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ずっと残したくなる宝物を。フォトソリューションレポート

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佐直写真館 山形県東根市

地域と歩んでいく写真館として大切なのは、プロとしての確かな撮影技術でその人らしさその家族らしさを温かく描き、ずっと残したくなる「宝物」のような写真を提供すること。そう考える佐直写真館の代表取締役・フォトグラファーの佐直和春さんに話を伺った。


写真への想い、地域への想いを語る佐直和春さん

赤ちゃんからお年寄りまで。家族の物語を撮り続けたい。

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山形県東根市は、県の中央部、村山盆地に位置し、東は仙台市、南は山形市、天童市に隣接する自然豊かな都市だ。佐直写真館はこの東根市で1957年に創業。代表を務める佐直和春さんが修業から戻ったのを契機に2005年に現在の場所へと移転し、スタジオ撮影を中心とした営業形態に切り替えている。
「東根市は人口は4万人。県内では合併などをせずに唯一人口が増えている市です。この商圏規模で写真館がうちの他に4店舗、スタジオを持つ衣裳店もあります。写真館がたくさんある分、写真を撮る家族がもっと増えるといいなと期待しています。現在のスタジオは2005年にオープン、歴史が浅いので、うちはまだお子さんの撮影が多いです。地域に密着して展開していく写真館としては、生まれたばかりの赤ちゃんからお年寄りまで、家族の歴史に寄り添ってお付き合いできる写真館になりたいと思っています」。そう語る佐直さんがめざすのは、お客さまが“ずっと残したくなる宝物のような写真”だ。「家族写真や記念写真のスタイルも時代によって変わってきています。だから当然、新しいことに挑戦するのも大事ですが、しっかりとした撮影技術に裏打ちされた写真表現でないと、ただ形だけ流行を追ったものになってしまう。そういう写真って、何年かして見返すと、ともすると気恥ずかしさを感じたりすると思うんです。いま見ても、何年後何十年後に見返しても、家族の心を温かくする宝物のような写真をお届けしたいと思います」。

山形の魅力を県の内外に発信する、ユニークな撮影企画。

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佐直写真館は、通常の写真館業務に加え、地域の貸衣裳店や観光施設等と協力し、オリジナルの撮影企画に取り組んでいる。そのひとつが「銀山温泉ロケーションフォト」だ。銀山温泉は木造三層四層の旅館が軒を並べる山形有数の温泉街。ガス燈に照らされたノスタルジックな街並みで撮る和装ウエディング写真は、このロケーションだからこそ残すことのできる情緒豊かな作品となっている。貸衣裳店ソルテールが提供しているこのプランは、全日本ブライダル協会が地域の特色を新しい感覚で活かしたウエディングプランなどを協会の推薦商品として認定する「ふるさとウエディング商品」にも選ばれている。
乗馬クラブの山形馬事センターとともに行っている「馬事フォトウエディング」は、山形の名所を舞台に白馬に乗って撮影するという企画。その第一回は、大正初期の洋風建築を代表する国指定重要文化財の文翔館(旧県庁舍及び県会議事堂)で行われた。撮影時には見物人も集まり、山形新聞でも報道されるなど話題になったそうだ。
「東根市をはじめ山形の人が喜んで面白がってくれればいい。そう思っていろいろなことに取り組んでいます。そしてそれが結果として、山形の魅力を県内だけでなく県外にもアピールすることにつながればいいと思っています」と佐直さん。

その時の「光」、その時の「色」にこだわる。

光によって写真は変わる。だから佐直さんは光を理解し被写体を自然に引き立てることが大切だと考えている。「個人的には、顔のふっくら感や立体感を出せるライティングが好きなので、スタジオでもロケーションでも、ペカンとした光をなるべく避けるようにしています。またロケーションでは時間帯で異なる自然光を読んで入れる能力がやはり必要だと思います。たとえば朝だったら、朝の低い太陽が感じさせる気分や空気感みたいなものを写真のなかにちゃんと表現したいと考えています」と佐直さんは語る。
また四季を通じて山形のさまざまなロケーションで撮影を行う佐直さんは、その季節その場所の色彩にもこだわる。「たとえば木々の緑も、5月6月の頃は薄くてきれいで。これが7月8月になると、ぐーっと深くなってくる。そういう色の違いも表現したい。そういう意味ではEOS-1D X Mark Ⅱは素直にその時の色を出してくれるので苦労しないですね。あとはDPPの現像で、撮っているときに記憶しておいたイメージにしっかり近づけていく感じですね」と佐直さん。

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撮影後、お客さまにはコンタクトシートで選んでいただくスタイルだが、その際「カメラマンのおすすめ写真」というシートを付けている。「少ないスタッフで稼働しているので、モニターをいっしょに見ながらの写真セレクトはしていません。だから、少しでも選びやすいように、僕のおすすめをチョイスしたシートをお渡ししています。それとアルバムにレイアウトしたときの見本もお客さまの写真でつくって。お店でいろいろサービスできない分、ひと手間かけて大切にしてもらえる写真をお渡しするのも、写真館としてのやさしさかなと思っています」と佐直さん。

産婦人科を通じて無料撮影券をプレゼント。

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佐直写真館のオリジナル販促企画のひとつに、地域の産婦人科からの出産プレゼントという形で提供している「赤ちゃん写真無料撮影券」がある。佐直氏自身が、東根市、天童市、寒河江市の産婦人科に直接出向き、提案したそうだ。「こういうチケットを作ったんですが、いかがですか。病院さんから出産されたママにプレゼントしてください。とお願いしたら快く置いていただけました。反応はすごく良くて、赤ちゃんの撮影で来られる方はこのチケットを持ってこられる方が多いですね」と佐直さん。初回来店時は無料での撮影だが、このチケットで来店された新規客のリピート率はかなり高く、顧客づくりに貢献しているという。当初は周辺地域でこのような企画を実施しているのは佐直写真館だけだったが、最近では同様のスタイルで実施する競合店が増えてきた。差別化を図るため、最近では特別価格で撮影できる年間チケットもプラスしてプレゼントしているそうだ。
地域とずっと付き合っていく「街の写真館」だからこそ、確かな技術と自由な発想で、本当に喜ばれる商品、喜ばれるサービスを追求し提供していく。佐直写真館のこれからの活動に注目したい。

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写真:佐直写真館

佐直写真館
1957年創業。現代表の佐直和春氏は3代目。お客さまに対する「やさしさ」や撮影することの「楽しさ」、さらには撮影技術や写真表現の「クオリティ」を大切にした写真館を追求している。
URL:http://www.sajiki.com/
(佐直写真館のサイトへ)