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写真館を、こえていこう。日本の新しい写真館

写真館を、こえていこう。

伊勢丹写真室「アレーズ」 東京都渋谷区

伊勢丹写真室「アレーズ」は、2014年4月、恵比寿ガーデンプレイスにオープンした。この真新しいスタジオで、店長の堀達朗氏は従来の考え方や営業スタイルにとらわれることなく、新たな商品やサービスを自由に模索している。一人ひとりの満足を何より大切に考え、発想する堀達朗氏に話を伺った。

その人の、いちばんを。

「アレーズ」という店名はフランス語で「くつろいで」という意味だが、この名前はまさに同店のコンセプトでもある。ゆっくりくつろいでほしいという想いだけでなく、時間をかけてそのお客さまにとっての満足を提供したいという同店の考え方も込められている。たとえば撮影場所や写真の質にこだわる方もいれば、衣装にこだわる方もいる。一人ひとり、写真館に望むことは同じではない。だから、そうした要望を丁寧にお聞きし「できるかぎりのことをしてさしあげたい」というのが堀氏の考えだ。

ここでしか撮れない、ロケーション写真。

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アレーズが立地する恵比寿ガーデンプレイスは、商業施設、ホテル、オフィスビル、大規模マンション、美術館などから構成される複合施設だ。ドラマにもしばしば登場するこの街でのロケーション撮影は、アレーズの魅力のひとつになっている。「広告やウェブサイトなどで紹介していますが、ここで撮れるということに興味を持って問い合わせをされてくる方がいらっしゃいます。記念写真だけでなく、ご紹介用のポートレートを撮りたいという方も多いですね」と堀氏。都心にありながら緑豊かな環境に、ヨーロッパを思わせるようなクラシックな建物や、特徴的なアーチ屋根や広場などあり、撮影ポイントには事欠かない。洗練された周辺環境を最大限に活かして、独特のロケーション写真を提供している。

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個性が見える。4人のフォトグラファー。

各フォトグラファーの作例
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アレーズではフォトグラファーの個性を重視している。誰が撮っても同じような写真を提供するのでは、写真表現にこだわりを持つお客さまの満足を得られないと考えているからだ。「私たち伊勢丹写真室には、長い歴史のなかで磨いてきた撮影の手法や振り付けの技術があります。フォトグラファーはそれらを基本として身に付け受け継ぎながら、そのうえで一人ひとりがより積極的に個性を打ち出した撮影を行っていきたいと考えています。ポーズの付け方も、ライティングの表現も、お客さまとの接し方も、フォトグラファーによって当然違う。それが商品として表れたほうがいい。写真からフォトグラファーの顔が見える写真館にしていきたいと思います」と堀氏は語る。

スチールはEOS-1D X、動画はEOS 5D Mark Ⅲ2台とEOS 6Dの3台で撮影。レンズは、マクロから、広角、望遠まですべてを使って、レンズの味をフルに活かした映像を追求している。

スチールはEOS-1D X、動画はEOS 5D Mark Ⅲ2台とEOS 6Dの3台で撮影。レンズは、マクロから、広角、望遠まですべてを使って、レンズの味をフルに活かした映像を追求している。

自然光が入る明るいスタジオ。窓のすぐ向こうには電車が走っているのが見え、小さなお子さんに喜ばれている。

自然光が入る明るいスタジオ。窓のすぐ向こうには電車が走っているのが見え、小さなお子さんに喜ばれている。

本物であること。本物が選べること。

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店内に入ると、成人式の振袖、七五三の祝い着など、着物の貸衣装が華やかに展示されていた。「貸衣装もアレーズならではの魅力として育てていきたい」。堀氏がこだわっているのは、一点一点が質の高いものであり、なおかつそれらがお客さまの好みに合わせて選べることだ。「価格帯は幅広く設定していますが、衣装は一部をのぞいて正絹を中心に取り揃えています。三歳の被布では、総絞りの着物が人気ですが、全行程が国内の職人によって作られた品物を探すなど、お客さまのご要望に応えられるように心掛けております」と堀氏は語る。振袖では、京友禅の名匠である藤井寛氏の手による作品をはじめとする、作家物の振袖も揃えている。「着物の柄で選びたいというお客さまもいらっしゃいますので、必要に応じて直接京都に取材に行き、職人の方のお話を聞かせていただき、お客さまのご要望を満たす衣装を仕入れたり。少しずつですが、明快な方向性をもって充実させていきたいですね」。

この街の、若い家族といっしょに。

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堀氏が、営業を始めてから意外だと感じたこと。それは客層の違いだ。伊勢丹写真室の他の支店同様、アレーズの場合も客層はデパートやオフィス等への買物客や通勤客が中心となるものと想定していたが、実際は恵比寿ガーデンプレイス周辺にお住まいの方が多いという。「都心なのに地域密着型。撮影でご利用いただいたお客さまによくお会いします。ご近所付き合い感覚ですね」と堀氏。また、お客さまは若い世代が多いことを実感しているそうだ。伊勢丹写真室では各店舗でマイエンジェル写真展を実施している。これは、手頃な撮影料でお子さんを撮影し、お客さまが選んだ1枚を額に入れて展示。展示会終了後に差し上げるという新規開拓のための企画。アレーズにおいても認知を高めるために実施したところ、非常に反響が高く、特にお子さんが1歳前後の若いご家族の参加が多かったそうだ。「まだオープンして半年、試行錯誤しながらサービスを充実させている段階です。お客さまの満足をいちばんに考えながら、新しいことを積極的に取り入れていきたいですね」と堀氏は語る。この街の若いご家族の歴史を撮りながら、写真館としての新たな歴史を築こうとするアレーズのこれからの取り組みに期待したい。

落ち着いたトーンでコーディネイトされたコンシェルジュ・カウンター。伊勢丹写真室の歴史を感じさせる年代物の機材が飾られている。

落ち着いたトーンでコーディネイトされたコンシェルジュ・カウンター。伊勢丹写真室の歴史を感じさせる年代物の機材が飾られている。

同店では、まず受け入れるお客さまを「1日8組限定」と決めたうえで店舗づくりを進めた。それにより、限られた空間にもゆとりを生み出す設計を可能にしている。

同店では、まず受け入れるお客さまを「1日8組限定」と決めたうえで店舗づくりを進めた。それにより、限られた空間にもゆとりを生み出す設計を可能にしている。

「お客さまとはご近所付き合い感覚」というアレーズ。たとえば写真のセレクトも、何度も来店されて、じっくり選ばれる方もいるという。

「お客さまとはご近所付き合い感覚」というアレーズ。たとえば写真のセレクトも、何度も来店されて、じっくり選ばれる方もいるという。

写真:伊勢丹写真室「アレーズ」

伊勢丹写真室「アレーズ」
「アレーズ」は、80年の歴史をもつ伊勢丹写真室が2014年4月恵比寿三越にオープン。新たなサービスを積極的に導入。4名のフォトグラファーをはじめ、現在10名のスタッフが活躍している。
URL:http://ebisu.mitsukoshi.isetan-photo.co.jp/
(伊勢丹写真室「アレーズ」のサイトへ)