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INTERVIEW  Canon Log 開発スタッフインタビュー

写真:INTERVIEW

EOS C300における設計思想

イメージコミュニケーション事業部ICP第四開発センター 中山智

中山
「Canon Logを採用したメリットは、大きく3つあります。まず撮影時にフィルムと同じ感覚で撮影できること、そして広いダイナミックレンジを持てること、さらにD.I.のワークフローへの親和性が高く、後処理でもフィルムと同じような感覚で扱えるということの3点です。EOS C300の開発にあたって、かなりの数のガンマを引いてテストを行いました。そのなかでグレーディングのしやすさや、ノイズ等を含めた画質性能を色々と検討したうえで決まったものが、今回搭載されたCanon Logです。」
瓜阪
「Canon Logは、元々このカメラが持つ特性である高精細な映像を生み出すレンズ、センサーなどのカメラ性能を最大限に引き出す為に開発されたガンマです。従来の我が社のビデオカメラは、そのままでも良い画質を得られるというカメラでしたが、今回のEOS C300では、カラーグレーディングを前提としているカメラという部分で、設計思想が根底から大きく違うものになりました。」

Log採用の理由について

中山
「ポストプロダクション処理における、スムーズな移行を可能にするため、新しいCMOSセンサの全階調レンジを維持した上で、被写体光量に対してリニアなデジタル表現を実現する非線形な伝達特性Logを採用すべきであるという結論に辿り着きました。」
瓜阪
「開発当初、これまでのカメラよりも広いラティチュード(露光範囲)を持ったカメラを意識して開発を進めていました。8bitゆえに制約もあるので、最初はLog以外のガンマカーブの開発からスタートしたのですが、色々とテストを繰り返していく中で、8bitではLog以外のカーブがグレーディングなどにおいてノイズ感や諧調性の点で何かしらの悪影響を及ぼすことが解ってきました。その結果としてやはり8bitで考えたときの最良の方法が「Log」であるという答えに行き着いたのです。」

8bitでも有効なLog形式収録

写真:8bitでも有効なLog形式収録

中山
「従来のEOS MOVIEも全て8bitで処理されており、いまだ多くのユーザーにご使用頂いていますが、この成功が今回8bit Logで行こうという選択になった要因の一つです。10bit、12bitといったビット数が高い方が階調性の点では有利なことは当然理解していますが、現在の映像制作環境における運用効率の面も含めて、8bitはまだまだ有効だと考えています。またハリウッドの映画製作者たちの意見を聞くと、10bit Log は理想的だが、8bit Logで使えないか?といえば、決してそんなことはないという回答も多かったのです。」
瓜阪
「Canon Logは見た目のそのままでも使えるというご意見も多く頂きましたが、設計思想としては完全に見た目で作った物ではありません。あくまでデータ効率や8bitにデータを有効に収めるためにはどうしたら良いかという部分を重視して設計されたもので、見た目でもそのまま使えるという仕様は結果的なものでした。」

開発で最も気を使ったポイント

中山
「8bit Logではやはりトーンジャンプが出ないことに最も気を使いました。これは(ムービーカメラとして)出てはいけないものですが、実際にユーザーがどこまでそれを調整しようとするのか、この部分になるとやはり我々だけでは判別できなかったので、実際にプロの方にお手伝い頂いてグレーディングテストを重ねました。」
瓜阪
「疑似輪郭の部分については、これまでのビデオカメラの設計以上に何倍もシビアな目で見ることになったので難しかったです。開発の日程的にもこの部分に多くの時間を割きました。」

LogとRAW

写真:イメージコミュニケーション事業部ICP第四開発センター 瓜阪真也

中山
「RAWと比べてLogは、当然データは軽くなります。さらに上から下まで全てのレンジにおいてビット効率を割り当てる必要も無いわけで、その意味でLogですと必要な部分にはしっかりビットを割当てられられるので、RAWに劣る面はそれほどないと考えています。もちろん生出力データとしてのRAWの優位性は認めますが、今後RAWに行ったとしてもLogを捨てる訳ではないでしょう。」
瓜阪
「RAWに関しては、現状として現場で本当にどれだけ使われているのか?という部分が未知数だったということもあります。静止画と違って動画の場合は、まず記録する手段が大変になり、RAW現像するソフトやシステムが必要になるなど扱いづらい状況を考えた時、トータルバランスから考えてLogを選択した、ということです。」

EOS C300全体の特性を引き出すCanon Log

写真:イメージコミュニケーション 事業本部ICP第四開発センター 飯島龍之介

飯島
「EOS C300は、映画などのあらゆる撮影現場における操作性を意識して設計されています。画角を決めるカメラマンとフォーカスマンとが要る複数スタッフによる大型映画撮影から、ワンマンオペレーションでDSLRのように持ち歩ける撮影まで対応するため、RECのスタート/ストップボタンがモニターユニットを含めると全部で4カ所あったり、外人の大きな手でも操作可能なボタン配置であったり、さらには他社のプライムレンズ等も含めて、様々なレンズが装着された場合でも操作に困らないような検証も数多く重ねました。あらゆる撮影現場で、様々な撮影方法を駆使しても操作に困らないような設計なのです。多くの撮影現場で使用される事を前提に、すべて直感的に操作できることを意識しました。EOS C300のカメラ自体が持つポテンシャルを最大限に活かすためにCanon Logを利用して頂くことで、さらにレベルの高い優れた映像を収録できると考えています。」

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