

- 【導入前の課題】
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- 手作業では作る数に限りがあったり手間がかかってしまう
- 1つの試作品に使用する材料コストが高い
- 【導入後の効果】
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- 1つの試作品の制作時間を最大約83%削減できた
- 材料の効率的な利用も可能になった

「これまで試作品は切削機でつくっていたのですが、途中で裏返す必要があったり、ベースの素材の大きさによって一度につくれる数に制限があったりと、素早く効率的な試作品づくりができないという問題を抱えていました」と語るのは、今回のプロジェクト担当者として3Dプリンターの導入を推し進めた藤松弘一氏。
他社からの勧めで4、5年前にも一度導入を検討したことがあったものの、当時はまだまだ解像度が追いついておらず、ビジュアル見本としてもけっして耐えられるレベルではなかったため、導入を見送ったという経緯があった。
ところが、今回キヤノンマーケティングジャパンによるデモで見たサンプル品は、以前とは比べ物にならないほど美しく、ほぼ成形品といっても過言ではない出来映えだった。革新的な設備投資やサービス開発、試作品の開発を行う中小企業を対象とした「ものづくり補助金」の存在もあり、検討を重ねた上で正式な導入を決定した。
前述のとおり、切削機は途中で反転作業をしなくてはならない。
中側を荒削りして仕上げをし、裏返し、また荒削りして、仕上げして・・・といった具合に、1個のルアーに対して1日半ほどの時間が掛かっていた。
しかし、3Dプリンターの場合は裏返す手間がいらないため、6~7時間で仕上げることができ、しかも2~3個のルアーを同時にプリントアウトできる。
導入効果という意味では、やはりこうした時間の短縮が一番大きいという。
また、切削機の場合、反転のために材料を左右対称に配置しなければならず、そのための場所を保持することを考えると、材料をギリギリまで効率よく使うということもなかなか難しかった。
通常、ルアーの成形品は10グラム~15グラム。
でも、そのために250~300グラムという大きさの板が必要とされ、余りは廃棄されていた。
こうした素材面の無駄が解消されたことも成果の一つだった。


同社では現在、最初は3Dプリンターを使用し、そちらでOKが出たものを切削作業で削り出すという流れで試作品づくりを進めている。
ルアーをつくる場合、何度も試作品をつくり、水槽などで泳がせて悪い点を直したり、重りや部品の位置を変えるというトライ&エラーを繰り返し行う必要がある。
しかし、水槽で泳がせる程度のテストであれば3Dプリンターでつくった試作品でも十分耐えられるため、そこまで問題ない段階まで進んでから切削機を使うことで、大幅な時間短縮につながるのである。
1個の完成品に至るまでにつくられる試作品は、およそ10~20個。
3Dプリンターの場合、切削機と違って複数個を同時にプリントアウトできるため、同日開催される複数の展示会に持ち込んで、幅広くプロモーション活動を行いたいような場合にも有効利用が期待されている。
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