4Kディスプレイ導入事例

IMAGICA 品質第一のポスプロに応えた信頼性と色再現性

IMAGICAの考えるマスモニ品質

IMAGICA(東京都品川区)は、需要の高まる4K映像作品のモニタリング用にマスターモニター(マスモニ)として、キヤノンの4Kリファレンスディスプレイ「DP-V3010」を導入。テレビでの4Kコンテンツを中心に、映画からテレビまで、幅広く使用している。同社のカラーマネージメントアドバイザーである長谷川智弘氏と、チーフエディターの高橋大和氏、そしてカラリストの山口登氏に、導入に至る経緯や実際の運用面について話を伺った。

信頼の出来る4Kマスターモニターが必要だった

-DP-V3010を導入した背景をお聞かせください。

長谷川「4Kの試験放送を控え、コンテンツの需要が高まる中、マスモニと呼べる4Kモニターはありませんでした。そんな中、DP-V3010が発売されたので、すぐに導入を決めました。」

-導入にあたり4Kモニターに求めていたことは何ですか。

山口「納品が4Kなので、納品解像度で確認できるモニターが必要でした。HDモニターでもドットバイドットで見られるようにセッティングできますが、表示できるのは切り出した一部のみです。全体的なノイズ等の確認もあるので、等倍ですべてを表示できることが必要です。」

長谷川「4Kの解像度をしっかりと見たいというのはもちろんですが、品質管理の責任を持つポスプロとして映像の信号をしっかりと確認したいという思いがあります。なるべく信号が未加工な状態で、本来のそのままを見ることができるということが、私たちがマスモニに求める条件のひとつです。」
「そこで、導入にあたり、百数十枚のカラーパッチを計測し、選択したカラースペースの中で理論値と計測値を比較しましたが、非常に精度が高く納得できる結果を得ることができました。電源を立ち上げてから安定するまでの時間も短く、日常的に安定した運用が可能なことがわかりました。また、経年変化も少なく、1年前の計測結果と比べても、ほぼキャリブレーションが必要ないほどのズレしか確認できませんでした。」
「精査した結果、とても信頼性の高い製品だと実感できましたので、4Kのマスモニとして不安なく導入することができました。」

高橋 大和 エディター1999年入社。リニア編集を経て、現在は主に映画や4K作品のオンライン編集を担当。

-設置環境や使用用途についてお聞かせください。

長谷川「通常は、Quantel Pablo Rioのある4K編集室で使用していますが、必要に応じて、設置場所を変えています。今のところ、4K放送用の番組制作での使用が一番多いです。」

山口「映画制作では、DLPプロジェクター常設のグレーディングルームでグレーディングをした後に、テロップ乗せ等のオンライン処理がある場合、この4Kモニターをリファレンスに使って作業しています。」

-30インチの大きさについてはどうですか。

高橋「卓のすぐ横に置くにはちょうどいい大きさだと思います。もう少し大きなサイズがあってもいい気はしますが、あまり大きすぎると全体が見ることができません。、4Kの場合、適正な視聴距離は縦幅の1.5倍と言われているので、この30インチの大きさはちょうど卓に納まり、編集時の確認用としてはとても使いやすい絶妙なサイズだと思います。」

忠実な色再現性と拡張性を兼ね備えたコンピュータのようなモニター

-DP-V3010は、様々な色域に対応していますが、実際にどのように使われていますか。

山口「テレビ番組で言うと、実験的にBT.2020で仕上げた作品はありますが、現状ではBT.709を使用するケースがほとんどです。BT.2020は、モニターで全ての領域を確認できないので、使用についてはまだ実験的な状態です。実験的ではあるのですが、BT.2020で仕上げた作品にも携わっています。」

-色の再現性についてはいかがでしょうか。

長谷川「その検証には、様々なアプローチを試みました。従来のHDマスモニやDLPプロジェクタとの見た目を比較するため、計測値算出に必要な等色関数の選択から考えました。ですので、分光放射計を使用してモニター自体のスペクトルを調べることから始めました。」
「その結果は、まさにファーストインプレッションを裏付けるものでした。」
「実際に使い始めてみると、特にDCI-P3モードが評価できると思います。モニター輝度についてBT.709では、白は100nitsですが、DCI-P3では、白が48nitsに設定されます。全体として暗くなりますが、暗部からハイライトまでの階調はしっかりと再現されていました。発色を含めトータルな見た目の印象として、DLPプロジェクタによる上映を彷彿とさせるかのような表示であると感じました。」

山口 登 カラーグレーダー2005年入社。CMを中心にMV、映画など様々な映像作品のカラコレを担当。

-独自の運用方法はありますか。

長谷川「カラーマネージメントで大切なことは、デバイスに依存しない形で運用を行えるかどうかです。デバイスの発色からコンテンツを独立させる必要があるのですが、そのために、モニターの計測結果をはじめ様々なデータをもとに算出した、基準からのオフセット値による色の微調整を検討しました。具体的には、CMやTV番組、映画など各々のリファレンスに対して、オフセットの必要性の検討から、必要な場合はその度合いを判断しました。DP-V3010は、デフォルトでのリファレンス各々からの見た目の印象差が少ないので運用のしやすさを実感しました。」

-他にDP-V3010の気に入っているところはありますか。

山口「ディスプレイコントローラーがいいですね。離れた場所でも使えるので使いやすいです。このコントローラーを使って、作業の始めに設定を確認したり、色温度やレンジの確認で使うのがですが、手元で操作できることが使いやすいと感じています。あと、モニター内の設定メニューも、日常頻繁に使う項目がメニュー内の浅い部分にあるので、アクセスしやすくていいですね。」

長谷川 智弘 カラーマネジメントアドバイザー2012年入社。カラーマネジメントを中心に新技術導入に向けた技術調査や開発を担当。

長谷川「LUTのインポート機能が気に入っています。グレーディング用ではなく、技術的な検証で使っています。最新のファームウェアではBT.2020にも対応していますが、実はその前から独自でBT.2020に変換するLUTを作成し、BT.2020カラースペースでの表示を独自に研究していました。しっかりとしたホワイトペーパーも公開されているので、自分たちで検証を進めることができます。現在はBT.2020への移行期なので、検証や評価が大切な時期です。いろいろといじれるのでパソコンのようなモニターだと聞いたことがあります。エンジニアとしてはとても面白いなと思っています。」

高橋「当たり前のことですが、最初から全く違和感なく自然に使えているのがいいですね。特性が素直で忠実なので、色味やガンマ、すべてにおいて変に頭で変換することなく、モニターを信じて作業できるのが一番です。」

会社概要 1935年創業。撮影、映画・TV番組・CM・PR等の映像・音声編集、DCP(デジタルシネマパッケージ)作成、コンテンツ流通・配信サービス、フィルム合成・VFX・CGなど、各種映像技術サービスを行う。 株式会社IMAGICA Webサイト http://www.imagica.com/

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