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【ビデオSALON特別セミナーダイジェスト】

RAWからのワークフローと他社との差別化について

写真集「耕す人」の世界に合わせた動画を作りたい。RAWでその可能性が見えてきた

写真家の公文さんは、広告の仕事とは別に、「耕す人」という写真集をネガフィルムで撮って出版されているが、そのトーンが好きなので、それに合わせた動画を作りたいと思ったのだそうだ。ただ、このトーンで撮りたいと思っても、これまではなかなかこの感じにならなかった。
ところがEOS C200のCinema RAW Lightを入れたことで、スチルとほぼ同じことができることに気がついたという。広告の仕事以外にも、ライフワークとしての活動でも動画を生かせる、新しい表現ができるのではないかと思い現在テストを続けているそうだ。
「将来的には写真展のなかで、スチルのプリントをメインにしながらも、アクセント的に動画を入れることで、見る人により想像を広げてもらいたいなと思っています」

では、RAWからのワークフローは現実的なのか?

業務では作業の効率化が求められるが、3組ともRAW収録にこだわっている。RAWというと敷居が高いようだが、どのように運用しているのだろうか?

UW INC.のSSDを利用した効率の良いワークフロー

UW INC.の場合のワークフローについて、福島さんに図を用意していただいた(下記参照)。撮影はEOS C200のCinema RAW Light、編集はMac Book ProにPremiereを入れて行なっている。PremiereはファームアップによりEOS C200のCinema RAW Lightを直接読めるようになったが、まだバグがあるという情報もあったため、実際には試していない。やはりRAWをそのまま利用したほうがクオリティ的にもワークフロー的にもメリットがあるので、そのあたりが解消されたら、試したいと思っている。このワークフローはEOS C200導入時から現状までのもの。

まずCFast2.0のカードはあえて128GBのカードを使う。その容量だとそれほど時間をかけずにすぐ取り込めるからだ。カードがフルになったら現場で取り込む。取り込み先はMac Book ProとサンディスクのポータブルSSD エクストリーム900。そして現場でエクストリーム900の素材をキヤノンが提供しているCinema RAW DevelopmentでCanon Log3のProResに変換してしまう。事務所に戻ったらすぐに編集にかかれる状態になっている。

キヤノンが提供しているCinema RAW Developmentで
ProResにエクスポート中

バックアップと編集で使うサンディスクのエクストリーム900

RAWの編集、ワークフローは大変ではないかという先入観があるが、「RAWから変換するのもそれほど億劫だなという感じはなくて、SSDの中の素材でMac Book Proで編集していくので、それほど大変ではないです」と福島さんは言う。ただデータ容量はかなり大きくなるので、SSDを何個も使いまわしている。もちろん別にHDDにバックアップをとっている。

クリス・モア氏のFinal Cut Proでの作業方法

クリス・モアさんは本誌で昨年のEOS C200のテストをやっていただいたときには、DaVinci Resolveで試していただいた。EOS C200の発売前だったので、直接読み込むにはこれしか選択肢がなかったからだ。DaVinci Resolveでは「カメラRAW」のパラメータを操作するウィンドウは機能しなかったが、ファイルを読み込むことはでき、グレーディングしていくことができた。
普段はFinal Cut Pro Xをお使いのクリスさん。現在では、キヤノンが出しているプラグインをいれると、EOS C200のRAWを読めるようになる。このプラグインはバックグラウンドで機能するので、特に別ウィンドウを開く必要はなくて、読み込み画面でRAW素材を再生して確認することができるようになる。

下記のサイトからFinal Cut Pro X用のプラグインをダウンロードできる(こちらから

プラグインを入れるとRAWを直接読むことができ、プレビューできる

Canon Log2のLUTをあてることもできる

そこから先は、有償のプラグイン、FilmConvertPro2-4Kを使ってみた。業界では標準で、海外では多くの人が利用している。このコンバートでフィルムルックにしていく。ポイントとしては、一度LUTをあててWIDE DRに戻したものから作業する。というのも、グレーディング作業では、ひとつのシーンであれば、自由にグレーディングしていけばいいが、シーンとシーンを合わせていくのは難しく、技術が必要になる。一からやっていくとそこで時間がかかってしまうので、LUTをあてることで、全体のトーンを合わせやすくなる。

充分に時間があれば追い込むことはできるが、Cinema RAW LightからのワークフローとしてはLUTやプラグインを活用するのが、現実的ではないかとクリスさんは言う。

写真と同じようにトーンカーブを追い込む公文氏

公文さんは最初に触ったビデオ編集ソフトがDaVinci Resolveだったそうだ。動画を始めるときにアシスタントにいろいろ調べてもらい、DaVinici Resolveはフリー版もあり、これから始めるならいいのではないかということで、導入した。公文さんが撮影したEOS C200のRAW素材を動画担当のアシスタントが読み込み、グレーディングするところまで準備してもらい、公文さんはトーンカーブをいじることに集中する。この作業自体は、写真の現像と同じなので、まったく同じ感覚でRGBそれぞれのトーンカーブをいじっていくことができる。

ちなみに公文さんはこのセミナーの後、Premiereで作業してみたそうだが、同じようにできたという。トーンカーブをいじるということに専念するのであれば、使い慣れたソフトで作業すればいいだろう。

他社と差別化をはかるポイントとは?

最後に、他社と価格競争ではなく、差別化していくにはどうしたらいいかという話をみなさんに聞いてみた。
クリスさんは、「自分の強みに気がついて、それを磨いていき、繰り返していくしかないのではないか」と言う。そして「今ではなくて、先のことを考えて、その目標に向かっていくこと」。
自分が差別化を図れている強みは「音声」ではないかとクリスさんは言う。企業系のビデオで音声をうまく生かしているプロダクションはあまり多くないからだ。音声のクオリティというだけでなく、何を聞き出すかも含めて、被写体の声をきちんと捉える、現場音もリアルに捉える。次の仕事では、ナレーションにも挑戦しているというから、言葉や声、音声に重きを置いているということがよくわかる。
UW INC.の場合は、スタッフはみな学校で勉強してきたわけではなく、映像制作会社を経験してきていないので、常に技術や新しい表現を勉強しながら、仕事をするなかで成長してきた。
クライアントから言われたことは「できると思いますと受けたら、やらないといけないから、新しいことも覚えていくということの繰り返しですね」と押川さんは言う。
ただ、技術的な話にしても、自分が分かっていたほうがよくて、そうすれば「それは別途費用がこれだけかかるとか、こうすると安くできる」という話をクライアントにすぐに提案することができる。
一回作り、それが気に入ってもらえれば、仕事は続く。
福島さんは、作品だけでなく、作っていく過程の人間関係とか現場での楽しさということも案外バカにならないと言う。社長の押川さんは、撮影現場に遊びにきている感覚だが、それがいい雰囲気を出し、代理店やクライアントを和ませて現場を楽しくしてくれるのだそうだ。映像制作の現場というと、カメラマンがアシスタントにどなったりするなどピリピリした現場もあるが、UW INC.の現場は、見に来ているクライアント、出演者も楽しい雰囲気でできている。それが次につながるかな、と思っている。
公文さんは、まだまだ動画は勉強中だというが、進むべき方向としては、写真家である強みを生かした動画を作っていきたいという。静止画のような動画を突き詰めていったほうが差別化になる。動画でも写真的な美しさを追求していく方向はあると思っていて、それで自分のオリジナリティを出せると考えている。したがって機材もあくまで写真の延長で、スチル写真と同じように、自分の体の近くにカメラがあって、すぐに使えたほうがいいという考え方だ。
三者に共通にするのは、自分の強みに早く気がつき、そこに特化していくということに迷いがないということだろうか。