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  • CINEMA EOS 商品情報

VOICE CINEMA EOS SYSTEMを体験した、プロフェッショナルたちの活用事例。

CINEMA EOS SYSTEM

MONGOL800 「小さな恋のうた×Pocky」
「小さな恋のうた×Pocky」ミュージックビデオを見る
EOS C500/C500 PL

MONGOL800 「小さな恋のうた×Pocky」

大阪・泉大津フェニックスで2013年9月7日に夏フェスティバル「OTODAMA'13~音泉魂~」が開催された。このOTODAMA'13スタンディングエリアの大浴場ステージでトリを務めたのが、デビューから15年が過ぎ、パワー溢れる演奏と心に響く歌詞で多くのファンを魅了しているロックバンドMONGOL800だ。MONGOL800の代表曲「小さな恋のうた」の演奏と観客のグルーヴを撮影し「小さな恋のうた×Pocky」ミュージックビデオを作成。このライブ収録には、2台のEOS C500、1台のEOS C500 PL、2台のEOS C300、1台のEOS C100、1台のEOS 70D、2台のEOS 7Dが使用され、EOS C500の4K収録にはAJA Video Systems製Ki Pro Quadが投入された。

株式会社TYOテクニカルランチ CRANK 撮影担当 尾道幸治さん

株式会社TYOテクニカルランチ 撮影担当 尾道幸治さん 「EOS C500の4K映像から必要に応じてステージと観客を切り取る」

今回の撮影は、普通ではあり得ないシチュエーションでした。ライトもステージの演出の照明だけで、ライブシーンと観客の表情を1発撮りするというものでした。

自分たちで照明を用意することができない撮影条件ということもあり、暗さに対して強いカメラを選択する必要がありました。ライブ中の観客の表情は、ライブ中に撮影して、後で肖像権の許諾を得る必要がありました。良い表情をしている観客をライブ中に探すことになるので、どれだけレンズを揃えたとしても、レンズの有効距離にいるかどうかも分からないという難しさもありました。さらに、1曲3分40秒のなかでズームなどの撮影時の演出を加えると、編集段階で「このカットは固定で欲しかった」という不都合も生じる可能性があると判断し、メインカットとなるステージの撮影は、カットから一部分を切り出して利用できるように、EOS C500を使用して4Kで収録することに決めました。

スピーカーを含むステージだけでも幅60m、観客の立ち見スペースは幅145mもあり、想像以上に広かったですね。MONGOL800のメンバーを狙うメインのカメラEOS C500は、ステージ上手側のステージ袖と観客スペース横に配置しました。観客スペース側からは、EFシネマレンズCN-E30-300mmで狙い、4K素材として使えるだけでなく、4Kから必要な部分を切り出すことで600mm相当に拡大して使えるように、撮影時はちょっと引き気味に撮影して2アングルで利用できるように配慮しています。

通常であれば、リハーサルの段階で本番と同じ照明をするのですが、MONGOL800は夏フェスの一出演者ということもあって、撮影に対して無理をお願いすることもできず、前日にプレライトを見せてもらうことができなかったんです。当初は、ISO8000での撮影を想定していたのですが、思った以上に会場の照明は暗かったですね。ISO10000以上まで上げて撮影しましたが、EOS C500はしっかりと会場のライブ感を表現してくれました。

Stage Set

「ダイナミックレンジの広い10bit Canon Logの表現力は際立って高い」

写真:撮影現場

ライブ中は、明滅のあるライティングが使われていました。暗転と明転が繰り返しており、通常のビデオ収録ではVEがアイリスをひっきりなしに調整しなければならに照明条件でした。Canon Logはダイナミックレンジを有効に活用でき、アイリスをそれほど調整し続けなくても良くなりました。特に今回は、1曲だけの1発撮りなので、VEを配置していませんでした。カメラマンごとにあらかじめ役割分担を決め、狙ってもらいたいカットを指示しておき、それぞれの判断で同時に収録するというスタイルをとっていました。1曲の間に、カットを狙いながらアイリスを変更し続けるようなことはできないので、10bit Canon Logの広いダイナミックレンジは非常に有効でした。

EOS C500の10bit Canon Logは、黒レベルが常に一定で、非常に扱いやすくきれいな映像でした。EOS C100やデジタル一眼のH.264系は、黒レベルを上げると全体にノイズが乗って来てしまいます。そこで、ディテールを出してからノイズリダクションをした映像をノイズが乗った部分に合成したり、ハイライトが飛んでしまった映像を他の適正なトーンのカット素材から持って来て合成したり、編集段階でかなり手を加えています。事前に監督や制作会社、MONGOL800メンバーの了解を得て、ヴォーカルと観客の表情を撮りやすいようにEOS C500の配置を決めたのですが、EOS C500の収録映像を見て、メンバー全員にEOS C500を配置した方が良かったなと感じています。各機種を使って撮影してみて実感したのですが、EOS C500は、グラデーションのトーンのきめ細やかさや、ライトが視野に入ってきたときの表現力など、映像のクオリティーは際立って高いものでした。

今回、Ki Pro Quadを使用して、10bit Canon Logを適用した状態でProRes 4444で収録しましたが、他社カメラを使ったProRes収録に比べてグレーディングしやすいと感じました。これは、暗部のノイズが少ないEOS C500のCMOSセンサーと10bit Canon Logの特性によるものかもしれませんね。EOS C500+Ki Pro Quadという組み合せは、4K収録して4K完パケするのであれば映画撮影でも活用できそうですね。

株式会社TYOテクニカルランチ CRANK 撮影技術担当 田中肇さん 「コンパクトボディーの機材は撮影スペースが限られる現場に重宝」

写真:EOS C500+Ki Pro Quad

僕は、全体の撮影技術に関わるとともに、撮影ではステージ下手側でEOS C100の撮影も担当していました。ギターとヴォーカルの顔を狙っていたのですが、ステージ袖で撮ろうとするとどうしても後ろ気味になってしまいます。横顔を写すために、サイドか、もう少し前よりに回り込みたかったので、ギリギリまで前に出させてもらいました。観客のサイドから狙うEOS C300、EOS C500についても、撮影上の都合があっても安全柵を越えて観客側に入り込んで三脚を立てるわけにはいかないので、カメラの配置には苦労しましたね。ライブの収録は、ある意味ドキュメンタリー収録なので、その場でその一瞬しか撮れません。そこに、今回は演出意図で、観ている観客を撮らなければなりません。ライブを楽しんでいる様子は他の曲の時の表情でも編集してしまうとほとんど分からないのですが、「小さな恋のうた」が演奏されている時のリアクションを使うと決めていました。演奏中は、監督自ら一脚にEOS 70Dを付けて、観客を撮影しに行っていました。

EOS C300、EOS C500+Ki Pro Quadのコンパクトな機材は、スペースが限られる現場ではとても重宝しました。Ki Pro Quadも見た目は大きく感じたのですが、よくあるVマウントバッテリーサイズなので大きさに問題はありませんでした。ケーブルが横方向に出力されるので、カメラを密集させなければならないような現場では、本体の取り付け方に工夫をしなければならないかもしれませんが、今回の収録現場ではまったく問題ありませんでした。

「EOS C500+Ki Pro Quadの4K ProRes 4444データは非常に扱いやすい」

写真:撮影現場

普段、ライブ撮影をする時は機種を揃えておくことが多いのですが、今回はEOS C500、EOS C300、EOS C100、EOS 70D、EOS 7Dの構成となりました。EOS C500がKi Pro Quadを使った4K ProRes 4444外部収録であり、それ以外はカメラの本体収録で行いました。Cinema EOSシリーズはすべてCanon Log収録をしており、デジタル一眼レフはピクチャースタイルで「忠実」設定を利用しています。

制作ワークフローは、ライブ収録後にすべてのデータのバックアップを行いました。9台のカメラのデータは、全部で3TB近くなりました。このデータを使用して編集に入る前に、Canon Logを使用しているデータについて色味を揃えるためのプレグレーディングを、尾道がDaVinci Resolveを使用して1週間くらいかけて行っていました。この段階でフルHD収録素材もProRes 4444に揃えて書き出しました。この色味を揃えたデータを使用して、監督がFinal Cut Proでオフライン編集をした後、Smokeでオンライン編集するときに、OKテイクのものをグレーディングを行って完成させました。

Thunderboltインタフェースを持つRAIDシステムにデータを移して、ProRes 4444の4Kデータを再生してみたのですが、軽く動きましたね。ファイルサイズはそれなりに大きいのでコピーには時間がかかりますが、4K RAWデータに比べればコピー時間も短く、再生もしやすい。4K RAWが必要な現場はもちろんあります。オンライン編集でエディターが大画面に素材を強拡大して見ながら、抜けの違いを比べればRAWとProResの違いは出て来ます。しかし、そんな強拡大の素材を使うクオリティーを必要としないのであれば、ProRes 4444は4Kデータとして、手頃で非常に取り扱いしやすいコーデックでした。

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