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トップ > 世界遺産を旅する [Vol.4] 巨大な氷河が織りなすドラマ パタゴニアのロス・グラシアレス国立公園
写真:iStock
ロス・グラシアレス国立公園のペリト・モレノ氷河。氷河の上を歩くツアーもある
北半球が冬の今、南半球は夏。旅にはうってつけの季節となる。日本の反対側に位置する、アルゼンチンとチリにまたがるパタゴニア地域もその一つ。人の手が及ばない森や平原、湖、野生動物などが残る大自然の宝庫として知られ、各国から多くの観光客が訪れる。
そのパタゴニアの中でも絶景として知られているのが、アルゼンチンの世界遺産「ロス・グラシアレス国立公園」。ロス・グラシアレスとは、スペイン語で氷河を意味し、南極、グリーンランドに次いで世界3位の規模を誇る、巨大な氷河群が公園内に広がっている。
旅の拠点は、首都ブエノスアイレスから飛行機で3時間ほどのエル・カラファテ。この小さな町に滞在し、氷河に面したアルヘンティーノ湖を目指す。湖畔の展望台に立てば、ダイナミックな景色はもちろん、青く染まったように見える氷の色にも心を奪われる。長い歳月を経て圧縮された氷が青い光だけを反射する、との説明を聞いても神秘としか思えないほど圧倒的に美しい。風が強く、天候がめまぐるしく変わるため、日差しにより青の色合いが変化する様子にも見入ることだろう。
感動がさらに高まるのは、ペリト・モレノ氷河、ウプサラ氷河、スペガッツィーニ氷河という三大氷河を湖から見るクルーズツアー。とりわけ気温が上がる夏場、自然が織りなす圧巻のドラマが展開されるのが、「生きている氷河」ともいわれるペリト・モレノ氷河の大崩落だ。
氷河とは、文字通り、ゆっくり動く氷の河。幅約4kmにわたり高さ約60~80mの氷の壁が続く景色の中を進めば時折、氷河に亀裂が入るパーンという鋭い音が静寂を破る。そして、轟音とともに氷が一気に崩れ落ちる。一瞬、言葉も失うほど迫力に満ちた光景だ。ツアーの終わり、氷河の氷で作ったロックのウイスキーで乾杯すれば、はるばる旅した感慨が込み上げる。
大自然を満喫した後は、子羊のバーベキュー「アサード・デ・コルデロ」を楽しみたい。アルゼンチン料理といえば牛肉というイメージだが、パタゴニア地方に限っては羊が主役。塩分を含んだ牧草に育まれた羊は、やわらかで純粋な甘みを感じるおいしさだ。地球の反対側で出合ったこの美味もまた絶景とともに、忘れられない記憶になるはずだ。
毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンはその理念に共感し、映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」をはじめとした機材協力も行っています。時には最新の4Kカメラで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。www.tbs.co.jp/heritage/