カテゴリーを選択
トップ > Cのキセキ Episode.36 「EOS R7」&「EOS R10」 > P3
キャンプブームの高まりや旅行需要の回復などが徐々に見え始め、余暇をより楽しむためにレンズ交換式カメラを手に取る人が増えている。そうした市場の変化の中、キヤノンは新たなミラーレスカメラ2機種を発売した。これまで35ミリフルサイズCMOSセンサーを搭載したカメラがラインアップされてきた「EOS R」シリーズに、初めてAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載したモデルが加わった。異なる個性を持つ2機種の登場はキヤノンにとってどのような意味を持つのだろうか。
両モデルに共通するシャッター幕を物理的に動かすメカシャッター利用時の「最高約15コマ/秒」は、「EOS R」シリーズ最速だ。キヤノンで開発チーフを務めた犬飼宏明は、高速連続撮影がさまざまな機能の連携で実現したと説明する。
「15コマ/秒を実現するには、約0.07秒の間にピントを合わせて露出を決め、その上でシャッターを切ってデータを処理し、次の撮影に備える必要があります。『EOS R7』の場合は、同時にボディー内手ブレ補正機構も動作させます。それぞれが確実に連携して初めて実現するのが高速連続撮影なのです」
ポイントになるのは両モデルに共通して搭載された最先端のAFシステム「EOS iTR AF X」だ。
「『EOS R7』と『EOS R10』が搭載するAFシステムは、高速で高精度、広範囲にAFを利用できるだけでなく、高い被写体検出性能とトラッキング(追尾)機能により、『人物』、犬・猫・鳥などの『動物』、モータースポーツの車やバイクなどの『乗り物』を見つけ出し、被写体を的確に捉え続けます。『人物』は瞳・顔・頭部・胴体、『動物』は瞳・顔・全身、『乗り物』はドライバーやライダーのヘルメット・車両全体といったように、被写体のさまざまな部位を検出することで最適なAFエリア選択が可能です。この機能があるからこそ、高速連続撮影中もピントを合わせ続けることができるのです」
ただし、高度なAFシステムの搭載は決して「簡単ではなかった」という。
「搭載する新開発のセンサーは、どちらも『EOS R』シリーズ初のAPS-Cサイズです。従来機種とはサイズが異なるため、AFシステムをそのまま移植すれば利用できるわけではありません。シミュレーションして設計した上で、最後は実写でトライアンドエラーを繰り返して仕上げました」
ミラーレスカメラではCMOSセンサーは撮像だけでなく、今ではAFでも重要な役割を担っているため、撮像とAFの性能を両立させることが必要だったと、センサーの開発を担当した渡邉忍は話す。
「撮像とAF両方にとって効率良く光を取り込めるように、マイクロレンズと呼ばれるCMOSセンサーの画素ごとに配置される小さな集光レンズを含めた光学的な設計を追求しました。さらに、CMOSセンサーから画素の信号を読み出す過程においても、信号出力を工夫して撮像とAFの両立を実現しています」
APS-CサイズCMOSセンサーは35ミリフルサイズCMOSセンサーと比べてサイズが小さく、受け取る光の量が少ないため、一般的には暗所撮影で不利になるが、その点においても妥協はない。
「『EOS R7』と『EOS R10』ともに新開発センサーで光学性能を向上させただけでなく、最新の映像エンジンである『DIGIC X』を採用しています。ノイズの抑制や階調表現・解像感の向上といった高度な画像処理を行うことで、両モデルとも静止画撮影時に常用ISO感度は100~3万2000*を達成しています。屋内スポーツや夜間の動物撮影などでもその力を発揮します」
* 推奨露光指数。動画撮影時の常用ISO感度はISO100~12800(最高ISO25600相当の感度拡張が可能)。「Canon Log 3」設定時は常用ISO感度、拡張ISO感度が異なる
高速連続撮影 & 高精度AFシステム
「EOS R7」と「EOS R10」は共に、メカシャッター/電子先幕での撮影において「EOS R」シリーズ最速の最高約15コマ/秒※1の高速連続撮影を実現。さらに電子シャッター※2での撮影では、「EOS R7」は最高約30コマ/秒※1、「EOS R10」は最高約23コマ/秒のAF/AE追従による高速連続撮影が可能。さらに、高精度な被写体検出と被写体追尾性能を実現する「EOS iTR※3 AF X」によりカメラが被写体の特徴を検出し、トラッキング(追尾)。人物、動物(犬・猫・鳥)、乗り物(モータースポーツにおける車・バイク)※4の検出に対応し、優れた追従性能を発揮し、被写体を捉え続ける。