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トップ > 世界遺産を旅する [Vol.19] ローマ時代の名残を見せるバースとヨーロッパの大温泉保養都市群
写真:gettyimages
ローマン・バスの大浴場跡。上部の建物は、復活を遂げた19世紀末の建築。
2021年に世界文化遺産に登録された「ヨーロッパの大温泉保養都市群」は、イギリスやドイツ、フランスなど7カ国に点在する計11の都市から構成されている。これらの都市には、温泉保養施設に加えて、カジノや劇場といった多彩な娯楽施設も備える。各地が発展したのは18世紀初頭~1930年代のことだ。
中でも最大の規模を誇るのは、イギリス南西部のバース。ローマが侵攻してきた約2000年前に賑わいの幕が開き、為政者(いせいしゃ)から庶民まで、多くの人が療養に訪れたという。5世紀にローマが撤退した後は廃れてしまっていたが、18世紀以降は上流階級の温泉保養地として活気を取り戻していく。19世紀にはローマ時代の跡が発見され、その発掘も進められた。
バース最大の見どころは、イギリス有数の観光地にもなっている「ローマン・バス(ローマ浴場博物館)」だ。源泉が湧きほんわかと温もりが漂う大浴場跡や、コインや胸像といった出土品、スチーム風呂や床暖房なども完備していた当時の様子を伝える展示は見応え充分。リアルな再現映像や、ローマ人の扮装をしたスタッフの存在も手伝い、タイムスリップしたような感覚を楽しめるだろう。
バースには「キングス・スプリング」「ヘトリング・スプリング」「クロス・スプリング」と呼ばれる3つの源泉がある。1978年以降は水質の問題で入浴できない状況が続いたが、近年新しいスパ施設が誕生。ロンドンから電車で約1時間半と日帰りも可能だが、美しい乳白色の砂岩が彩る町並みをゆっくり楽しむ滞在もお薦めだ。湯上がりや散策中の喉を潤すなら、パブでビールを。イギリス人が好むビターエールは、そのおいしさが引き立つぬるめの温度で味わいたい。
毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンの映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」等を活用した高精細な映像で世界遺産の魅力を伝えています。時には4K/8Kで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。
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