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フォトスタジオを憧れの存在に。フォトソリューションレポート

フォトスタジオを憧れの存在に。

スタジオエミュ 兵庫県神戸市

若い世代が憧れるようなフォトスタジオを創りたい。スタジオエミュの河田年弘さんは業界の常識にとらわれることなく、自らの感性を信じ、新たなビジネスモデルとして注目されるような写真館をプロデュースしてきた。その想いを神戸旧居留地店で伺った。


スタジオエミュがめざす写真館について

愛する街をモチーフに、店を発想する。

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兵庫県内において現在6店舗の写真館を展開するスタジオエミュ。その店づくりの原点には、代表の河田年弘さんが若き日に観た映画の中の“かっこいいフォトグラファー”の姿がある。手持ちで自在に動きながらポートレートを撮影する。その姿やその作品が、人の心を惹きつけるようなフォトグラファーであり、フォトスタジオでありたい。そうした想いを持ち続けてきた河田さんは、すべてを自由に発想し、独自のスタイルを構築してきた。
その核となるのが、一店一店、異なるテーマに基づく店舗施設だ。「地域密着型の経営だからこそ出店する地域を愛していることが大前提。その地域の街並みや空気感、住む人の人柄などからテーマを設定して店づくりを進めています」と河田さんは語る。たとえば2016年にオープンした最新の店舗、神戸旧居留地店は、洋館の佇まいを残す街の雰囲気から「ニューヨーク」をテーマに。SOHOの倉庫を思わせるスタジオ。ジャズが聞こえてきそうなエントランス空間。さらにメイク室、トイレに至るまで、「ニューヨーク」から発想した装飾が施されている。「数多く店を出すことが目的ではない。自分が行きたいと思える店、自信をもって“いいでしょ”と薦められる店にしたいから、こだわってつくっています」。

アルバムの高価値化にこだわる理由。

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データのみを希望するお客さまが増えるなかで、スタジオエミュはアルバムを積極的に勧めている。プロのフォトグラファーが切り撮っていく自然な表情。その一枚一枚をデザイン性やストーリー性を重視しながら丁寧にまとめたアルバムは、家族にとって間違いなく大切な宝物になると確信しているからだ。また、高価値なアルバムを提供することは、他店との差別化や収益性の向上にもつながる。これからの写真館ビジネスにますます不可欠なものと考えているのだ。
アルバム販売に注力するスタジオエミュでは、撮影時間を短縮し、じっくり写真を選んでいただけるようセレクトに時間を割いている。こうしたワークフローを支えるのがEOS一眼レフだ。優れた機動力、描写力は、約10分程度の撮影でも、数多くの自然な表情を美しく鮮明に残すことを可能に。また、質の良いJPEG画像は後処理の必要がほとんどなく、業務の効率化にも貢献している。

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ふれあいで、知らせる。ふれあいで、深める。

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スタジオエミュでは地域の方との交流を目的に、各店舗単位でマタニティやベビーのイベントを毎月開催している。「写真館って、そもそも入りにくいですよね。インショップのようなスタイルなら、店がどんな雰囲気なのかわかるでしょうけれど、我々のような店はそうはいかない。だから、まず知っていただきたい。スタジオ施設に、地域で活躍する講師の方を招いて、手軽な費用で楽しんでいただけるイベントを行っています」と河田氏。
マタニティならベリーペイントやサッシュベルト講座、ベビーならベビーマッサージ教室、ベビーダンス教室、手形アート教室と内容も多彩だ。Facebookで告知するとすぐに定員が埋まってしまうという。参加してくれた方はその様子をSNSで拡散してくれ、その後、お宮参りなどの記念撮影にもつながっていく。認知を目的としたふれあいイベントは、子育て世代のファンづくりという相乗効果も発揮している。

コンサルティングで、業界の力に。

芦屋の街にふさわしく、ラグジュアリーなテイストを追求した「アンエミュ芦屋」。
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「須磨パティオ店」は、くつろぎと癒しをテーマにしたナチュラルな雰囲気。
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高い天井とおしゃれな雑貨がカフェを思わせる「西神戸店」。
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スタジオエミュの現在のスタイルは、一朝一夕にできたものではない。2001年に西神戸店をオープン以降、一店一店、試行錯誤を重ねるなかで形づくられてきたものだ。コンセプトを設定し、自社スタッフや設計士とイメージを共有しながら店舗を具体化していく。そうしたノウハウを、従来のやり方から抜けきれず迷っている写真館のために役立てたいと考え、同社では「コンサルティング」も業務として行っている。「同業の方が見学に来られることがとても多いんです。ただ店内のインテリアを見てもらい、ちょっと質問にお答えする、というだけではあまり有意義ではないと思っていました。短時間では、こちらの考え方や取り組みを伝えることはできないですから。そこで“知りたい”という要望がこんなにあるなら、本腰を入れてお手伝いしようとコンサルティングを始めたわけです」。具体的には、店のコンセプトの提案から、スタジオの設計や施工業者の紹介、スタッフを育成するための研修、さらには同社が独自に開発した顧客管理システムの導入・運用サポートなどを実施。すでに数多くのコンサルティング実績を残している。
時代が求める写真館ビジネスの方向性を自ら導き出し、写真館の社会的なステータスの向上にも貢献するスタジオエミュの活動にこれからも注目したい。

写真は神戸旧居留地店
写真:スタジオエミュ

株式会社エミュ
株式会社エミュは1998年設立。スタジオエミュ西神戸店、加古川店、大久保店、須磨パティオ店、神戸旧居留地店、アンエミュ芦屋と、現在兵庫県内において6店舗のフォトスタジオを展開している。
URL:https://www.studioemu.net/
(スタジオエミュのサイトへ)