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  • 世界遺産を旅する
  • 2019.03.01

[Vol.5] 密林に突如現れる巨大遺跡がかつての王都の栄華を伝える

画像: アンコール・ワット伽藍写真:iStock
朝のアンコール・ワット伽藍。春分と秋分の日、中央尖塔の後ろから朝日が昇る

画像: 「ヌンパン」のバゲット 写真:iStock
「ヌンパン」のバゲットは、フランス領時代の名残。サクサクした食感が特徴だ
画像: 木々の枝に覆われた状態の寺院 写真:iStock
アンコール・ワットを中心として、森には数多くの遺跡が潜む。中にはまだ修復されず、木々の枝に覆われた状態の寺院も

カンボジアを代表する世界遺産「アンコール遺跡」には、およそ400万haの広大な森に700を数える大小の遺跡が点在する。アンコールとは、サンスクリット語で「王都」の意味。この地は9~15世紀にかけて栄えた、クメール王朝の首都だったのだ。

その遺跡の要となるのが、1113年から30年以上の歳月を費やして築かれた世界最大級の石造寺院「アンコール・ワット」である。大きさは、環濠を含めると東西約1500m、南北約1300mにも及ぶ。観光の拠点となるシェムリアップまでは、首都プノンペンから飛行機で約45分。上空から地上を眺めれば濃密な緑が広がり、最盛期のアンコールが人口約21万人を抱える世界第4位の都市だったという話が夢のように思えるだろう。

アンコール・ワットには早朝、日の出前に到着するのがお薦め。西を向いた寺院の尖塔が朝焼けに浮かんだ後、顔を出した太陽が輝く瞬間、早起きしたかいありの感動が込み上げる。

昼間は大勢の観光客でにぎわう寺院内部は、朝なら静かな空気に浸れるのも嬉しい。江戸時代初期の1632年、長崎・平戸藩士だった森本一房(もりもとかずふさ)がここを訪れ、壁に墨書を記した跡も一角には残る。海を渡り、はるばるこの地を訪れた旅路を思うと感慨深い。また、全長760mにもなる大回廊は、ゆっくり回りたい。スポットライトのように、日差しが差し込む造りになっていて、王族やヒンドゥー教の神話を描いた彫刻、女神像などの美しさが浮き彫りになって目を奪われる。

そして、三重構造の回廊は、中央部に進むほど高い位置に。第三回廊へと続く傾斜62度の石段は、多くの人が這いつくばるようにしてのぼるが、その先には周囲を見渡せる絶景と気持ち良い風が待っている。これからの季節、5月下旬~10月下旬は雨期に当たるが、雨天や曇り空が続くことはなく、時々スコールが急ぎ足で通り過ぎる程度。加えて雨上がりは、木々の緑がより美しく映えるのが嬉しい。

旅の合間、シェムリアップでは地元の人が利用する食堂や屋台で売られているバゲットのサンドイッチ、「ヌンパン」にチャレンジしたい。スパイシーな調味料と青いパパイヤなどの具材の組み合わせは、他では味わえないカンボジアならではの素朴な美味だ。

画像: 行き方 画像: 行き方

キヤノン単独提供番組 「世界遺産」

毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンはその理念に共感し、映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」をはじめとした機材協力も行っています。時には最新の4Kカメラで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。www.tbs.co.jp/heritage/

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