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トップ > 世界遺産を旅する [Vol.2] 清らかな風を求めて~クロアチア・プリトヴィッチェ湖群国立公園
湖の周りは歩きやすいように整備された遊歩道が連なり、いろいろな角度から水面を楽しめる写真:アフロ
アドリア海を挟んだイタリアの対岸、クロアチアは日本の面積の約7分の1という小さな国ながら、9つもの世界遺産がある宝庫だ。中でも随一の景勝地として知られるのが、首都ザグレブから南に約110kmの距離に位置するプリトヴィッチェ湖群国立公園。大小16の湖と92の滝、広大な森が織りなす絶景を目指し、世界中から数多くの観光客が訪れる。
公園内に設けられた遊歩道はサンダル履きでも大丈夫なほどに整備されているため、足元を気にすることなく散歩気分で眺めを満喫できるのがうれしい。気軽に歩き出してまず心を奪われるのは、優しい水色から濃紺、エメラルドグリーンまでそれぞれに異なる、神秘的な湖の色合いだ。
その秘密は、水が石灰質を含んでいるから。コケや藻、バクテリアなどの光合成によりできた石灰華(石灰質堆積物)が、歳月を重ねて川の水をダムのようにせき止めて生まれた湖群は、ミネラルや有機物の含有量と太陽の光の加減で、色が多彩に変化するという。
石灰華には水を浄化する働きもあり、透明度は抜群。すいすい泳ぐ魚たちが、遊歩道からもくっきりと目に映る。湖によっては石灰華をまとった白い木々が、水底で幻想的な絵を描いているのにも魅了される。美しい景色は次々と表情を変え、歩みを進めるたびにビューポイントに出合えるといっても過言ではない。湖の間には滝や無数の小川が流れ、せせらぎの音が爽やかに響いて耳にも心地よい。
最も大きなコジャック湖を中心に公園内は下湖群、上湖群と大きく2つのエリアに分かれているが、のんびり歩いても1日あれば十分に回れる。優しい風を浴びながら、コジャック湖を渡る電動ボートに乗るのもまたお薦め。風が穏やかな日なら、鏡のようにきらめく湖面に見入ってしまうことだろう。
休憩がてらのランチは、地元で取れたマスのグリルをぜひ。塩で味付けしただけのシンプルな一品だが、だからこそ川魚特有のくせが全くないおいしさを堪能できる。川の水が澄んでいる証しだ。そんなプリトヴィッチェ湖群国立公園の景色が、一番映えるのは夏。クロアチア旅行の思い出は、湖や滝と共に涼やかに胸に刻まれるだろう。
毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンはその理念に共感し、映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」をはじめとした機材協力も行っています。時には最新の4Kカメラで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。www.tbs.co.jp/heritage/