。モデルになってくれた子供たちが舞台で歩くのを見て、当然お父さんお母さんは喜んでくれる。そこから広がっていく口コミ効果は大きいと思うんです」
毎回30名ぐらいのモデルを募集するが、それ以上の応募があるためオーディションを行っているそうだ。
「オーディションに来てくれる子供たちは、みんないい子ばかりなんでね。落とすのがかわいそうになっちゃうんですよ」

知らせることが、市場の開拓につながる。

情報発信は、さまざまなメディアを複合的に活用しながら、実にきめ細かく行われている。ホームページでは来店促進につながるキャンペーン情報に加え、七五三ファッションショーや成人式前撮りのムービーも公開され、撮影時の雰囲気がつかめるようになっている。さらに、家族写真、七五三、成人式、マタニティとテーマ別の情報誌を定期的に発行し、最新の作品を紹介している。こうした活動を、水戸エリアでは小貫写真館だけでなく、競合店も同じように実施しているという。

「水戸は、写真館業界の中でも一番の激戦区と言われているんですね。ライバル店が競い合い、切磋琢磨することで、水戸という市場を開拓してきたわけです。昔チラシがいっぱい入っていた時期は、毎週のようにどこかのチラシが入ってくる。そうすると、例えば七五三の前撮りもせいぜい10月とか9月だったのが、8月なり、7月になり、今は5月から忙しいわけです」写真館への興味を喚起するとともに、実際に来ていただいたお客さまに高い満足を提供できるよう技術力や人間力を磨くことが、マーケットの拡大につながっているのだ。

ポートレートムービーという新商品。

ポートレートムービーという新商品。

EOSムービーを差別化のための武器に。

小貫氏は、EOS 5D Mark Ⅱのフルハイビジョン動画撮影機能の可能性にもいち早く着目。すでに商品化に向けての取り組みを始めている。


「一眼レフで、フルハイビジョンのムービーが撮れるようになったのは本当に画期的。レンズのボケ味を活かした動画が撮れるのはショッキングな出来事でした。EOSムービーは、商品の差別化を図っていくうえで、強力な武器になる。できる写真館とできない写真館とで大きく二分化されていくんじゃないかなと思うくらいの、大きなムーブメントが来ていると思いますね」
小貫氏は、まずブライダル前撮り時の動画撮影を想定。商品としては、静止画のスライドショーの中に動画を織り込んでいくようなものをイメージしているそうだ。
「僕としてはフォトグラファーが撮る以上、ムービーのカメラマンとは違う動画にしたい。ライティングとか、光のきれいさとか、アングル、構図とか、フォトグラファーの強みを活かした動画にするために、今、いろいろ研究しているところです」

有限会社 日光写真館

株式会社 小貫写真館
1892年(明治25年)創業。茨城県内ではパセオヌエボみと、パセオヌエボつくば、スタジオソーホーの3店舗を展開。東京都中央区月島でPhoto Blissを展開している。
URL:http://www.onuki.tv/
(株式会社 小貫写真館のサイトへ)