日本の新しい写真館

17 福岡県福岡市 もとまつ写真場

人の輝きを、残したい。

写真は、ただ一瞬を残すだけのものではない。人の喜びや悲しみ、いくつもの物語を焼き付けてくれる。その一枚によって、家族は想いを共有し、また絆を深めていく。そうした写真の力を信じているからこそ、その素晴らしさをもっと伝えていきたいと考える重岡冨美雄氏に話を伺った。

 
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家族写真なら「もとまつ」に行け。

重岡冨美雄氏が2代目として、もとまつ写真場を継いだのが1985年のこと。当時は学校写真が中心で売上の9割を占めていたそうだ。「その頃、僕らがここに存在する意義は何かとあらためて考えた。それはやはり地域の方々に、うちのスタジオで撮影の楽しさを知ってもらいながら、家族の絆や繋がりを認識していただくことじゃないかと考えたんです。“家族写真を撮るんだったら、もとまつに行け”、そう言われるような、まさに家族写真の専門店になろう。その想いが、いまの店づくりの原点ですね」と重岡氏は語る。

豊かな人生を歩んできた「今」だから残せる写真を。

家族写真の専門店を志向するなかで、重岡氏がかねてから違和感を感じていたのが遺影写真だ。人生最後のセレモニーで使用する写真にもかかわらず、集合写真を引き伸したピンぼけだったり、着せ替えだったり。そういう写真を見るたびに「街の写真館はポートレートのプロなのに、何故そこで撮る習慣がないのだろう」と疑問に思い、自店のメニューに加えることにしたそうだ。重岡氏が考える理想的な遺影写真は、その人が本当に自分らしく、人生のなかで最も輝いている姿をとらえた写真だ。だから、お客さまにいつも、遺影写真は一度撮ったら終わりのものではないとお話するそうだ。「歳月を経た今だからこその輝きがある。だから何度でも撮っていいと思うんです。例えば女性のお客さまだったら、新しいお洋服を買われたときなどに、また気軽に撮りにきてくださいと声をかけています」と重岡氏は語る。

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遺影写真という文化を定着させるために、その意義を丁寧に伝えていく。

「終活」がマスコミなどで取り上げられることが多くなり、遺影写真に対する抵抗感も低くなりつつある。こうした時期だからこそ、遺影写真の意義を「言葉」にしてしっかりと伝えていかなければならない。重岡氏はそう考え、3年前に遺影写真専用のウェブサイトを立ち上げている。「業界としては、これを一時の流行りにしてはいけない。ゆっくりでもいいから確実に浸透させていく。そのため、お客さまに“遺影写真って大事なんですよ”ということをお伝えしていこうと考えて専用サイトをつくったんです」。専用サイトには、生前に撮るメリットやどんな服装がいいかなど、かなりきめ細かく紹介されている。サイトを立ち上げる以前は遺影写真のお客さまは年に一人か二人ぐらいだったが、立ち上げてからの2012年、2013年は、ともに年に24〜25件に増えているという。また、重岡氏が現在、副委員長を務める九州写真師会連盟では、2011年から「元気なおじいちゃん・おばあちゃんのオシャレな写真展」を年に一回開催している。これはイベント開催地のお年寄りをモデルとして募集。イベント当日に撮影会をおこない、その日のうちにプリントし、翌日から1週間写真展を開催するというもので、毎年好評を得ているそうだ。普段、写真を撮る機会の少ないお年寄りに対しては、こうした啓蒙活動を通じて、写真を撮ることの楽しさを伝えていくことも重要なのだろう。

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▲もとまつ写真場の遺影写真専用サイト

http://www.motomatsu-iei.com/

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▲「仲良しご近所同士で、楽しく遺影写真撮影会をしました」(重岡氏)

もとまつ写真場

1948年、福岡市藤崎にて創業。1987年、現在地にスタジオを新築し、現在に至る。「家族写真の専門店」をコンセプトに、地域のお客さまに自慢していただける写真館をめざしている。

URL:http://www.motomatsu.ne.jp/
(もとまつ写真場のサイトへ)

写真:もとまつ写真場
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