カテゴリーを選択
トップ > 世界遺産を旅する [Vol.6] ロドスの中世都市 エーゲ海の島に中世騎士団の面影を訪ねる
写真:iStock
高い城壁に守られた騎士団長の宮殿。旧市街の城壁の一部は、厚さも10m近くある
ギリシャの首都アテネから約430km、トルコとの国境にほど近いエーゲ海東南部に位置するロドス島は、欧州有数の人気リゾート地。青い空とエメラルドグリーンの海が織りなす、エーゲ海ならではの美しい景色が待ち受ける。その歴史は古く、紀元前から東西の文化交流地として栄えてきた。島内には数々の史跡が残るが、中でも見逃せないのは、中心部ロドス・タウン旧市街の世界遺産「ロドスの中世都市」だ。
もともと聖地エルサレムを守っていた聖ヨハネ騎士団が、島に移り住んだのは1309年のこと。その後、約200年にわたりオスマン帝国(後のトルコ)と攻防戦を繰り広げつつ、ゴシックスタイルの要塞都市を築いた。現存する中世の防衛施設群としては、欧州最大級。高さが10mにも及ぶ全長約4kmの城壁は重々しく、圧倒的な存在感だ。石畳の道を歩けば中世のままの景色が続き、タイムスリップしたかのよう。質実な眺めの中、騎士団が去った後にオスマン帝国が建てたスレイマンモスクのドーム型の屋根が不思議な異彩を放ち、東西の文化が交差した独特の歴史を物語る。
かつて約500人の騎士が住んでいた「騎士団通り」の先には、「騎士団長の宮殿」がある。団長の邸宅と行政府が設けられた空間は、宮殿とはいえきらびやかなものではなく無骨な造りだが、古代に描かれたというモザイク画が数多く見られ、素朴で柔らかな色合いに和みながら幾度となく立ち止まる。
合わせて訪れたいのは、紀元前10世紀の建設といわれるリンドスの村。ここにもまた騎士団の要塞があったが、白い壁の家が並ぶ景色は絵本のように優しい。アクロポリス(古代ギリシャで神殿が築かれた小高い丘)から眺めるエーゲ海は、まぶしい日差しを受けて静かにきらめいていた。オスマン帝国軍との戦いの日々、この地に立った騎士たちも心が癒やされたことだろう。あるいは、海の向こうの故郷に切ない思いをはせたのかもしれない。
散策の後は『地中海の食事』として2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されたギリシャ料理を、地元産のワインと共に頬張りたい。ふんだんに使われるヨーグルトやオリーブオイルと共に、軽やかな海風もまた料理をおいしく彩ることだろう。
毎週日曜午後6時よりTBS系列にて放送中の「世界遺産」。最高水準の映像技術によって世界遺産を記録し、未来に引き継いでいくことを目指しています。キヤノンはその理念に共感し、映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」をはじめとした機材協力も行っています。時には最新の4Kカメラで撮影した映像をお届けする回も。最高の映像でお届けする「世界遺産」をぜひご覧ください。www.tbs.co.jp/heritage/