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トップ > 世界遺産を旅する [Vol.17] 古代ローマ人の建築技術と豊かな生活がつくり上げたポン・デュ・ガール
写真:gettyimages
3層のアーチを積み重ねたポン・デュ・ガールは最上階が水路になっている
古代ローマ遺跡といえばイタリアを思い浮かべるかもしれないが、全盛期の帝国の勢力が及んだ欧州各地にも偉業が数多く残っている。1985年に世界文化遺産に登録された、フランス南部プロヴァンス地方の水道橋「ポン・デュ・ガール(ガール川の橋という意味)」もその一つだ。
ポン・デュ・ガールの完成は紀元前19年。3層のアーチからなる橋の全長は275メートル、高さは約49メートルもあり、古代の橋の中では世界一の高さを誇る。アーチは下層から順に6、11、35個と整然と連なり、その規模に感動するとともに、設計の美しさにも魅了されるに違いない。ガイド付きの見学ツアーに参加すれば、橋の上部を歩いて渡ることができ、ローマ時代の卓越した技術を間近に感じられるだろう。また、併設する施設では、1000人もの作業員が5年の歳月をかけた建設時の様子や橋の歴史を、実物大の複製やバーチャルツアーなどで見学できる。
橋の建設は、水源地のユゼスから離れたニームに水を引くのが目的だった。水源からニームまでの高低差は約12メートル。難所を迂回し、水路1キロメートルにつき25センチほどの傾斜を設けながら引いた水路は全長50キロメートルに及ぶ。ニームに届く水は1日平均2000万リットル。当時の人口換算で1人当たり800リットルもあり、現代人の水道使用量200リットルより多いことに驚く。ニームには、今なお闘牛などを行っている円形闘技場や、ローマ時代に思いを馳せられる遺跡があり、こちらにも足を運んでみたい。
旅の間の食事で逃せないのは、魚介類をたっぷり使ったプロヴァンス地方を代表する郷土料理ブイヤベース。相性抜群といわれる地元産のロゼワインで色も合わせたなら、美味が一層映えるだろう。
※新型コロナウイルスの感染拡大にともなう渡航・外出制限など、事前に最新情報をご確認ください。
毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンの映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」等を活用した高精細な映像で世界遺産の魅力を伝えています。時には4K/8Kで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。
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