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トップ > 特集 東京2020オリンピック・パラリンピック目前!「東京2020大会を盛り上げよう!」
写真提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター
この夏、世界中のアスリートが東京に集う。
アジア初の開催となった東京1964大会は、インフラの整備や16個の金メダルなどが、人々の高揚感と次の時代への推進力を生んだ。
56年ぶりの東京での開催となる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)はどのような感動をもたらしてくれるのだろう。
キヤノンは、トップアスリートたちのパフォーマンスが、最高の状態で記録・発信されるよう支援を行うため、スチルカメラおよびデスクトップ・プリンターのカテゴリーにおいて、東京2020ゴールドパートナーとして東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を応援しています。
いよいよ東京2020大会まで半年を切った。国立競技場(オリンピックスタジアム)をはじめ屋内競技場として1万2000人収容の有明体操競技場や世界最高水準の水泳場を目指す東京アクアティクスセンター(2月28日竣工予定)などが続々オープン。お台場海浜公園の海上にはオリンピックシンボルのスペクタキュラーのライトアップが始まっている。
一方、1964年当時の大会前はというと、東海道新幹線や高速道路など交通網の整備が一気に進みその後の高度成長への礎となった。熱狂を生んだ東京1964大会として語られることが多いが、実は開催4カ月前の調査でオリンピックに「非常に関心がある」は24.0%、「あまり関心がない」「全然関心がもてない」の合計が28.7%という低調ぶりだった。しかし、直前調査では「非常に関心がある」が33.8%、期間中は44.2%まで跳ね上がっている。
東京2020大会は、すでに378の自治体がホストタウン登録を行い、209の国と地域が各地で事前キャンプや文化交流を予定。日本全国で盛り上がりの機運を見せている。
建築家の隈 研吾氏らにデザインされた国立競技場。客席を覆う大屋根に国産の木材を使い、外周の軒庇(のきひさし)には47都道府県の木材が使われた「杜(もり)のスタジアム」だ。すり鉢状の3層スタンドには視界を遮断する柱が一切なく、360度の臨場感と選手と観客の一体感が生まれる
写真提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター
開会式は、今回東京2020大会でも多くの人が楽しみにしているものの一つだろう。オリンピックの開会式で華やかな演出がされるようになったのは、ロサンゼルス1984大会から。ロンドン2012大会ではダニー・ボイル氏が総合演出を務め、歴史とシェークスピア劇の世界観を描き出し、リオ2016大会ではフェルナンド・メイレレス氏が演出。東京2020大会は狂言師の野村萬斎氏による総合演出で和を尊ぶ日本らしいものになるのではと期待されている。その開会式は世界に中継されるだろう。
今回は、東京2020ライブサイトが各地で実施され、大型スクリーンでの放映や競技体験、交流イベントなどが予定されている。ライブサイト会場で世界から訪れた人と共に大会の感動と興奮を分かち合い盛り上がるのも楽しみ方の一つだ。かつての東京1964大会の開会式の模様を放映した日本のテレビの視聴率は61%。夏のオリンピック史上初めて人工衛星で中継され、世界初の「テレビオリンピック」ともいわれたほどだ。
東京2020オリンピックでは33競技339種目が実施される。男女混合種目として、陸上競技のリレー、競泳のメドレーリレー、卓球のダブルス、柔道団体などが加わり、参加選手総数に占める女子の割合は48%以上で史上最高になる。参加が見込まれる選手数は約1万1000人。東京2020パラリンピックは22競技540種目、参加選手は約4400人の見込みだ。
そのパラリンピックは、1964年に第2回大会が日本で開かれた。この時、日本が打ち出した大会の愛称が「パラリンピック」。当時は車いすの選手だけが参加する大会で、脊髄損傷などの下肢のまひを指す「パラプレジア」と「オリンピック」を組み合わせたものだ。その後、出場者が広がり、1988年のソウル大会に「Para」(沿う、並行)と「Olympic」(オリンピック)の意味で、「パラリンピック」が名称になった。
過去のオリンピック競技大会で日本勢が獲得した金メダルが最も多かったのは、実は東京1964大会とアテネ2004大会の16個だ。
今回の大会でどれだけのオリンピアン、パラリンピアンがメダリストとなるのか、その活躍を応援したい。
33競技50種類の東京2020オリンピックスポーツピクトグラムが今大会では使われ、パラリンピックスポーツピクトグラムも22競技23種類を制作。
今では当たり前になった競技シンボルのピクトグラムは、東京1964大会で生まれ、その後の大会でも作られるようになった。今回のデザインは、世界の人々に正確に伝えるとともに、躍動するアスリートの動きや競技の魅力を表現したもの。会場だけでなく、ポスターやグッズなどさまざまなところで目にする機会が増えそうだ。
また、オリンピックの記録映画にも注目したい。1930年から大会ごとに公式記録映画が作られているが、東京1964大会では市川 崑監督がメガホンを取った。「芸術か記録か論争」を巻き起こした画期的な作品で、動員記録は2001年まで破られなかった。そして、東京2020大会では河瀬直美監督が製作する。実力派監督がどんな映画を撮るのか期待しよう。
「スポーツが得意な人がいるように、歌が得意な人がいる。ダンスが得意な人がいる。楽器が得意な人がいる。そんな全ての人たちが、アスリートと同じように世界に向けて活躍できる開閉会式にしたい」(東京2020大会組織委員会公式サイトより引用)と、東京2020パラリンピックの開会式、閉会式には一般から募ったエンターテイナーが出演する。その祭典は世界を驚かせ、レガシーとして後世に残っていくはずだ。
今は当たり前になった閉会式の自由な入場は、東京1964大会が生んだレガシーだ。各国国旗の旗手が入場し、その後、国ごとに選手団が整列して静粛に入ってくるはずだった。しかし各国の選手たちは、性別も人種も関係なく、腕を組み、手をつなぎ、踊ったり走ったり、ついには日本の旗手を肩車した。初めてのアジア開催を満喫しようと想定外の数の選手たちが閉会式に残り参加したことが、思いも寄らないフィナーレを呼んだといわれている。
東京2020大会の閉会式は、どんな笑顔が集まるのだろうか。敵も味方もないフィナーレが、平和の祭典に新たな歴史を刻むことになるはずだ。
参考文献(順不同)
『東京オリンピック』(日本放送協会放送世論調査所)、『東京五輪1964』(文藝春秋)、『オリンピックと放送』(丸善ライブラリー)、『スポーツ歴史の検証』(笹川スポーツ財団)、『東京オリンピック1964』(新潮社)、『近代オリンピックのヒーローとヒロイン』(慶應義塾大学出版会)、『JOA オリンピック小事典2020 増補改訂版』(メディアパル)、『総力取材 東京2020オリンピック・パラリンピック完全ガイド』(日本経済新聞社)、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会サイト(https://tokyo2020.org/jp/)ほか。写真提供:アフロ