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サステナビリティがもたらすインパクト

近年、「サステナビリティ」という言葉に注目が集まっている。企業経営においても、この地球規模のメガトレンドを理解し、戦略的に取り組まなければ生き残れない時代がやってきた。社会課題がビジネス課題に直結する今、社会と企業が共に持続的に発展していくにはどのような考えが必要なのか。サステナビリティの視点で取り組みを進める企業の例などからヒントを探る。

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  • 特集
  • 2021.06.01

サステナビリティがもたらすインパクト

ケーススタディ2
リアルの強みと共創事業で"誰一人取り残さない"
ヤマトホールディングス

ヤマトホールディングスでは、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を2020年1月に策定し、その改革の一つとして、環境・社会両面におけるサステナビリティ経営の強化を掲げている。

ヤマトホールディングス
写真: 松良信一さん 松良信一(まつら しんいち)
ヤマト運輸株式会社
地域共創推進部 課長

宅急便の開始以来、社会的インフラ企業として多様化する顧客ニーズと社会課題に向き合い、企業の経済価値と社会価値の向上を同時に実現してきたヤマトホールディングス。2020年1月には、「YAMATO NEXT100」で「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と「共創による、フェアで、"誰一人取り残さない"社会の実現への貢献」という二つのビジョンを掲げた。

このビジョン達成に向けた各重要課題に対する具体的な行動と、2023年までの到達目標を定めた「ヤマトグループ サステナブル中期計画2023」を2021年1月に発表している。内容は、事業活動の環境負荷を減らすために気候変動の緩和、大気汚染防止、資源循環の推進・廃棄物の削減などを重要課題とした「環境中期計画2023」と、社員が生き生きと活躍できる職場環境、人権や多様性を尊重した企業風土、地域に根差した企業市民活動の実施などを重要課題とした「社会中期計画2023」から構成されている。

重要課題の一つ「地域コミュニティ」の取り組みとして、本業である配送を通じて社会課題の解決に注力する「客貨混載」が挙げられる。高齢化や過疎化が顕著な中山間地域では路線バスの利用客の減少が著しい。乗客と荷物を同時に輸送すれば、安定的な路線バスの運行を維持しながら物流の効率化も図れる。配送トラックの走行時間と距離が減少するため、配送担当者の労働時間や環境面での改善効果も期待できる。

さらに、コミュニティの活性化に貢献するサービスとして展開するのが、「くらしのネコの手サポート」をうたった生活支援「ネコサポ」だ。ヤマト運輸の地域共創推進部で課長を務める松良信一さんは、サービス提供の鍵は「地域コミュニティの協力体制の構築」にあるという。「地域の方々が安心・快適に生活できるようにお手伝いをするのが、ネコサポの目的です。自治体や事業者の方々と連携し、協力し合える体制を整えています」。

ネコサポの拠点として、現在は東京・多摩市と千葉・松戸市に「ネコサポステーション」を設置し、地域情報の発信や家事代行などのサポートに応じる。多摩市では、他の宅配業者の荷物も一緒に配達する「一括配送」を実施し、受け取りと配達業務の両面を効率化させている。

2021年2月には、IoT電球「ハローライト」を使った見守りサービスを全国で開始した。宅内に設置したハローライトが一定時間オン/オフ検知されないと指定先にお知らせメールが通知される仕組みで、一人暮らしの高齢者が多い地域では契約件数を増やしているという。

これからも“社会から一番愛され信頼される会社”を目指し、リアルの強みとデジタルイノベーションの推進、パートナーとの共創を通じて、"誰一人取り残さない"豊かな社会を実現させていく。

持続可能な社会を実現するための共創基盤を構築

図:くらしのサポートサービス「ネコサポ」の概念図

くらしのサポートサービス「ネコサポ」の概念図

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